更新お疲れ様です。
作中人物が社会構造に疑問を投げ掛ける。
いよいよ、社会派SFの真髄であり醍醐味へと差し掛かる所ですね。
高柱猫は優秀であったかもしれないが、決して完璧ではない。
少なくとも、神や概念に成り代わるほどの器ではない。
人間自体を、社会そのものを、どこか神聖視していたように見える。
「自分を犯した屑が、自分と同じ人間である筈がない」
「そんな屑が許される社会は誤っている」
実にお綺麗でご立派だ、あまりに夢見がちで反吐が出る。
だから死後も、遺した「正しい社会」を犯し続けられているというのに。
彼がかような夢想家であったから、「人間未満」などという人間のイデア化概念が生まれてしまったのだろう。
彼はどこまでも独善的で、彼自身の視野しか持ち得なかった。
故に「社会への貢献など誰でも出来る」という傲慢さを揮った。
全ての人間に共通して出来ることなど、恐らくは無いだろう。
弱者が身を守るために用意したと嘯く、社会の力を揮うことも本来の弱者には不可能なのだから救いがない。
春の言葉を借りるとするなら、
「あなたたちはあまりにも弱者を知らない」
優秀であり、結局の所は強者だった猫も例外ではないだろう。
本当の弱者を、人間の醜さを理解していない。
だからこそNeco社会は優秀者のために存在し、劣等を虐げる。
現代よりもシステマチックに社会的強者の権利が行使される分、更に質が悪いと言えるかもしれない。
春と猫の、時と言語を越えた対話。
その辿り着く先に、どんな未来が描かれるのか。
……もう想像も至らない、座して待つことしか出来ませんね。
作者からの返信
いつもありがとうございます。すたーげいざーさんのコメント、いつも楽しみです。とてもおもしろく読ませていただいてます。
おっしゃる通りで、猫は優秀でしたがけっきょくのところ完璧ではなく、どこまでも自身も人間でしたのでしょうね……。
猫は強者と弱者という概念については病的なほどにこだわりましたが、優秀と劣等、そしてそこから生じる結果的な強者と弱者という構図についてはどうにも無頓着だったみたいです。
そこがNecoの限界で、でも可能性でもありました。これから春が対話していく余地の充分にあるところだと思います。これからも長くはなってしまうかもしれませんが丁寧に描き切るので、ぜひとも応援よろしくお願いいたします……!!
幸奈のことは大嫌いですが、人間未満だとは思いませんね
別に能力や精神の話ではなく、
ああいう醜さこそが人間らしさでしょう、よくも悪くも
・春を傷つけて省みなかった
・自分が傷つけられる立場になって、ようやく人の痛みを理解
・自分は人間に満たないと言いながら痛みを恐れる。つまり罰として苦しみを味わうべきとは思っていない。人犬のままなら痛い思いをしなくてすむ、あるいは死ねば楽になるから。
・とどのつまり、自分がかわいい
ホラ、実に人間らしい。
「おかしいのはお前だ」とnecoは言いますが、そう指摘すること自体がnecoの不完全さを示してますね
リンゴが木から落ちる様を「おかしい」と叫ぶ人間がいるとして、
重力はそいつに「おかしいのはお前だ」と指摘したりはしません
だって、不変の概念であり法則ですから。
necoの理想は、倫理とやらが神になりかわることなのかもしれませんが、
誰かの意見を聞こうとする時点で完璧も絶対もありえません
完璧というものは自己完結してるものだと思うのです。俺の法則に黙って従え。異論は一切認めないし、聞く耳持たん。変えられるものなら変えてみろ
みたいな感じで
作者からの返信
重力のたとえめっちゃくちゃ鋭くて的確ですね。びっくりしました……。
その通りですよね。法則は、けっしてそんなこと言いませんよね。
猫はけっきょくのところ最後まで人間らしく弱いまま、社会を管理する人工知能になってしまったのかもしれないですね……。
編集済
やっぱり、この人間未満の判定基準は、長期の病人や負傷者、高齢者、そして障害者や家庭内でいじめられている人たちが、真っ先に引っかかりますね…
排除にこだわるあたり、相模原障害者殺傷事件の犯人の妄想を連想させます
そして、ついにnecoに真っ向から反論!
これからどうなるのか、すごく楽しみです!
作者からの返信
そうなんですよね。そういうふうになってしまう判定基準になっていると、思います。
社会のこととも絡めて語れたら、なにより幸いな物語でもあります。
そうですね、Necoに真っ向から反論です!
続きもお楽しみいただければと思います!