一六. 五蘊皆空②



 あの最初の夜のような、危うい熱のちらつく眼が、冬乃を捕らえて。

 

 畳を背に冬乃は、左右を囲う沖田を見上げ。

 靄掛かっていた冬乃の思考が。やっと状況を把握するより、前に。

 

 

 沖田が舌打ちした。

 

 (え?)

 

 「どうも此処じゃだめだな・・かといって貴女の部屋では」

 止められなくなりそうだし

 

 冬乃が目を丸くする前で、沖田が嘆息する。

 

 (え・・え?)

 冬乃がおもわず目を瞬かせた時。

 

 

 「総司、いるか?」

 

 

 土方の、声がした。

 

 

 「いますよ」

 冬乃の上に居るまま、沖田が返事を返す。

 

 「開けるぞ」

 「どうぞ」

 

 (え、ええ?!)

 

 

 すらり、と襖が開き。

 


 「・・・・おまえな」

 

 当然ながら。

 

 土方の深い溜息が、続いた。

 

 

 「その状態でどうぞって言うなよ・・開けちまった身にもなれ」

 

 「べつに何かしてるわけじゃ無いしね。居留守つかうわけにもいかないし」

 「まさにその何かを、これからしようとしているところにしか見えねえよっ」

 

 冬乃は、固まっている。

 

 「こっちは、」

 沖田は。あろうことか冬乃を腕の下に囲ったまま、会話を続ける様子で。

 

 「貴方の気配のおかげで、その何か、をする機会を逃したんですが」

 固まって沖田を見つめている冬乃の上。

 沖田の剣呑な眼差しが土方へ飛んだ。

 

 「て、おい。屯所で乳繰りあうなと言ったはずだが?」

 「そこまでする気はありませんが」

 「おんなじようなもんじゃねえか、何する気だった!」

 「それをいちいち貴方に言ってどうすんのさ」

 

 体の上を飛び交う応酬に、呆然と固まったままの冬乃に。

 「未来女、てめえも・・」

 まさかの、土方の矛先が向かってきた。

 

 「総司にされるままになってんじゃねえ!」

 

 (そん・・)

 そんなこと、言われても

 涙目と化した冬乃の上。

 

 沖田が、ふっと目を細めた。

 

 

 「冬乃に誘われたら、俺が断れるわけないでしょ」

 

 (え)

 

 「誘・・っ・・ウブそうなふりして、元凶はおまえかよ!」

 

 (えええ?!)

 

 「てのは冗談です土方さん」

 

 沖田が、飄々と。哂った。

 

 

 「・・・・」

 

 眩暈がしたらしい土方が、襖の桟に手を掛ける。

 

 「で、用は何です」

 沖田が続けて聞くのへ。

 

 土方は諦めたように今一度、溜息をついた。

 

 「明日、黒谷に朝一で行くからついてきてくれと、言いに来たんだよ」

 「勿論いいですよ」

 

 「・・・非番のところ“邪魔”したな」

 土方は、沖田以上に剣呑な眼で、皮肉さながらのそんな台詞を吐くと。

 

 「いいか。乳繰るなよ」

 冬乃がもはや蒼くなるような命令を言い捨て、襖を閉じて行った。

 

 

 

 (・・・)

 

 

 恐る恐る沖田を見上げる冬乃に。

 向き直った沖田が、愛しげに冬乃を見下ろして。にっこりと微笑った。

 

 「邪魔、されたけど。続きする?」

 

 

 

 

 (さ、)

 

 「誘った・・わけじゃないんです・・っ」

 

 なんだか一気に、ふしだらな女に思われているような。冬乃が慄いて必死に訴えるのへ、

 

 「俺に対してだけ好色だなんて言うのは、」

 沖田が愉しげに笑う。

 「誘ってる以外に何なの」

 

 「そ・・ういう意味でも・・なくて、ただ、離れたくなく」

 (あれ、でも)

 

