連敗街道をくじけずに行け
五本の作品を新人賞に応募した僕は、しばらく仕事と読書に集中した。
新しいネタを生み出すにはやはり読書が必須だと感じるようになった。
その作品ではサラッと触れられているだけの部分が自分の作品ではメインのネタとして使えそうなど、たくさんの発見があるからだ。
それから、深夜アニメを見る本数も増えた。
僕はライトノベルにどっぷりな生活を送っている。自分でも書いている。そうなると、ラノベを書く際にはアニメの映像としてイメージできる部分というものができてくる。アニメは楽しみつつも演出やストーリーの勉強ができる素晴らしい媒体だ。
2014年の春といえばなんといっても『ご注文はうさぎですか?』だ。全部リアルタイムで視聴したけれど、始まった当初は、あんなにブームが拡散していくとは予想もしていなかった。また読書好きとしては『僕らはみんな河合荘』もすごく好きになれた作品だった。
そんな感じで日々が進んでいき、まず5月下旬。
ミステリーズ!新人賞の一次発表があった。ちょうど仕事が休みの日だったのですぐにページを開き、画面をスクロールさせていった。
が、僕の名前はなかった。
ネタが弱すぎたか、ロジックに破綻があったか……。原因はわからなかったが、受け止めるしかなかった。
つけ加えると、群像新人賞の発表もあったのだが、当然のように僕の名前はどこにも見当たらなかった。
続いて6月中旬。
講談社ラノベ文庫新人賞の一次選考結果が出た。この日は仕事だった。僕はまだガラケーを使っていたのだが、講談社ラノベ文庫のサイトはガラケーからだと見ることができなかった。
家に戻ると早速PCをつけてページを覗いたが、またしても僕の名前はない。
これで二つが早くも脱落した。
僕は次作の用意を始めた。
この調子だといい結果は出そうにないと判断したのだ。
次は秋に締め切りがある新人賞ということになる。どの新人賞にどの作品を送るべきなのか。それをよく吟味した。
そうしているうちに7月がやってきた。
電撃小説大賞の一次発表がある。
この頃、僕は某掲示板の創作スレッドを頻繁に覗いていた。そこに、雑誌のフラゲ情報を貼っている人がいた。ペンネームとタイトルの一文字目だけが羅列されていたのだ。
僕は「たぶん釣りだろう」と思いつつも全部見たのだが、それらしい頭文字を見つけることができなかった。
公式発表が翌日に来た。
たくさんいる予選通過者の中に自分の名前は……なかった。
電撃小説大賞、これで三連敗である。
特に「夜光列車」は、所長さんの亡くなった夜に書いた作品だけに、それを落とされてしまって、とても申し訳ない気持ちになった。
続けて8月。
僕は二連続の打撃を食らった。
小説すばる新人賞、新潮新人賞でともに一次落ちという結果を突きつけられたのだ。
新潮新人賞は、勢いに任せて書き殴った作品だからまあわかる。
ただ小説すばる新人賞については、せめて一次は通るだろうと考えていただけにダメージが大きかった。
こうして、春に放った五発の銃弾はすべて的を外れた。
乱発するより、一作一作を丁寧に書くべきだろう、と僕は考えるようになった。
そして僕は、書き上げたプロットを元に、秋の新人賞への原稿を書き始める。
落胆はあった。
それでも書くことが好きという気持ちに変わりはなかった。
自分に才能があるとかないとか、そんなことは関係ない。書きたいから書く。あわよくばそれで収入が得られれば最高。
僕はもう、小説のない生活など想像もできない状態になっていた。
書きたいし、書くしかない。
その気持ちで、僕は次の作品に向かっていく。
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