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できないことなんて、なにもない」への応援コメント


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    ※ちょっとお伝えし忘れたことがあったので、コメントを微修正いたしました

    それにしても、ディストピアの中にまた新たにディストピアを作るとは、化くんもまた奇妙なことをしたものですね

    しかし、それによってこの『アゲイン』世界の本質がよりはっきりした気がします
    この世界の最大の問題点は、愛やケアを価値の中にあまり含めていないところなのですね
    利害の計算が機械的すぎると言うべきでしょうか?
    能力の高低に関わらず、人間同士の関わりはそれだけで価値を持ちますが、この世界における社会貢献度はそれを交換可能な数字としてしか扱っていないように思います

    後はもちろん、人権がない、言い換えれば「値段のように人間の価値が扱われている」ことです
    人間ならではの最低保証はありますが、それも奪われることがある相対的なものですし、逆に「高い価値」がある人間は法に縛られずいくらでも非道なことが出来る
    あまりにその差が酷すぎますし、「最大多数の最大幸福」をモットーに掲げる功利主義とも違うシステムになってます
    すなわち、(計算される)社会貢献がすべての全体主義な社会でもありますね

    この「化くんの世界」(以下「化世界」)では、Necoこそ機能していませんが、そういった原則は外と全く変わりません
    ただ、ここでの価値は、化くんと影さんとい二人だけが、恣意的に決めているというだけです
    特権階級がはっきりと見えているかどうか、それだけの違いしかないのですね

    外ならば価値や判決はある程度Necoが考えて決めますが、それにしても、あらかじめ設定された価値基準を変えることまではおそらくしないでしょう
    「化世界」では、Necoが、もともと社会制度を実現するための道具でしか無いことがはっきり分かるようになったというだけなのです

    しかし、この「化世界」あまり詳しくはありませんが、まるでアンチ・キリストが支配する黙示録の世界のようですね
    竜(化くん)の権威を借りた獣の王(影)による統治というわけです

    あるいは、『カラマーゾフの兄弟』の「大審問官」の部分を思い起こさせます
    石をパンにする「奇跡」、世界を支配する「権力」、神による保護の実証という「盲目的な安心感」……
    これはまさに、大審問官が言う「大衆が第一に望む世界」そのものです

    まあ私は、その『カラマーゾフの兄弟』や『神さまのいない日曜日』、後はトルストイの『愛のあるところに神あり』などが好きなので、こんな奇跡しか取り柄がない創造主の支配なんてごめんですが

    「化世界」は、支配された人造の世界
    たとえば『公園のメリーポピンズ』なら、作られた公園であってもメンバーが創造主に反逆しますし、『ソードアート・オンライン』なら心意(想いの力)でシステムを超えられます
    そして、それに通じるところのある『ソフィーの世界』では、協力者や哲学による不屈の挑戦心があります

    ですが、「化世界」のメンバーは、ディストピア育ちの人間ばかり
    元々、外のディストピアやいじめに反抗出来なかったりしていなかった人間たちが、新たなディストピアに反抗できるかと言うと、これは望み薄でしょうからね……

    果たして、春くんたちは、この新たなディストピアに立ち向かえるのでしょうか?

    その挑戦がどのような道のりをたどり、またどのような結果を迎えるのか、楽しみにしてますね!