1-14【魔法学校の入学試験 13:~木苺の館~】



「これが規則関連の書類、時々でいいから目を通しておいて」

「はい」


 事務局の窓口にて、気の良さそうなおっちゃんが書類を差し出し、モニカがそれを受け取る。

 アクリラに居場所を見つけた俺達は、事務局にやってきて残りの手続きを行っていた。

 今はアクリラで生活する上での注意事項を聞いている最中だ。


「それでこっちが寮に関する案内、特待なんで学費と生活費はアクリラ持ちだよ」

「はい」

「それでも何かと入用になるだろうから、冒険者協会の案内ね、この辺は討伐依頼はないけど、採集とか手伝いとか、あと治験の依頼は多いね」

「はい」


 治験って・・・


「討伐旅行の募集なんかもやってるけど、君はまだ研修受けてないから駄目だよ、でも、中等部一年の最後に研修があるからすぐさ」

「はい」


 あ、俺達はアクリラ出られないんで、研修受けても行けないんですよ。


「制服の予備は寮に送ってるから、でも冬服は1ヶ月か2ヶ月くらい見ておいて、夏服、冬服はどっち着てもいいから体調に合わせて分けてね、マントはいる? 一応自由だけどアクリラ公式のがあるよ?」

「暑そうなのでいらないです」

「そう、マントはいらない・・・と、教材とかは授業が決まってからだけど、一応今決まってる基礎座学の教科書はこれね」

「はい」


 モニカがおっちゃんが渡してくれた数冊の本を受け取る。

 凄いな、他じゃ本なんて高級品なのに、ポンと手渡されたぞ。


「ちょうど明後日が週始めで、そこでどういうカリュキュラムにするか決めるって話だから、そのつもりでいてね」

「はい」

「寮は、東山の”知恵の坂”ね、場所はここだから」


 おっちゃんが地図を取り出して、場所を指し示す。

 でもここって・・・


『モニカ、最初に街を見たときに、家が斜面から横に生えていたところを覚えてるか?』

「家が横に生えてるところ?」

「ああ、あそこ遠目で見るとそんな感じに見えるね、でも安心して、ちゃんと床は下にあるから」


 屋根は上にあるんですよね?


「結構広いよ、3人部屋だけど、それは規則だから我慢してね」

「えっと牛って飼えますか?」

 

 モニカがロメオについての確認を行う。

 なんだかんだで世話になっているので、ここで売り飛ばすというのも忍びなかったのだ。


「ああ、全然大丈夫だよ、そこなら専用のスペースもあるし、色んな動物を飼ってる子も多いからね、馬とか牛は荷運びとかに使えるから比較的人気だし、でも・・・」


 するとおっちゃんが首を近づける。


「流石に家よりでっかい動物は困るよ、ここだけの話だけど、70ブルくらいの大きさの竜を飼ってる子がいてね、いつもはいないんだけど召喚したときなんかは、そりゃもう大騒ぎさ」

「・・・ははは」


 なんだろう、その竜に心当りがあるんだが・・・


「後は、アクリラ各所の学生用倉庫はここで申請すれば借りられるよ、料金は場所とかによって全然違うけど、うまく使えば便利だから、考えておいて」

「はい」


 倉庫か、どんなのだろう?

 やはり魔法士だけあって荷物は多めなんだな。


「それと動物病院にあずけてるパンテシアだけど、さっき飼いたいって言ってたのは、これのこと?」

「はい」

「そう、退院していいって連絡来てるから、寮に行くときに連れていきなよ」




「うぐっ・・・」


 突然腹部に走った強烈な痛みに、モニカが呻く。

 動物病院に移動すると、すぐにロメオがこちらに向かって突進してきたのだ。


「キュルル! キュルル!」


 ロメオが興奮したように鳴いている。

 五体満足な俺達の姿を見て、嬉しそうに声を上げている姿は微笑ましいが、自分の数倍の体躯の牛に腹部への突進攻撃を受けた俺達はそれどころでは無かった。


「ああ・・・けっこう・・・きつい」


 胃袋の中身がひっくり返ったようだ。

 昼食ってないので胃液だけだが、それが幸いした形になる。


『ロメオ、おすわり!』

「キュル!」


 俺がそう言うとロメオが目の前に伏せた。

 それは”伏せ”だぞ?

 まあ、牛がおすわりしてる姿なんて想像もできないが。

 それにしても今のは強烈な一撃だった。

 これはゴーレム戦で突進を覚えたのかもしれない。

 気のせいか、前に見たときよりも体が締まってマッチョになっているような・・・


「うふふ、この子かなり元気でね、獣医たちとよく押し合って遊んでいたの」


 担当の獣医の先生が、なんでもないようにそう言った。

 アクリラの獣医って、牛相手に笑って相撲取れるくらいじゃないといけないのか・・・大変だな・・・

 じゃない!