 もっとふれていてほしいと想う心のままに言ってしまったあの時。

 あの想いが“誘っている”のでなくて確かに何なのか。

 

 あの瞬間には、最初の夜のような危ういことまでをはっきり求めたわけではなかったにせよ。

 心のどこかでそれを望んでいた日々が続いてきたのも、また、事実なのだから。

 

 

 (~~~っ)

 

 

 もはや黙り込んで紅くなった冬乃を。

 見下ろして沖田が、

 

 「どうしようかな」

 揶揄うように。

 

 言いながら、だが冬乃の背を支えるなり、抱き起こした。

 

 

 「じゃあ俺の気が落ち着くために、真面目な話でも、しようか」

 

 (俺の気・・?)

 いずまいを正しながら冬乃がきょとんとしてしまったのを、

 

 見た沖田が、言い足す。

 「“冬乃へ色々したくなる”気」

 

 (・・っ)

 

 それはやはり自分のせいなのだろうかと。

 再び頬が熱くなる冬乃を見ながら。

 

 「前から聞きたいと思ってた、」

 

 沖田のほうは、

 落ち着くためと言っておきながらもう、とうに切り替えたかの表情で、話を始めてきた。

 

 

 「冬乃の家族のこと」

 

 

 

 「・・・え」

 

 冬乃も、また。

 

 そして一瞬にして。水を浴びたように、すっと胸内から熱が引いて。

 

 冬乃は、息を呑んで、真剣な眼の沖田を見つめ返した。

 

 

 

 「前に、藤堂が話を振った時があったよね」

 覚えてる?

 と沖田が続けた。

 

 

 勿論、覚えている。

 好き嫌いなく食べられるという話をした時だ。

 親御さんに感謝しなきゃね。・・愛だね、と。藤堂が言った。

 

 

 冬乃は頷いた。

 

 「あの時、貴女は黙り込んだから。気になった」

 

 沖田が気遣うような眼になり。

 

 

 冬乃はそっと逸らした。

 

 「すみませんでした・・」

 「そうじゃなくて。貴女がもしご家族と、うまくいっていないのなら、帰った時に、きちんと話せるのかが・・少し心配でね」

 

 

 (総司さん)

 

 胸奥がざわついて、冬乃は息を乱しそうになった。

 

 「・・うまくいってないんだね」

 

 冬乃の反応を感じ取ったのか、沖田が小さく溜息をついた。

 

 

 冬乃は正直に頷いた。

 

 「母から、昔は愛されていたことは・・わかってます。だけど、ここ数年は、もうずっとすれ違ったままで。・・もう今は、愛されてないと思います」

 

 

 「そうだとしても以前に愛されていたと思えているなら、まだ良かった」

 沖田が、それでもほっとした様子で呟いた。

 

 「うまくいっていない相手は、じゃあ母君?」

 「はい・・あと・・義父です」

 

 「そう」

 

 顔を上げた冬乃の前。何か考えるような様子で沖田が目を細め。

 

 「・・これはあくまで、」

 

 穏やかで、少し哀しそうな眼が。そして冬乃へ向けられた。

 

 「ひとつのものの見方として聞いて」

 「え」

 

 「親御さんへの、負の感情で貴女が苦しむよりは。こう考えていたほうがラクだろうと思うから、なだけの」



 (総司さん・・)

 その眼からは、冬乃への愛情が優しく流れ込むように伝わってきて。

 冬乃はそれだけでも癒される想いに、沖田をまっすぐ見つめ返した。

 

 「まず前提として、」

 沖田がゆっくりと始める。

 

 「俺達が出逢えたことも、」

 沖田は、今の言葉に冬乃がはっと目を瞬かせるのを、見返しながら続けた。

 「親子になるのも。全ては互いの縁、だとすれば、それは肉体ではなく」

 

 「“魂”のほうの話になってくると、思っている」

 そこまで言ってから沖田が、

 冬乃の反応を確認するように、冬乃を見た。

 

