「携帯忘れたと思うんですけど…」

「何号室でしょうか？」

「402なんですけど…」

「今ほど清掃中なんですが、どこら辺に置いたか覚えてますか？見る限りでは見当たらないのですが」

「いや…ちょっと…」

「そうですか、意識して掃除してみますので20分ほどしたら、お電話いただけますか？」

(う～ん…ない)

「ありましたか？」

「いえ…一応、駐車場まで見に行ったんですけどありませんでした」

「いや～そうですか」

　男性からの電話はそこで終わった。

　30分ほどして女性から電話があった。

「あの～先ほどの携帯電話…」

「あっ、忘れ物の問い合わせの方ですか？」

「はい…GPSで調べてもらうと、ソコなんですけど…」

「そうですか…あの～着信音オフなんですよね？」

「はい…」

「あの…そうしますと、部屋の物を動かさないとなんですけど…」

「……はい…すいません」

「部屋、売れなくなるんですよ…しばらくの間」

「…はい…」

　ベッドからリネンをはぐって、マットレスをどかして、ベッドを動かす…。

(あった…)

「ありがとうございます」

「いえ…」

　さて…この部屋どうする？

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