第188話 オマエが知らないって…

「まぁさ…僕が入ってる時間に社長から電話はないよ…嫌われてるからね」

「一度クビになってますもんね」

「なんだよ…なんで、今もココにいるか僕が疑問だよ」


「もしもし…誰?」

 バカ社長から電話が入った。

「……桜雪です」

「……あぁ…お疲れ様…」


 微妙な空気が清掃中の部屋に漂う。

 犬猿の仲というか…まぁ嫌い合ってるわけで…

(シフトくらい確認しろよ…バカ社長…お互い、声も聞きたくないだろうに…」


「あのさ、505が点検中になってるのなんで?」

「はっ?」

「点検中になってるよ」

 ホテルの事務所には監視カメラが付いている、困ったことに24時間、監視されているわけだ。

「なってますよ…うすら2週間前から…」

「……ホント?」

「知らなかったんですか? 誰も連絡入れてないんですか? 2週間もあって? 直す判断アナタなのに?」

「………」

「あんなに毎日シフト入ってる連中も? 随分、信頼関係出来上がってきましたね~見習いたいものです」

「………で…なんで点検中なの?」

「ボイラー故障って日報に書いてありましたよ、まぁボイラー故障したら全部屋、お湯でませんから、そんなわけありませんけどね」

「そうなんだ…」

「アレじゃないですか、給湯器の故障でしょ多分」

「……うん。解った…ありがと」


 随分、ショックだったと思う。

 自分が信頼している、時給の高い連中(調子がいいだけの連中)

 誰からも連絡いってない…笑える。

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