こうして春の内面を垣間見ると、彼のどうしようもなく歪んでしまった価値観に苦い感情を覚えますね。
何年経っても隅の隅まで「高校時代の南美川幸奈」による評価基準が支配してしまっている、それこそ神と見紛うばかりに。
今の彼女が春の眼前で罪と罰に震えていて、その生殺与奪を自分が握っているとしてもそれは変わらない。
彼は今も、生の承認欲求とそこから生まれる嫉妬に苦しんでいる。
もしや、春が幸奈を人間に戻そうとする理由には。
「至高の指標たる南美川幸奈という人間に、自分を愛してほしい」という願望も含まれているのかもと想像しております。
さながら崇敬を捧げて、神に愛を冀う信徒のようであり。
同時に泣き声を上げて、母の手を求める幼子のよう。
どうか彼に、心安らかな明日が訪れることを望まずにいられない。
作者からの返信
そうなのですよね。
彼の基準は、いまもそこにあって。
ある意味で、そこからは余生のようなものなのかもしれません。いったん「神」に出会ってしまった人間は、そこから先は神の支配下で生きざるをえないですから……。
だから、ずっと止まっていた時間が流れ出したのが、春にとっても幸奈と再会したときだったのでしょうねえ。人生が再開したといいますか……。
春が幸奈に抱える願望や思いは、これから先もうちょっと時間や文量がかかってしまいますがじっくりと書き尽くしたいです。いつもコメント励まされてます。今後とも応援よろしくお願いします!!
価値があるから大事にするのではなく、大事にするから価値が生まれるものなのですけどね・・・
春くんの痛んだ自己認識がよく伝わってきます
身体の大事さなら、お母さんに聞くのが一番だと思いますが、家庭で浮いていた彼には、そのあたりは思いつかないのでしょうね・・・
作者からの返信
ほんとうですね……。
そうですね、彼はほんとうに、そのあたりにかんして、おっしゃる通りかと思います。そうなんですよねえ……。