 「肉体ではなく・・魂」

 冬乃はおもわず、呟いて。

 

 それは冬乃が、未来に体を置いたまま、精神だけが此処へきていることを、思い起こさせたからで。


 沖田がそれを知るはずも無いが、

 だからこそ、冬乃は息を呑んで。沖田を食い入るように見つめ返していた。

 

 

 「体はあくまで、その産まれる世で生きるための、魂を受け入れる器であり、」

 

 そんな冬乃の眼差しを受け止めながら、沖田が再び話し出す。

 

 「魂は、体という器に、それを生み出した親との縁が生じたから、入ってきたということ。魂といっても固定の我の類ではない、つまり記憶があるわけじゃないが」

 それはさておき、と沖田が言い留めた。

 

 

 (親との縁・・が生じる?)

 「縁が生じるというのは、・・正確にいえば生じるより“成る”だが、いってみれば」

 

 「果てしなく多くの存在と、幾重にも繋がっている縁の元から、親子に成るにあたって何らかのさだめ・・法則に従いつつ、その上で“同条件”の間では無作為に、たまたま選ばれたということ」  

 

 「その無作為な抽出の結果によっては、貴女以外の他の魂が、貴女の体に入って生まれていたかもしれないし、貴女は他の体という器に入って生まれていたかもしれない、つまりは他の親の元に」

 

 冬乃は、目を丸くした。

 

 「未来でも未だ言われてるのか分からないが、親子は一世、つまり、現世のみの縁とされる。昔から言われている言葉で、古い書物にも散見するが意味は定かでなく様々な解釈がなされる、俺は勝手に今のように解釈している」

 

 「この言葉には夫婦は二世、主従は三世と続き、そのため御公儀は、これを親と主への忠義のための名言として広く知らしめた」

 

 (夫婦は二世・・)

 一瞬冬乃はその言葉のほうが気になって、胸内でおもわず復唱する。

 

 

 「この前提においては、子が親を選べないのも勿論、親も子を選べない。正確に言うと、子の魂を」

 

 「しかし、そんな降って湧いたようなその世かぎりの縁であっても、親は子を育てる。それも、・・こればかりは親によるものの、おそらく本来ならば、見返りを求めぬ無償の愛で。鳥獣でもこれを行うほどに、人もまた、親になるという選択をした時点できっと決定づけられる事なのだろうね」

 

 沖田の出した無償の愛という言葉に、冬乃はどきりと心の臓の音を聞いた。

 母も。初めはそうだった、はずなのだと。

 

 (・・それなのに)

 

 

 「だからこそ、親、夫婦、主従の中で、一世かぎりの縁でありながらその子を育む親の恩が、最も偉大だと解釈されることが多い。・・尤も、偉大なのは見返りを求めぬ愛を注いだ場合の話だけど、その部分をすっとばして、恩だけ語る親が世の中には五萬といるが」

 

 補足しておくけども、

 と沖田が前置いた。

 

 「愛することそのものが、自身の何らかの欲求からくる行為だから、それを満たすという点で必ず見返りを得ている、つまり見返りのない愛など無い、・・という屁理屈じみた事を言う人もたまにいるが、」

 

 「ここで言っている見返りとは勿論、そういった自身の内で完結する見返りではなく、子に対して『育ててやったのだから感謝して恩返ししろ』と要求するほうね」

 

 

 こんなにがんばって育ててきたんだから、少しは感謝してくれてもいいのに、と。母が義父に零していたことを冬乃は想い出した。

 

 感謝してほしい、つまり認めてほしいと。そう思うくらいは、人なら当然かもしれない。母のそんな愚痴なら、かわいいほうだったのだと。

 

 

 勿論、育てられた感謝なら。もうずっと昔から、冬乃は心の内に漠然と持っていた。

 

 (だけど・・・)

 

 育ててやったのに、と直に言われ続けるとなれば。それはもう沖田も言う、見返りを求める言動だ。

 