 どおりで引き締まってるはずだ、この2日で一体どれだけ運動したんだこいつ。


「キュル?」


 腹を抱えるモニカの姿にロメオが不思議そうな表情を作った。

 本人はなんで俺達が痛がってるのか理解してない感じだ。

 これは早急に対策が必要かもしれない。

 少なくとも誰かれ構わず突っ込む事態は、避けなければ。




 動物病院でロメオを引き取った俺達は、一旦事務局へと引き返し、そこで荷物を受け取ってロメオの背中に詰め込んだ。

 正直会う前は、病み上がりのロメオに荷物を背負わせるのは無理かと思っていたが、獣医の先生からもOKが出ているし、”本人”も負荷が足りなそうだったので、遠慮なく積むことにした。


 そして俺達はこれから住むことになる、”知恵の坂”のある、アクリラの東山へと歩みを進めていた。

 東山は街の中からでも見えるので迷う事はない。

 そしてその特徴的な構造もあるので、どの山か迷うこともなかった。

 ここからでも、斜面から突き出した”家”の姿がよく見える。


 近づいていくと、その構造がさらにハッキリと見えてきた。

 家だと思っていた物は、想像より二回りほど大きな物体だとわかった。

 横向きについている屋根だと思ってたものは、実際はその構造体を支える柱と梁で、アクリラの建物の屋根のようにカラフルに塗られていたのと、三角形に突き出していたため、屋根だと錯覚したようだ。

 本物の家は、その物体を土台にして上にちょこんと乗っており、屋根はちゃんと上向きについている。


 一つ一つの構造体が庭付きの家のようになっていた。

 それが斜面にびっしりといくつも並んでいるのだ。

 正確な数はよくわからない、見えないところにもありそうだった。

 思いの外豪華だが、本当にあれが寮なのだろうか?

 だが地図に書かれた地点ってあそこなんだよな・・・


 さらに近寄ると、少なくともそれが寮であることは間違いない事が分かった。

 家の庭などに、制服を着た生徒の姿が多く見られたのだ。

 白と黒の魔法学校だけでなく、カラフルな商人学校の生徒の姿も見える。


 そしてその山の斜面の麓に、大きな建物がいくつも並んでいるのが見えてきた。

 どうやら斜面に生える家の構造体は”坂”単位で管理されているらしく、横の斜面に作られた道が、何本かずつ纏まりながら1つの麓の建物に繋がっていた。


 建物を見るとそれぞれに、”勇気の坂”や”根性の坂”などの看板がかけられていた。

 やはりこれ1つ1つが寮なのだろう。


 俺達が目当てである”知恵の坂”へと辿り着いた頃には、すっかり日が落ちていた。

 少し時間がかかったからな。

 だが建物の中は明るく照らされ、様々な年齢の生徒たちが元気よく走り回っている姿が窓越しに見えた。


 ”知恵の坂”と書かれた麓の建物は、他と同じように石造りのしっかりとした柱が何本も並ぶスタイルだった。

 全体的に使い古した感じはあるものの、塗り直して間もないのか壁の塗装は綺麗だ。

 色は赤をベースに黄色と青で装飾が塗られている。


 ここが今日から我が家になるのか。


 俺がそんな感慨に浸っていると、入り口の近くでモニカが固まっていた。

 どうしたのかと注意を向けると、久々にガチガチに緊張しているモニカがそこにいた。

 どうやら建物の中から聞こえてくる、子供たちの笑い声に怯えているらしい。

 シリバ村で、初めて人の群れを見た時並の固まりようで、ちょっと懐かしいと同時に俺は少し安心した。


 きっと安心して気が抜けたことで、人の多さに気がついたのだろう。

 ここ最近のモニカは人混みに物怖じしなかったが、それは命がかかった別の緊張のせいで、余裕がなかったからなのだ。

 なので、今のこの反応はモニカが安心したことの証拠でもある。


 だがこんな所で固まられても、なんともできないわけで。

 ロメオが何事かと伺うようにこちらへ顔を向ける。

 どうしようか?


