第13話 帰宅

☆研修最終日。


 朝、俺は昨日の夜の事を考えていたせいで殆ど眠れていなかった。それなのに・・・


「すぅ〜 すぅ〜」


 なんで、香は寝息をたてながらねれるんだよっ! 時計を見てみると、今は午前5時。起きているとすれば先生くらいだろう。

 もう寝ようとしたら起きれないのは明白だから、仕方なく起きて本でも読むことにした。

 小説の半分くらいを読み終えた頃、香が目を覚ました。


「おはよう〜 早いね、歩くん」


「まぁね。色々あったからね。目が冴えちゃって」


「・・・」


「どうした?」


「昨日の事思い出したら、つい顔がにやけちゃって」


 昨日の事とは、俺が香に2回目の告白をした事だ。昨日の告白は75点と、テストでいうと平均点くらいの評価だった。でも、俺は香に100点満点を貰うまで諦めるつもりはないので次の機会を探そうと思った。


「次は前回の事を踏まえてもっと香が、ドキドキするような告白をしてみせるから」


「うん! 期待してるね♡」


 告白って本当に難しいな。

 と、改めて思った。

 その後、他愛も無い話をしていたら起床時間になったのでバックの中身を整理したりして集合場所に向かった。

 その時、俺と香が部屋から出るのをあの人に見られているとは思ってもみなかった。


「おはよう〜 歩くん」


「おはよう。圭介、何か今日は元気だな〜」


「当たり前じゃないか! この研修も今日で終わり。明日から2連休なんだよ! やっと休めるんだよ! 嬉しいに決まってるじゃないか!」


「そ、そうだな」


 圭介って実は二面性があるのかもな。そう思えるくらい今日の圭介はヤバかった。

 それはひとまず置いといて、圭介がさっき言っていたように今日で研修も終わりだ。何だかんだあったけど、悪くはなかった? と思いたい。


「皆さん、この3日間よく頑張ってくれました。これからの高校生活でも、今回の研修で学んだ事を生かしてほしいです。それで、今日の日程ですが・・・」


 先生の話は長いから今日の日程をしおりで確認する。ふむふむ、今から行くお城は太閤秀吉が朝鮮出兵の時に建てたとか建てなかったとか、何か凄い城らしい。

 その城に行った後、城の中の公園でご飯を食べて帰るという事らしい。早く帰って休みた〜い。


「・・・が今日の日程です。あと、1日頑張ってほしいです。以上で先生の話を終わります」


 この先生は話が長いことで有名らしく、俺もこの先生の講話で長い瞑想に入ってしまった。


「ふぅ〜 ホント話が長いね、あの先生は。なんて言う名前だっけ?」


「たしか、大壺先生だったかな?」


 圭介に先生の名前を聞いてみると、さらりと名前を教えてくれた。さすが、もう先生の名前を覚えてるんだな〜


「そうだったね。少しは話をまとめたりとかして欲しいな。そうじゃないと、授業なんて聞いてらんないよ」


「そだねー」


 まだ、カーリングが抜けきってないのか。と、思いつつ朝食の会場へ向かう。時計を見ると、もう7時半を回っており俺たちが集合してから30分以上経っていた。

 朝食を食べてから俺たちはバスに乗り込んだ。それから、20分ほどバスで移動してお城跡に着いた。


「これから、各自自由行動とする。時間はきちんと確認しろよ〜 それと、怪我にだけは注意しろよ。では。解散」


 学年主任の矢頭先生の掛け声により、生徒たちがバラバラにはけて行く。俺は、圭介と2人で行動する事にした。


「おーい、歩く〜ん」


「おう、香。おはよう」


「うん、おはよう」


 香が駆け寄ってきたので、今日初めて会うかのようにして挨拶をする。これは、以前圭介たちに同じ部屋で寝泊まりしている事かバレそうになった時に作ったルールだ。


「あ、今福さん。おはよう!」


「おはよう、中島くん」


「ねぇ、私も一緒に回って良い?」


「俺たちはいいよ。なぁ?」


 そう言って俺は圭介に了解をとる。