 たとえ、必死に育ててくれている間、それは見返りなど考えてもいない確かな愛によるものだったとしても。

 それを後から、振りかざしてしまっては。

 

 

 (だって私は)

 

 沖田に出逢えて、こうして幸せな日々に恵まれて、産まれてきてよかったと。産んでくれて、育ててくれてありがとうと。はっきり思えるようになったけども、

 

 一方で、

 産んでくれと頼んだわけでもないことに変わりない。

 いってみれば母の意思で産んでおいて。それで産んで育ててやったのにと、

 

 (責められても)

 

 

 冬乃が握り締めた手を。沖田が一瞥した。

 

 「貴女が・・貴女の世で人としての生をなす、輪廻によるそのさだめの元で、」  

 

 温かくも淡々とした沖田の声が、冬乃へ流れくる。

 

 「貴女は必ず、誰かしらの子として産まれる必要があった。そして、恐らく偶々それが、貴女の親御さんだった。・・仏教的な輪廻の思想と、先に話した、親子縁が一世という前提であればね」

 

 冬乃は、はっとして沖田を見た。

 

 

 たとえ母に頼んだわけでなくても。

 確かに冬乃は、産まれる必要があったのだ。

 

 それが、冬乃にはよく分からない輪廻のさだめとは別の、

 冬乃の心内で感じている、さだめであっても。

 つまりは、

 

 今、目の前に居る、沖田に、

 出逢うため。

 

 

 「一世の縁が、実際はどんな万象であるか、それ以前に真かどうかも、俺達には分からないわけだから何とも言えないが、もし貴女の魂が違う親の元に産まれていたとすれば、」

 そういう可能性がある、という考え方をしてみるならば

 沖田が継ぎ足す。

 

 「その場合、結果的に、貴女にとってもっと『幸せ』な家庭に生きていたかもしれないが、もっと『不幸せ』な家庭に生きていたかもしれない、同じような結果だったかもしれない。またはもう生きていなかったかもしれない」

 

 ただ言える事は。 

 「母君の元に産まれたおかげで、貴女は何もできない赤子の時期から、今に至るまでを、生き長らえ、」

 

 「・・仮に、貴女が生き長らえることを望んでこなかったとしても、死ぬことを未だ知らない赤子の時期だけは、必然的に生きるしか選択肢は無い中で、貴女をその通り生かした・・生かしてくれたのは、貴女の母君だということだけは、」

 紛れもない事実

 

 「この事は頭の片隅に置いといて。貴女の支えになる場合の為に」


 沖田が静かに続けるのを。冬乃は心の臓の高鳴る音と共に、聴いていた。

 

 

 「これまで様々な軋轢があっても、」

 沖田の穏やかな優しい声が、冬乃の耳へと届く。

 

 「親子が一世かぎりの、所詮は他人であるならば、それでも愛されていた実感を、貴女が確かに持てているならば。それ以上を望まなくてもいい。親御さんにも、貴女自身に対しても」

 

 「どんなに他人といってみれども、親との不和が続いていることは辛いことだが、互いにこうあってほしいと何かを求めるからそうなるのであれば、求めず、そして無理に受け止めようとせず。受けた傷に苦しんだなら、それも無理に許そうとせずに。唯、降って湧いた偶然かもしれないその縁に、もっとなりゆきを任せてもいい」

 

 「と俺は思う。・・勿論、こうあってほしいと願って援ける事と、要求し強要する事は違うよ」


 気遣うように、沖田が冬乃を見つめ。

 冬乃は。小さく震えた息を吐いた。

 

 

 (互いに、要求せず、無理に受け止めようとせず・・)

 

 

 冬乃は、母に、もっと話してほしかった。話してくれる母であるよう母に求め、そうでない母を嘆いた。

 本当は実父の事も、

 再婚を考えていた相手の事も、突然すべてを自分だけで決めずに。


 (私は貴女の子供だけど、でももっと認めててほしくて)