 その時、寮の前で固まっていた俺たちを見かねたのか、中から誰かが出てきた。

 この街でだと特に珍しくはない、輝くような赤い髪の高等部の生徒だ。

 だがよく見ると目がかなり黄色いので、魔力傾向は黄色かもしれない。

 優しそうな雰囲気のお姉さんだ。


 特徴的なのはフワフワの尻尾があることか。

 あと髪に埋もれてわかりづらいが、頭頂部の両サイドが不自然に盛り上がってるが・・・

 あ、耳がぴょこっと立ち上がった、獣人だ。


「どうしたの? 迷った?」


 獣人の上級生がそう言って声を掛けてきた。

 声もこちらを気遣うようで、背の低いモニカに合わせて、自然に膝に手をついて頭を下げて目線を合わせてくれた。


「ええっと・・・」


 だがそれが、かえって逆効果だったようでモニカの緊張が増してしまった。


『モニカ、寮の書類』


 反応できなかったモニカに俺が最適な行動を指示する。


「あ! あ、これ!」


 俺の言葉にモニカが慌てて懐を探り、事務局で貰った寮の書類を取り出してその上級生に渡した、これでなんとかなるだろう。


「ん? なになに? えーっと・・・」


 その上級生がモニカから受け取った書類を開いて、その内容を確認している。


「ああ、あなた、”ウチ”に新しく入るんだ! だったら、遠慮せず入っちゃってよ」


 その上級生がそう言ってモニカの手を取り、建物の玄関に向かって歩き出した。


「あ、ええ!?」


 モニカが突然の連行に素っ頓狂な声を上げる。


「あの・・・この子、どうすれば!?」

「ん? あ、このパンテシア?」

「はい、どこで飼えば、動物も飼えるって聞いたんですけど・・・」


 するとその上級生が足を止めて、ロメオを向いて見つめた。

 何やら品定めをしているようだ。


「キュル?」


 ロメオが何事かと上級生を見つめ返す。

 

「うん、大丈夫、変な臭いもないし汚れてもいないから、今日はここから入っちゃって大丈夫だよ」


 そしてお許しが出たロメオごと、モニカを引っ張って建物の中に入ってしまった。

 

 建物の中に入ると、そこは広間のようになっていて、置かれている椅子に座って本を読む生徒の姿や、楽しげに喋る生徒たちの姿が目に入ってきた。

 それと気のせいか若干涼しい。

 外が夜になっても結構な暑さだったので、これはありがたかった。


「ちょっと、ここで待っててね」


 そう言って、引っ張ってきた上級生がここからすぐのところにある部屋の中に入っていった。

 扉の隙間から見える内容からして、おそらく事務室的なところだろう。

 そして言ったとおり、すぐに別の書類のような物を持って戻ってきた。


「ええっと、モニカ、モニカ・・・あった、モニカ・シリバ、確かに名簿に追加されてるわ」


 そう言って名簿の一番下を指差すと、そこには確かにモニカの名前が書かれていた。

 よかった、ここで間違いないらしい。


「部屋番号は512・・・待っててね、今、あなたの同室の子呼んでくるから・・・」

「それには及びませんよ、ジーナ先輩」


 突然、案内してくれた上級生のすぐ後ろに、それまで気づかなかった人影がニュウっと現れ、それにモニカが一瞬ビクッとなる。

 一体いつの間に、この上級生の後ろに回り込んだのか。

 だがその人物は見知った顔だった。


「ああ、もう、ルシエラ! その癖やめてって言ってるでしょ!」

「ヘヘ、いやあジーナ先輩は結構抜けてるから、つい」

「”つい” じゃありません!」 


 ジーナ先輩と呼ばれた人物と話していたのは、なんとルシエラだった。

 今は魔力が抜けて髪も暗い色で、さらに高等部の制服を着ているので印象はかなり異なるが、その顔は見まごうことなきルシエラだった。

 そしてモニカが驚いた顔でルシエラを見つめていると、その反応をジーナ先輩が訝しがる。


「あら、あなたたち知り合いなの?」

「いや、初めて会いましたよ」


 ルシエラがしれっとそう言い、ジーナ先輩の隙きを見てこちらに向かってウインクした。

 その顔には”黙ってて”と書いてあるようだ。


 そうだった。


『モニカ、俺達の素性は隠してるから、ルシエラともここで”初対面”って設定だったはずだ』


 それが面接に向かう時に校長と打ち合わせた内容だった。

 合格後は、俺達は表向き、アクリラに”フラッ”っとやってきた魔法士志望の少女で、普通に試験を受けて、普通に合格したという体で行くのだった。


 決してアクリラが手引きしたなんてことをバラしてはいけない。

 もしバレれば俺達の正当性が揺らぎ、アクリラも俺達を守れなくなってしまう。

 なので、ルシエラとの旅もそこで行った受験勉強も、他の生徒には隠さなければならない。

 少なくともマグヌスとの交渉が上手くいくまでは、この状態になる。


「ええっと、そうそう、はじめまして・・・」

「ふーん・・・」


 ジーナ先輩が不審げな表情でモニカとルシエラを交互に見る。

 なにか俺達の関係に感じるところが有るようだが、深くは聞いてこなかった。


「それじゃルシエラ、この子はあなたの所に入る事になってるから、あとは任せるわ」

「任されまして、ジーナ先輩」


 そう言ってルシエラがニッコリと笑うと、そのわざとらしさにジーナ先輩が苦笑いを返した。


「・・・ん、まあ、一旦部屋に案内しちゃってちょうだい、夕食も近いけど、荷物とか邪魔だから」

 

