第1章 告白をさせてください!

第1話 見落とし

最初に自己紹介と入学式前までのことを話しておこう。

 俺の名前は中村あゆむ。顔が少し女子っぽいせいか「あゆみと勘違いされることが多々あり、ちょっとしたコンプレックスになっている。

 俺は中学に入学したての頃は学年の半分位の学力だったんだけど、柳桜学園に通う俺の従姉である恵利奈姉ちゃんに勉強を頼んだら、中学2年生の1学期には学年で20位を取れるまでになった。これは自慢だが、自分の通っている中学校は1学年200人弱いたので結構上の方なのだ。

 そんなわけで3年生の1、2学期の中間テストと期末テストで頑張った俺は担任の矢頭先生から柳桜学園への受験を勧められた。

 この事を両親に話したら快く快諾してくれた。そして合格したら香に告白しようと決意した。が、このことが俺たちの関係を大きく変えることになったのだった。

 受験の話もしておこう。よりにもよって受験当日に高熱を出した俺は1人寂しく別室で受けた訳だが合格できたのは本当に奇跡だったよ。

紹介はここら辺にしておこう。




クラス発表の日


 俺が通う予定の私立柳桜りゅうおう学園は全国でも以外と知名度の高い学校でそこそこの進学実績を誇っている。去年も日本で1番レベルの高いと言われる東京の大学(略して東大)に数十名の現役合格生を出していて、留年生も含めれば50名は超えるという。

 そして、この高校はクラス発表を入学式の一週間程前に行う。ちなみにクラスはA~Dまであり1クラス40人編成だ。

 俺は今、柳桜学園のA棟3階の教室にいる。この学園は伝統的に3年生が1階、2年生が2階、1年生が3階という配置になっていて4階には多目的室や倉庫がある。A棟には教室や職員室がありB棟には物理室や図書室等の教室がある。

 教室に入ると黒板に大きなポスターが3枚貼ってありそれぞれに各クラスの名簿が印刷されていた。俺は黒板を覗き込み、自分の名前を探した。この学園は出席番号が女子と男子で分けられていて端的に言うなれば女子が1から20号まで男子が21から40号までという感じだ。

 だから俺は黒板に張られた表の半分から下を見ていけばいいのだ。


「半分から下だから男子はここからだな」


 順に見ていくとA組の30号に中村歩という文字を見つけた。


「1年A組の30号かぁ、なんだかんだ切りが良いなぁ」


 つぶやくと隣の男子生が声を掛けてきた。


「君が中村君? 僕は29号の中島圭介。よろしくね」


「こちらこそよろしく。中島君」


「圭介って呼んでいいよ」


「オッケー圭介、俺のことも歩でいいぞ」


「分かったよ、歩くん」


 入学前から友達が出来て俺はとてもホッとした。

そんなことを考えていると圭介が俺の肩を叩いて呟いた。


「歩くん、あの子すごいきれいだよ! 同じクラスだといいなぁ~」


 俺がその方向を振り向くとその子はすでに教室を出ていた。惜しいことをした。俺は全く気が付かなかったが圭介が気になることを言った。


「その子がね、ずっと君のことを見ていたんだ。もしかしたら君の知り合いか、君に気があるんじゃない?」


 俺は気のせいだと否定したが、前者ならばゾッとするし後者ならば嬉しいとも思った。

 教室を出て圭介と別れた俺は、今日も学校に来ているであろう姉ちゃんを探すことにした。しかし、彼女がどこにいるか全く見当もつかずどうしようかと思案していると、急に視界が何かによって遮られた。俺はビックリして悲鳴を挙げそうになったが耳元で


「そんなに驚かなくても大丈夫だよ、あーちゃん」


 と囁かれると黙る他ない。なぜならその声の主は俺が探していた姉ちゃんなのだから。


「驚かすのはやめてよっ! 恵利奈姉ちゃん!」


「だって驚くあーちゃんが可愛くて仕方ないんだもん!」


 少し反省してもらおうと思っていたら、逆に開き直られてしまった。やっぱりこの人には抗えないな、と改めて思った。


「で、どうしてあーちゃんがここに?」


「今日はクラス発表だったんだよ」


「なるほどぉ~うちの学校はクラス発表が入学式の前にあるもんねぇ~」


 言い忘れていたが恵利奈姉ちゃんは俺の1つ上でもうすぐ高校2年生だ。


「あーちゃんが後輩かぁ~ これからは私のことは恵利奈先輩って呼んでもいいんだよぉ~」


「じゃあいつも通りで呼ぶよ」


「即答かいっ!」


 姉ちゃんのツッコミをスルーして俺は質問する。


「ところで、ねぇ「えりちゃ~ん!」


 俺が質問しようとしたが、それは明るい女子生徒の声に遮られてしまった。

その先輩は姉ちゃんと同じくらいの身長で名前を「日向ひなた志帆」というらしい。その日向先輩が姉ちゃんに話しかけていた。


「さっきねぇそこでとっても可愛い新入生を見たんだよ。そしてね恵利ちゃんと君を眺めていたんだよ。だから知り合いかなと思って声を掛けたらとっても驚いてどっかに行っちゃったよぉ」


「そう言えばさっきも友達から可愛い子が俺を見ているって言ってたけど同じ子かなぁ」


「ナニナニ! あーちゃん誰かに狙われてるのぉ~なら私が先にあーちゃんを捕まえちゃおうかなぁ~」


 不吉な笑みを浮かべながら姉ちゃんが近寄ってくる。

 いくつか質問したいことがあったが今の姉ちゃんに近づくのは危険だと思い家に帰ることにした。


 家に着くと母さんが晩ごはんの仕度をしていた、匂いから察するとカレーだ。

 そんなことを考えながら部屋に戻ると俺の本物の姉ちゃん「中村結衣」がいた。


「ただいま、結衣ねぇ」


「あっ! お帰り歩、学校どうだった?」


「もう友達が出来たよ」


「よかったねぇ~」


 なんて会話をしているときにふと思った。


「何で結衣ねぇ俺の部屋にいるの?」


「さぁ何ででしょう?」


 そう答えると結衣ねぇは、しっれと部屋を出ていった。まったく、姉ちゃんといい、結衣ねぇといい俺をおもちゃにするなよな。

 制服を着替えるとベットにねっころがってボーッとしていたらいつの間にかうとうとしてきた・・・




その頃、とある少女の部屋では...



「あぁ~~! 今日は歩くんに手紙の意味を聴くつもりだったのにぃ! 誰よぉあんなに歩くんにくっついて! 絶対に入学式では歩くんにあの手紙の意味を聴いてやるんだからぁ!」


まぁ、そんなことを今、気にしても仕方ないか。どうせ同じクラスになったんだし。驚くだろうなぁ歩くん。私が柳桜学園に通うって知ったら。

楽しみだなぁ~入学式が。





☆読んでいただきありがとうございます。

本文中に出てくる学校名は全て架空のものです。

「東大」もただ「東京の大学」を略しただけです。

これからも応援よろしくお願いします。

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