「良いよ。で、どこ回ろっか?」


「えーと、確かここってVR体験ができるんだよね? そこに行ってみない?」


「良いんじゃない。楽しそうだし」


「そうだね。早速いこう!」


 今日の方針が一応決まった所で香のもとに、井上さんがやってきた。


「ねぇねぇ、香ちゃん。私も一緒に回って良い?」


「私は大歓迎よ。歩くんも中島くんも良い?」


「良いよ〜」


 みんな揃ったので、そのVRのあるスペースに行く事にした。予想に反して、人が多くて待ち時間に対して体験時間が短かった。


「なんか、面白かったけど短かったね〜」


「まぁ、ちょうど時間も良かったし。良かったんじゃない?」


「じゃあ、集合場所に行こうか」


 ということで、圭介が早く帰りたそうにして集合場所に向かおうと促す。

 その後、大壺先生の長いなが〜いお話がありようやくお昼にありつけた。


「やっとご飯だ〜 ねぇ歩くん、唐揚げちょうだい!」


 圭介が、俺の弁当から唐揚げを奪おうとする。が、俺も圭介の弁当から唐揚げを奪う。結局、唐揚げを交換しただけになってしまつた。


「なっ、ずるいぞ〜 唐揚げ返せ〜」


 圭介が諦めないで俺の唐揚げを奪おうとする。正直に言うと面倒だったのでしかたなく、くれてやる事にした。


「やった〜」


「優しいね、歩くん。よかったら、私の唐揚げあげるよ」


「え、良いの?」


 まさかの、香が唐揚げを譲ってくれるなんて。今日はいい日になりそうだ。


「うん」


「じゃあ、有り難くいただくよ!」


「ほんと、仲が良いよね。香ちゃんと中村くん」


「まあ、中学校が同じだったからな〜」


 そんな事を話していると、新しい声がしてきた。


「ねぇねぇ。何で今日の朝、香の部屋から歩が出てきたの?」


「え、何でそれを?」


 しまった。いきなりで答えてしまった。その、いきなり質問をしてきた声の主は同じクラスの「琴吹舞子ことぶきまいこ」こと「まいねぇ」だった。


「いや〜ね。何か朝廊下を散歩してたら香の部屋から歩が出てきてたのを偶然見ちゃって」


「それはね、今日の日程についての打ち合わせをしていただけなのよ。舞」


「あ、そうだったんだ〜。てっきり、香が歩を部屋に泊めてたのかと思って」


 まいねぇは、入学式の初日からその性格とルックスからクラスの人気者だ。クラスメイトの大半が既に彼女のことを「舞ちゃん」や「まいねぇ」などの、あだ名で呼んでいる。


「ほんと、変な噂広めないでくれよ。まいねぇ」


「歩く〜ん。死にたいのかな〜?」


 このように、「まいねぇ」と呼ぶととても怒る。しかし、それをいじるのが面白い。


「ごめん、ごめん。でも、ほんと、変な噂だけはやめてね」


「分かってるって。じゃ、またね〜」


 まいねぇの乱入により、とても焦ったが時間は流れとうとう帰りのバスに乗り込むまできた。


「やっと帰れるね〜 帰ったら早くゲームしたいな〜」


「お前、よくそれで主席取れたよね」


「え、あんなの簡単だったじゃん。そんな、勉強しなくても取れる問題ばかりだったじゃん」


 うわー、ここに天才がいたよ。柳桜学園はそれなりの進学実績がある分テストも難しい。毎回入試の合格者平均が60点くらいなのだ。

 その後、しばらく話をしていたがこの頃の睡眠不足からかいつのまにか寝てしまっていた。起きたのは、バスが学校に着いてからだった。








13話読んで頂きありがとうございます。

 前回の投稿から大分間を開けてしまいましたが、何とか更新できました。

 歩たちが研修から戻ってきたので、恵利奈がどう動くのかにも注目です。

ここに書ききれなかった分は近況ノートに書いているのでそちらの方もよければご覧ください。

 これからも応援よろしくお願いします。

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