 そう言うとジーナ先輩がルシエラに、俺達の書類の一部を抜き取って渡した。


「ふむふむ、なるほど、”モニカ・シリバ”ちゃんね、私は”ルシエラ・サンテェス”、これからよろしくね」


 そういってルシエラがこちらを向いて自己紹介を行う。

 もちろんそんな必要はないが、ここは他の生徒の目も有るのでこれも演技の内だ。


「よ、よろしくお願いします・・・」


 そしてモニカもその演技に付き合って、ペコリと頭を下げる。

 すると、ルシエラがモニカの方に腕を回して、そのまま歩き始めた。


「それじゃジーナ先輩、私達”部屋”の方に行ってきますね」


 そう言ってそのままズルズルと、俺達を奥の方に引っ張っていくルシエラ。

 俺の後方視界には、未だ不審がるジーナ先輩の姿が映っていた。


「・・・あまり、その子をいじめないでよ!」


 ジーナ先輩の最後の言葉に、ルシエラが軽く手を振って応えた。

 


 どうやら”部屋”には建物の奥から行けるようだった。

 広い廊下を抜け、裏の玄関のような扉を抜けると、そこは公園のような空間が広がっていた。

 ここにもベンチなどが置かれ、何人かの生徒たちが談笑している。

 そして”部屋”という名の家に続く坂道は、全てここから伸びているようだった。

 横を見ればそのまま外に繋がる道もあり、この公園の様な広場がこの寮の交通の要所であることがすぐにわかった。


 そしてルシエラは、俺達を引きずったまま”5”と書かれた道に入り、そのまま坂をどんどん登っていく。


「ルシエラが同室って知ってびっくりした」


 坂道を進み人気がなくなった所で、おもむろにモニカがそう切り出した。


「うん、校長先生の配慮だって、モニカ達の”スキル”は隠すにしても、同室の子に隠すのは無理だからね、2人黙らせるより、1人黙らせる方が効率的でしょ? それにウチはちょうど1人分空いてたから」


 黙らせるって・・・

 でもそのおかげで、少なくとも同室の1人とは見知った間柄になったわけだし気が楽だ。

 モニカもさっきまでガチガチだった緊張が、今は少しずつ緩んできている。

 それに今は魔法は使えないけど、この人は頼るにしても心強いだろう。


 そして俺達は下から数えて12番めの、”512”と書かれた家の所で足を止めた。


「じゃーん! これが私達の部屋こと、通称 ”木苺の館” でーす!」


 そう言ってルシエラが手を広げて、自慢げにその家を紹介した。


 ”木苺の館”


 名前と関係しているかまでは分からないが、その名の通り屋根を横に倒した様な”支え”と、それより小さな本物の屋根が鮮やかな赤色に塗られていた。

 そしてこの家もそうだが、この斜面に生えた家は、近くで見るとその大きさに圧倒される。 

 屋根を横倒しにしたような構造体の上に、結構広い庭と小さな家が乗っているのだ。

 それに小さな家といっても、3人で住むには広すぎるくらいだろ。


「ちょっと大き過ぎない?」


 モニカも流石にこれは豪華過ぎると感じたのか、確認するようにルシエラに声を掛けた。


「その辺は一応、”特待生”だからね」


 ルシエラがそんな驚愕の事実を暴露した。


「ここって”特待生”だけしかいないの!?」

「そうだよ」


 ルシエラがあっけらかんとそう言ってのけるが、特待生というだけでこの待遇とは、さすがアクリラというべきか・・・


「でも他の寮も、ちょっと手狭なくらいだよ、魔法士の勉強はスペースを食うからねー」


 そしてルシエラが”木苺の館”の、倒した屋根のような土台部分に作られた大きな扉を、ガラガラと音を立てて開けた。


「ロメオの背中の荷物はこの中に置いてね」


 そう言ってルシエラがその中を指差す。

 見ればそこは倉庫のような場所だった。

 屋根のような土台の内側は、本当に屋根裏部屋のような場所だったのだ。

 かなり広い空間に、大小様々な棚や台が置かれ、そこに用途不明の様々な物体が並んでいる。

 そして俺達はその中で不自然に何もない空間に案内された。

 ちょうど全体の3分の1くらいの広さだ。

 

「ここがモニカ達のスペースよ、すぐに使わないものなんかは、ここに置いておいてね」

「うん、わかった」

「結構広いな」


 ここはもう他の人の目が入る余地が無いので、俺も普通に喋ることにした。


「それでも、なんだかんだで埋まるものよ、私なんてここには納まりきらないから、次元魔法の倉庫に殆ど移しちゃってるくらいだもん」


 そういえば残り2つのスペースの内、片方は荷物が少ないな、こっちがルシエラのだろうか、気のせいか置いてあるものが高度な気がする。


「だけど、そのせいで今は取り出せないだろ?」

「そう! だから困ってるのよねー」

 

