第158話 カレー好きか?

 入室早々に女性から食事の注文がはいった。

「すいません、カレーヌードル2個と……カレーライスください」

「はい、カレーヌードルとカレーライスですね、カレーライス、少し時間頂戴いただけますか?」

「…………」

「もしもし?」

「…………」

「もしもし?」

 電話、男性に変わった。

「うん…カレーヌードルは…いくつ?」

「はい? 先ほど女性の方から2個と伺いましたが…」

「うん…2個?」

「はい…と、カレーライスですよね?」

「うん…カレーライス……」

「違いましたか?」

「ううん…それでいい」

「確認しますね、カレーヌードル2個とカレーライスですね」

「うん…」

「ヌードルはすぐお持ちできますが、お湯どうされますか?当方で淹れてお持ちしますか?」

「うん……」

「はい、かしこまりました」


「桜雪さん…カレー三昧ですね」

「確認しちゃったよ」

「間違いだと思ったんですか?」

「うん、だってさ、カレーライスにカレースープみたいなもんだよ…味覚疑わない?」

「まぁ…珍しいかも…ですね」

「だろ? 独特の間があるんだよ、頼みながら自問自答しているようなさ、変な間が、僕を不安にさせるんだよ」


 どうやら間違ってはいなかったようだ。

 全部食べてあった。

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