第12話 思い込み

 ☆ 2日目の夜 歩の部屋


「ねえ、結衣ちゃん。やっぱあーちゃんに話す前に、許嫁は解消しておこうと思うんだ」


「どうして?」


「やっぱり、いきなり許嫁って言われてもしっかり来ないだろうから。それに、対等な関係であーちゃんを取り合いたいからね」


 彼氏候補に許嫁がいた、なんて事はあの子にも失礼だしね。


「恵利奈が、そうしたいならそれでいいと思うよ。私は恵利奈を応援するから」


 良かった。結衣ちゃんなら分かってくれると思ったよ。さ、あーちゃんのこともひとまず話したし、何話そうかな〜


「そういえば、結衣ちゃんって大学どこなんだっけ? 聞いてなかったよね?」


「え、私の大学? えーとっね、東大の理科Ⅲ類だよ」


 嘘でしょ! 何か、ずっと家いるし何も行ってこなかったからてっきり浪人してたのかと。いや、でもそれを前提でなんで聞いちゃったんだろう。


「え、えー!! 東大の理3?? あそこって、偏差値が全国トップで頭◯王のとか東◯王とかが在籍してるところでしょ?」


「そそ、てか推薦だったからそこまで難しくなかったよ」


「いやいや、東大の推薦ってどんだけ内申良いのよ」


「確か、定評は5だったかな? そういう、恵利奈はどこを志望してるの?」


 なんか、今まで感じてた結衣ちゃんの少しぬぼーっとしたオーラはなんだったんだろうな〜


「なんか、東大理3に言うのもあれだけど。私は留学してみたいと思ってるよ」


 これは、まだ親にも先生にも話していない事だけど。結衣ちゃんなら良いアドバイスをくれそう。


「へ〜 留学か〜 いいんじゃない?」


 え、それだけ? やっぱ、ぬぼーっとしてたのは気のせいじゃなかったのか〜



 ☆ 2日目の夜 恵利奈宅


「ただいま〜」


「おかえなさい、恵利ちゃん。結衣ちゃん元気にしてた?」


「うん、しかも結衣ちゃん。東大受かったてって」


「それは、凄いわね。あとで、入学祝い渡さなきゃ」


 やけに家に着くの早くないか? と思ったみなさん。正解です。私の家は結衣ちゃんたちの家のお向かいさんなのです。

 私はお父さんの所に例の件について、話に行くことにした。お父さんは書斎でまだ仕事をしているようで、部屋をこっそり覗くとパソコンに向かい、ひたすらキーボードで文字を打っていた。


「お父さん、今ちょっといい?」


「ああ、恵利奈か。なんだい?」


「ずっーと前にさ、私があーちゃんの『許嫁』って言ってくれたじゃん」


「あ、あー」


「そのことなんだけどさ、なかった事にしてほしいんだ。難しいかも、知らないけど。お願い!」


 そういえば、すっかり忘れてたな〜 あの話、恵利奈を喜ばせるために文也ふみや(歩と結衣の父親)と口裏合わせしただけで本当はなんも約束してないんだよな〜


「分かった、文也と話をしておくよ。でも、いきなりどうしたんだい?」


「何かね、力ずくであーちゃんを手に入れたくなったの」


 恵利奈はいつのまに利奈りな(恵利奈の母親)に似たんだろうな。歩君もきっと苦労するだろうな。


 よし! これで準備は万端ね。あとは、あーちゃんが帰ってくるのを待つだけね。







 ☆

 第12話読んで頂きありがとうございます。

 前にも言いましたが「東大」はあくまで「東京にある、日本で一番レベルの高い大学」略して「東大」なので実在する大学ではありません。また、「頭◯王」などに関しても一切関係ありません。

 これからも、頑張って行くので応援よろしくお願いします。

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