 自分の問題なのに、ルシエラはまるで他人事のようだ。

 一応、俺達の荷物も結構入ってるので、ちゃんとしてほしいのだが。


「魔力が戻ったら、取り出せるよね?」


 不意にモニカが冷たい声で、ルシエラにそう聞いた。

 

「も、もちろんよ! その辺は安心して!」


 さすがのルシエラもモニカの不穏な空気を察したのか、慌ててそう答える。

 実はモニカの1番大切な荷物である、クーディとコルディアーノのパーツを納めた箱はルシエラの次元魔法の倉庫の中にあるのである。

 旅の途中で、ここなら絶対安全! と豪語したので最終的に入れたのだが、これで取り出せなくなったら只ではすまないだろうから、ちゃんとしてくれよ。

 

 モニカもルシエラを信じてはいるので、それ以上は突っ込まず、ロメオに背負っている荷物を下ろす作業に戻った。

 しかし結構な量の荷物だと思っていたのに、この倉庫に下ろすと意外に少なく感じるな。

 何を置けばここが埋まるのだろうか?


 するとルシエラが倉庫の中心の床板を持ち上げた。


「一応言っておくけど、この下にも共用の倉庫が有るから、この上には置かないでね」


 荷物を置いたモニカがそこから下を覗き込むと、確かにこの下にも倉庫があった。

 どうやら傾斜に沿って倒された屋根のような構造なので、下に少し空間ができるようだ。

 3人のスペースに比べればかなり狭いが、それでも結構な量の物資が置かれていた。


「それじゃ荷物も置いたことだし、上に行きましょ」


 


 倉庫兼土台の上に広がる庭からの眺めは、凄いものだった。


「おぉ・・・」


 モニカがその光景に圧倒される。

 斜面に突き出す形のために、庭はまるで空中に浮かんでいるかのような錯覚を覚える。

 手すりがないので、結構こわいくらいだ。

 そして庭の先には、一面にアクリラの街が広がっていた。

 今は日が落ちた後なので真っ暗な中に、街の明かりが星のように煌めいている。

 まるで夜空を地面に落としたかのようだ。

 これを毎日見られるとか、それだけでこの家が素晴らしく感じられる。 


 するとルシエラが腰に手を当てて、庭を見渡した。


「うーん・・・動物はここに飼ってもらう事になってるけど、野晒しは可哀想だから厩でも建てるか・・・」

「建てられるの?」


 モニカがそう聞くと、ルシエラが親指で隣の家を指し示す。

 顔を向けると、そこには同じような庭の上に建つ小さな厩と、そこに繋がれた羽の生えた馬の姿が目に入ってきた。

 というかあれって、ペガ・・・


「あんな感じで、馬とか牛を飼ってる子は厩を作ってることが多いわね、申請すれば寮が1週間くらいで建ててくれるわ」

「うん、わかった」

『ねえ、あれって、ペガサ・・・・』

「今日は仕方ないから、ここに繋いでおきましょう」


 そう言って、庭にいくつか有る杭のような所にロメオを繋ぐと、ロメオがそこに座り込んで土の感触を確かめるように頭を地面に押し付けた。

 そして、そのまま周囲を見渡すと、すぐ横の止まり木のような物に留まる緑のフクロウと目があった。

 フクロウが ”よう、お前新入りか?” といった表情でロメオを見つめ、ロメオが ”誰やお前?” 的な表情でフクロウを見つめ返す。


「あのフクロウは?」

「あの子は、サティ、同室のもう一人が飼ってるフクロウよ」

「よろしくね、サティ!」


 モニカがフクロウに挨拶すると、フクロウが目を閉じて軽くお辞儀した。

 

「うわ、頭いいな、ロメオとは大違いだ、でさぁ、それよりも隣のぺ・・・」

「それじゃ中に入りましょうか!」

「うん!」


 ねえ、二人ともあれ気にならないの?

