Tales of masquerade２～時空の守り人～

１０～旅立ちを前に～・おまけスキット

～力を持つ意味～

モカ「力を持つ意味、かぁ……見かけによらず重いね、この腕輪」

ランシッド『願いが詰まっているからね。みんなを守りたい、って』

ブオル「もともと騎士の俺達はともかく、チビすけには重たいかもな」

モカ「むぅ、子供扱い？」

ブオル「実際子供だろう。前に出て傷つきながら戦うなんて、そんなのは俺なんかの仕事だ。ほんとはまだ早いんだよ」

モカ「クロ兄やメリーゼ姉だって騎士だけどボクとそんなに歳かわらないし」

ブオル「んー……まあ、そうなんだが……」

モカ「子供にも子供の守りたいものがあるんだよ」

ブオル「……そっか。ま、ほどほどにな」

ランシッド『ブオルも、あんま無茶しないでね。君が死んだら過去が変わっちゃうんだから』

モカ「そうだよ。無茶しないことー」

ブオル「わかってますって」

～踏み出さなきゃ……～

清き風花『踏み出さなきゃ、その先は見えない……』

クローテ「その言葉は……カカオ？」

清き風花『わかるのですか？』

クローテ「あいつが言いそうなことだ」

モカ「ま、最初からある程度見えてる人もいるけど……踏み出した分だけ見える範囲は増えるよね」

ブオル「俺はそんな利口じゃないから目の前ばっかだなあ。だから踏み出して手探りして、前に進むんだ」

モカ「ブオルおじちゃんって、カカオ兄と気ぃ合いそうだよね……」

ブオル「そうかもな」

クローテ「ブオル殿をあんな考えなしの単細胞と一緒にするな」

清き風花『ふふ、そう言いつつ皆さん彼のことは“嫌いじゃない”のでしょう？』

クローテ「む……」

モカ「まぁ、ねえ」

ブオル「精霊って言っても、結構人間臭いんだな」

清き風花『わたし達は元は人間でしたし、何より以前の旅でそういったものを学びましたから』

ブオル「うん、いい笑顔だ」

～シーフォンとメリーゼ～

カカオ「シーフォンとお前、一体どういう関係なんだ？」

メリーゼ「え？　ですから同じ騎士団の……」

カカオ「って言う割には、向こうはお前のこと特別視してるっつーか……王子様なら、尚更なんか不思議で気になるっつーか」

メリーゼ「えーと、実は王子様だと知らない小さい頃に会ったことがあって、一緒に遊んだの」

カカオ「あー、それで“シー君”か？」

メリーゼ「ええ……後で知って、とんでもないことをしてしまったなって」

カカオ「けど向こうはすごい喜んでるんだろ？　王子様じゃなく、シーフォンって一人の人間として見られて嬉しかったんだな」

メリーゼ「そう、なのかしら」

カカオ「じゃなきゃあんな呼び方してくれなんてわざわざ言わねーよ」

メリーゼ「……」

カカオ「だったらお望み通り騎士団の仲間とか、友達って感じでいいんじゃねーのか？」

メリーゼ「うーん……」

カカオ「オレも今度会ったらそんな感じで接してみるかな。おいシー公、なんてな」

メリーゼ「そ、その呼び方はどうかしら……」

～保護者連絡網～

モラセス「…………」

ガトー《おう、どうした？》

モラセス「お前の孫に会ったぞ」

ガトー《そうか……元気そうか？》

モラセス「前に会った時よりだいぶでかくなったな。昔のお前にそっくりだ」

ガトー《何年前の話だ、そりゃ》

モラセス「本当に……あっという間だ」

ガトー《…………》

モラセス「ああそうだ、奴にお前の腕輪を持たせた。入り用になったのでな」

ガトー《あの化けもんが出たとなりゃあ、必要だろうな》

モラセス「やはり知れ渡っていたか」

ガトー《悪ぃ夢でも見てんのかと思ったぜ》

モラセス「だがあの腕輪は悪夢の中でもあいつらを護るだろう。お前の願い、祈りの結晶だ」

ガトー《！》

モラセス「これでいつでも可愛い孫と一緒だな、ガトー」

ガトー《けっ、よせやい》

モラセス「また何かあれば連絡する」

ガトー《へいへい》

～目となり、耳となって～

清き風花『スタード様……わたしが貴方の代わりに彼らを見守ります』

ランシッド『感覚の共有をしているのかい？』

清き風花『はい。まだ目覚めてはいませんが、わたしが見聞きしたことは夢を見るように伝わっています』

ランシッド『そうか……何か言ってた？』

清き風花『ええと……「若人は甘酸っぱいな、見ていて微笑ましい」と』

ランシッド『……へ？』

モラセス「ガトーの孫とお前の娘の話だな」

トランシュ「いやぁ、うちの息子もなかなかどうして」

ランシッド『うわ、なんか湧いてきた！　っていうか何、どういう意味!?』

モラセス「年頃の娘だからな」

トランシュ「母親に似て美人だしね。実は二人に限らず結構モテて……」

ランシッド『待ってやっぱり聞きたくないぃ！　っていうか先代の王と英雄王が揃って一部始終覗いてたの!?』

トランシュ「偶然だよ」

モラセス「そう、たまたまだ。あの様子だとカカオが有力候補か？」

トランシュ「いやぁしかし僕としてはシーフォンも応援したくなりますねえ」

ランシッド『やだやだどっちもダメぇー！』

清き風花『スタード様……呆れてますね……』

～やきもき～

モカ「むー」

クローテ「口を尖らせて、何かあったのか？」

モカ「カカオ兄とメリーゼ姉だよ。なんであれでお互い意識してないの？」

クローテ「なんだ、そんな事か……」

モカ「たまーに赤くなったりするし、満更でもなさそうなのになー」

クローテ「あの二人だからな」

ブオル「幼馴染みとか仲間とか、まだそういう意識の方が強いんだろうなあ。それに、今はいっぱいいっぱいだろ」

クローテ「世界の危機に浮わついてる場合じゃないということだ」

モカ「メリーゼ姉は真面目だからそういうのありそうだけど、カカオ兄はあれ完全に鈍感とか天然のやつでしょ……」

ブオル「まあまあ、周りがどうこう言って急かすものじゃないさ。なるようにしかならん！」

モカ「ちなみにおじちゃんの時はどうだったの？」

ブオル「おっ？　聞きたいか俺のドラマチックなコイバナを！　ホイップと俺は騎士団で出会ってだな……」

クローテ「うっ、長くなりそうな気配……」

モカ「途端にデレデレした顔になったね……」