 

 そして義父よりも、

 

 (私を、一番にみていてほしかった・・ずっと)

 

 

 深く、果てもなく深い愛情を。餓えるように求めていた。すでに幼い頃から、母なりの拙い愛であろうとたくさんもらっていたのに、尚。

 そして親なら当然、それができると思っていた。

 母が、子なら当然、どこまでもついてくると、従うものと、そうあるよう要求してきたように。

 

 

 (なのに、)

 

 義父の言葉の暴力を、止められないでいる母に、冬乃を護ろうとはしない母に。冬乃は絶望した。

 たとえ義父が母に味方し、母を想っての言葉だったとしても。

 

 

 胸内を抉るその痛みに、冬乃は目を瞑る。

 

 

 (・・そして、この傷は。・・無理に許そうとしなくてもいい・・・)

 

 

 

 「さっき貴女にとっての『幸せ』な家庭、『不幸せ』な家庭、と挙げたけど、」

 

 冬乃は、改めて耳に響いたその言葉に、おもわず見つめ返した。

 十代のはじめから家族と離れ、他家で過ごした沖田を。

 

 「貴女にとっての『幸』『不幸』がどんな基準によって定まるかは、貴女にしか分からないが、いいかえれば、貴女が決めることでもある」

 

 そんな彼の言葉は。

 冬乃の胸奥に深く落ちてゆくように。心に、じわりと拡がりゆくように。届き。

 

 

 「その上で今の話のように、違う親の元に産まれていた可能性があると考えてみた場合に」

 沖田が冬乃をその穏やかな眼のままに、覗き込んだ。

 

 「冬乃は、今の母君の元に産まれたことを、良かったと思える?」

 

 (あ・・)

 

 

 昔の、幸せだと冬乃が自覚も無しに、きっとそう感じていた頃の。母の笑顔が、浮かんで。

 

 今の、母との関係を幸せでないと決めるのも、幸せだと決めるのも、冬乃なのだと。

 つまりある境遇を、幸不幸どちらに捉えるかは本人が決める以上、可能なら幸せと捉えられるほうがいい。

 沖田がそう意味したのだと、胸内でさざめき。

 

 

 一方で沖田は冬乃に強制してはおらず、

 冬乃が自身の基準を定め、そうして考えてみても、心で感じても、やはり幸せだと捉えられそうになければ、そう認めて然るべきであり。

 

 母の元に産まれたことを良かったと思えるかどうか、という問いかけは、まさにその判断を冬乃に委ねるもの。

 

 

 (・・そして私は・・私の家の場合は。今すれ違っていても、)

 

 母に愛されていたと、どんなかたちの愛であれ。実感のある過去がさいわいにも存在し。

 

 仲違いしてからでさえ、これまで食事も、家も。学校も。すべて当たり前のように用意され続けていたではないか。

 

 どうしてそれを当たり前だと、親の義務だと、思うばかりで、

 母の愛ゆえかもしれないと考えることなく、

 幸せなことだと思おうとすらしなかったのだろうと。

 

 

 冬乃は。

 すぐには声も出せずに。俯いた。

 


 そんな冬乃に、

 「今すぐにそう思えなくても」

 

 沖田のかわらず優しい声が届いた。

 

 「いつかもし、振り返ってそう思えたなら」


 冬乃は、顔を上げた。

 

 「或いはそれで十分なのかもしれない。貴女がどう受け取るかは、その時も貴女の心が決める基準次第で勿論正解など無いが」


 「きっと・・っ・・」

 冬乃は声を押し出して、追った。

 

 「母の元に産まれて、良かったんです・・」



 沖田が一瞬見開いた目を、穏やかに細め。

 

 「俺は貴女の母君に感謝してもしたりない」

 

 冬乃の髪をそっと撫でて。微笑んだ。

 

 

 「おかげで、貴女に逢えたんだから」

 

             





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