 だって、羽の生えた馬だよ? ペガサ・・・・


 スッという音がして、何事かと振り向くと家の中からカーテンを開けてこちらを見る、2つの瞳が見えた。

 それに対してルシエラが手を振って応える。

 すると再びカーテンが閉じられ、家の中を誰かが動く気配が伝わってきた。

 あれが俺達のもう一人のルームメイトか。

 目しか見えなかったが、エメラルドのような綠色の瞳だった。


 そしてガチャリと音がして、家の扉が開かれると、そこにモニカと同じくらいの背丈で初等部の制服を着た、可愛らしい女の子が立っていた。

 緑がかった黒の髪を、後ろでリングのような形に纏めた不思議な髪型をしている。

 クリンとした綠色の瞳も考えると、彼女の魔力傾向は緑だろうな。


「ルシエラ姉様、その方が、お話になっていた新しい同室の方ですか?」 

「そう、モニカよ」

「えっと・・・モニカです」


 モニカが恐る恐るそう言うと、その女の子が丁寧にお辞儀した。


「はじめましてモニカ姉様、ベスティ・テレザ・ミレニアです、お気軽に”ベス”とお呼びください」

「え・・ええっと、何歳?」

「8歳になります」


 うわぁー

 2つ下なのにモニカと身長変わんねー

 これでもちょっと伸びたのにー


 それにしても良くできた子だこと・・・

 あのフクロウの主だけのことはある。


「ふふふ、すごいでしょ? 凄いお金持ちの娘さんだから、お金に困ったら、たかりなさい」

「え!?」

「利子は高いですけどね」


 ルシエラの謎の冗談に翻弄されるモニカ。

 それに悠然と切り返すベス。

 これはジョークスキルも必要かもしれないな・・・


「さあ、さあ、こんな所に突っ立ってないで、入っちゃいましょ」


 ルシエラがそう言ってモニカとベスの背中を叩き、皆で家の中へと入っていった。


 中は広いワンルームといった印象だった。

 壁に沿ってベッドと机のセットが置かれ、後は自由に好きなものを置いていた。

 あのガランとしたスペースが俺達のものだろう。

 棚なんかは前にここにいた人が残していったのだろうか。

 ありがたく使わせてもらおう。


 部屋の真ん中には大きめのテーブルと、背もたれのない小さな椅子が並んでいる。

 それと奥にもスペースが有るらしく、扉のようなものが2つ。

 きっとトイレとかだろう。


 そしてすぐ後ろで、ルシエラがパタンと扉を閉めると、手を叩いて注目を促した。


「さあ、これで何も隠す必要はないわよ」


 そしてそう言ってこちらを見る。

 だがモニカは何かが引っかかったかのように、ルシエラとベスを交互に見つめた。

 その意味は理解しているが、本当に言っちゃって大丈夫かと心配している感じだ。

 まあ、これは俺の問題だし、俺がなんとかするけど。


「ええっと、それじゃ俺もよろしく頼む」

「ロン?」

 

 俺がモニカの後頭部に有るスピーカをオンにして、喋り始めた。

 するとその声に驚いたのか、ベスの目が少し大きく開かれた。

 だがそれ以上ではない。


「ロンさんですね?」

「聞いてたのか?」

「ええ、お昼頃に校長先生にルシエラ姉様と呼ばれて、そこでお聞きしました、ご安心ください誰にも言いませんから」

「まさか契約魔法?」


 モニカが心配そうにベスに問いかける。

 だがベスは首を振った。


「生徒に対して、契約魔法を行使するのはかなり大変なことなんです、でも安心してくださいルシエラ姉様に誓いましたから」

 

 そう言ってベスがキラキラとした目でルシエラを見つめると、ルシエラが気恥ずかしげに頭を掻いた。

 ふむふむ、随分と仲がよろしいようで。

 モニカとベスもこれくらい仲良くなれればいいな。


 そう思っていると、そこでルシエラが咳払いを一つ入れた。


「コホン、えー、それではまず形式的なことから・・・・この”木苺の館”に大きなお知らせが2つあります!」


 ルシエラが勿体ぶって話し始めた。

 しかも、すごくわざとらしい表情だ。

 そしてなぜか、ベスも神妙な顔になっている。 


「まず、去るこの春の学期末にて、我等の偉大なるお姉さまこと、ルイーザ・セルジお姉さまが晴れて高等部を卒業され、この寮をご退所なされました!」


 ルシエラがそう言い、ベスが拍手する。

 どうやら俺達の前にこの部屋にいた生徒の話のようだ。


「今まで我々を導いてくれた、親愛なるお姉さまに感謝を捧げつつ、彼女の今後の活動を祈りましょう」

「はい!」


 2人がそう言って、暫く目を閉じる。

 ルイーザ姉さまとやらを知らないモニカも、なんとなくそれに釣られて目を閉じた。

 こういう時は、一応祈っといたほうがいいのだろうか?

 ええっと・・・ルイーザお姉さま、よく知らないけど頑張ってください・・・


「コホン」


 その時、ルシエラが咳払いを一つ入れ、目を開けると部屋の中に薄っすらと緊張感が漂っていた。

 見ればベスティも襟を正して、謎の気合を入れている。


「それでは・・・ルイーザ姉さまの健闘を祈るために、この部屋に代々伝わる伝統の儀式を行います!」

「はい!」

「え・・・っと」

「モニカとロンは知らないだろうから、よく見ておくように!」


 状況が読めないモニカがまごつくと、すぐにルシエラが俺達をビシっと指差してそう言った。

 その目は有無を言わせぬ迫力があり、反論をゆるさない。

 いったい何が始まるというのか・・・・


「赤毛!」

「背が高い!」

「やさしい!」

「話しやすい!」


 突然、ルシエラとベスが交互に何かを叫び出し、それがどんどん続いていく。


「力強い!」

「友だちが多い!」


 暫くその様子を眺めていると、それが誰かの”特徴”であることに気がつく。

 おそらくこれが、ルイーザお姉さまとやらの情報だろう。

 それをルシエラとベスが、交互に言い合っているのだ。

 それを聞いていると、俺の中に恰幅のいい、大柄のやさしい少女の姿が浮かんできた。

 きっと彼女たちにとっていい姉貴分だったのだろう。

 決して魔力は強くはないが、何度もルシエラやベスを支え、2人から愛されていることを実感する。


 だが、この奇妙は儀式は段々と不穏な方向へ・・・


「足が臭い!」

「おせっかい過ぎる!」

「声がうるさい!」

「暑苦しい!」


 段々と内容が悪口になっていったのだ。

 その変化にモニカも何が起こっているのか理解できず、呆然と2人を見つめている。


「わたしのベリアル勝手に食べた!!」

「1週間かかったレポートの上にカルヒをこぼされた!!」

「うわ!? それひどい! えっと、私に借りた248セリス返してもらってない!!」

「それもひどいです!! ああっと、鼻の中から※ピー!※変換が中止されましたが、漏れて※ピー!※変換が中止されましたみたいな事になってました!!!」

「ベス・・・それ言っちゃう? ・・・だったら、あの※ピー!※変換が中止されました!! ※ピー!※変換が中止されました※ピー!※変換が中止されましただ!!!」


 もはや人格が変わってないか?

 

「ねえ、ロン、※ピー!※変換が中止されましたってなに?」

『知らない方が良い・・・まだ早い』

「はあ・・・・」


 そしてそんな俺達を置いて、ルシエラとベスの2人は尚も、”恨みつらみ”と化した”思い出”を叫んでいく。

 次第に声は枯れていき、お互いにいかに酷い目にあったかを涙ながらに告白しながら、いつの間にか慰めあっていた。

 もはや俺の中の仮想ルイーザは、最初の優しそうなイメージは消えてなくなり、会いたくなくなるほど醜い状態になっていた。


 そしてついに、ネタが切れだしたのか ”お前のかーちゃんデベソ” 級の悪態しかでてこなくなると、一旦一息ついてから2人揃って最後の言葉を口にした。


「「二度と戻ってくるな!!!!!!」」


 そう言い終わると、二人揃って膝に手をついて休む。

 その表情はどこか寂しげであるが、スッキリとしたものだった。


「ふう・・・ごめんね、意味分からなかったでしょう?」


 するとルシエラがこちらを向いてそういった。


「分かんなかったというか・・・」

「ちょっと怖かったぞ」


 俺達が正直な感想を述べると、ルシエラとベスが軽く笑う。


「モニカ姉さま、これはこの寮に伝わる伝統なのですよ」

「旅立った先で成功できるように、残された者が思い出せるだけの悪口を言い合うの、”お前の居場所はもうないぞ!”って」

「本来は退所の翌日に行うのですが、ちょうどルシエラ姉様が帰国で空けてらしたのと、モニカ姉様もすぐに来るとのことだったので、今日になりました」

「もちろん私の時もやるし、モニカの時もやるから覚悟してなさい」

「は、はあ・・・」


 それはまた、厄介な。


 ただ、これは残された同室の者たちに対する配慮にも思われた。

 愛する同室の友が、もう戻っては来ないということを、こうやって自覚するのだ。

 それに、よほど仲が良くなければここまで悪口も出てこないだろう。

 いいところだけでなく、悪い所も含めてその人の思い出として刻み込みたいという、切なる願いにも感じられたのだ。


 俺達はここまで愛されることができるのだろうか?

 いや、その前にルシエラの卒業までに、ここまでの悪口を拵えるのが先か。


「はい、ルイーザお姉さまの思い出はここまでにして、もう一つの大きなお知らせについてです!!」

「わーい!」

「わーい」

「わ・・・」


「この度、わが”木苺の館”に新しい仲間が加わりました!! ここにいるモニカ・シリバさんです!!」

「おー!」


 ベスがこちらに向かっていい笑顔で拍手をしてくれた。

 既に自己紹介は済んでいるので形式的なだけだが、こうして改めて言ってもらえると、ここにいていいんだという安心感があった。


「それと、これを一人としてカウントしていいかどうか分かりませんが、彼女のインテリジェントスキルであるロンは、普通に喋るのでこの部屋の中では一人としてカウントします!!」

「おー!」


 ベスがまた再び拍手するが、なんとなく二度手間的な感覚になった。


「ところで、俺達が出ていくときは”あの儀式”は、俺の分もやるのか?」


 すると、ルシエラとベスが顔を見合わせる。 

 そこには”考えてなかった”という言葉が刻まれていた。


「ど、ど、どうしましょうルシエラ姉さま、あれを2回やるのは正直キツイです」

「まあ、そのときは私はいないから、ベスが好きにやりなさい」

「そんなぁ・・・」


 ベスが少し悲痛な声を上げながらこちらを見る、その表情から”面倒だ”という感情が伝わってくるようだった。

 俺達は一体、この子にどんな悪口を言われるようになるのだろうか?

 そうか、あの悪口儀式は年少者に対して優しく接しろという、無言の圧力なのかもしれない。


「そして何より!! このモニカは、すっごい北国の生まれです!!」

「!?」


 これが本題とばかりに突然大声でそういったルシエラに、ベスがハッとしたような表情を作った。


「ルシエラ姉様・・・それって、ほ、本当ですか?」

「ああ、そうだよべス・・・もう遠慮することはないんだ」


 2人とも、目に先ほどとは異なる種類の涙を浮かべている。

 いったい北国生まれの何にそこまで反応するのか?


「ベス! やっちゃいなさい!」

「はい!」


 ベスがトコトコと壁際に走っていき、そこに掛けられた魔道具のようなものに触れる。

 するとそこから家中に何かの魔力が流れ、徐々に気温が下がりだした。


「おー」


 モニカが感嘆の声を上げる。

 まさかのエアコン完備(魔力動作)

 正直、アクリラは暑かったのでこれはありがたい。


「ルイーザ先輩は南国生まれだったから、部屋の温度があつくて、あつくて・・・」


 ベスが万感の思いとばかりにそういった。


「ベスも北の方の生まれなの?」


 モニカが聞くと、ベスが頷いた。


「私の生まれはエメルサント、”北壁”に沿うようにある小さな国ですわ」

「北壁・・・っていうとあの大陸の北にある巨大な山脈か」

「はい、ご存知なのですか?」


 するとベスが驚いたようにそう言った。

 やはりあの巨大な山脈か、あれは大陸の北をものすごい距離に渡って東西に走っているから、ベスの故郷はそれのどこかということになる。

 位置は掴めないが、寒さは想像できた。


「ご存知も何も、そこを越えてきたんで・・・」

「え!? モニカ姉様って北壁よりも北に住んでいたんですか!?」

「う、うん、もうちょっと寒いとこ」


 ベスの勢いに押されたモニカがそう説明すると、今度こそベスが本気で驚いた。


「北壁より寒いところなんて・・・」

「ねえ、言ったでしょ? だからベス・・・」


 ルシエラがそう言って”魔力エアコン”のコントローラを目で指す。


「もうちょっと下げよう」



 いつの間にか部屋の中が、かなり快適な温度になっていた。


「くあぁ・・これこれ! これがやりたかったのよ!」

「ルイーザ先輩は寒がりでしたからね」

「ホントよ、”ルシエラ、お前は環境魔法が使えるんだ、自分の温度は自分で下げろ!” って、こっちは魔力も少ないってのに・・・」


 ルイーザ先輩・・・こりゃ、帰ってこれねえな・・・

 ちなみにルシエラの出身のクリステラも一応北国である。

 つまりこれでこの”木苺の館”は寒い地方出身者で占められたことになるな。


「それじゃ、あらためて、モニカ、ロン、これからよろしくね」


 そう言って年長者であるルシエラが、改めて挨拶の音頭を取った。


「よろしくお願いします、モニカ姉様、ロン・・・兄様?」

「あ・・お気遣いなく、敬称は省いちゃっていいですよ、自分、目覚めてから数ヶ月なんで」

「それじゃ、ロン・・・だと気持ち悪いので ”ロンさん” とお呼びしますね」


 そういってベスがニッコリ笑った。

 うわぁ、本当に礼儀正しい子だな。

 でも正直、ロンと呼んでほしい自分もどこかにいるが、まだそこまで求めるのは早いか。


 そしてそれに対して、モニカが真剣な表情で2人を順番に見つめ、返事を行う。


「こちらこそよろしくお願いします、ルシエラ、ベス」

「宿主ともども、不束かだが、よろしく頼む」




 これから、この”部屋”で、そしてこのアクリラで、どんな生活が待ち受けているのだろうか?

 俺達の心の中には、ここまでやってきた安心感よりも、これからのことに対する不安にも似た希望で満たされていた。


 そしてここまで旅をしてきて、間違いなく一つ変わらなかったことが有る。

 俺はどんな状況になってもモニカを支えるし、モニカは俺の力で強く立ってくれる。

 それはこれからも変わらないと信じていた。


 何はともあれ、俺達の旅は一旦幕を降ろし、


 モニカと、モニカの奇妙なスキルの学園生活がこうして幕を開けた。



(続く)




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