{第百九話}ルキャメラと戦う準備

涙目でお願いされてしまった昌達は渋々3人組の後を付いて歩いていたが、ここで別の3人組に出会ってしまった。

この新たな3人組は、昌の部屋で戦闘を繰り広げた3人組だ。

「悪いが、ここから先には行かせない!」

「なんだよ、ピエロ野郎が!」

「そんな所に3人で広がって突っ立ってたら通れないだろう」

「さっさとどけ!」

流石チンピラと言ったところか、威勢だけはいっちょまえだ。

3人組は3人組にだけ見えるようにピエロのお面を外した。

お面の内側には何があったのか、3人組は血相を変え悲鳴を上げて横の細道へと消えていった。

さすが威勢だけはいっちょまえのチンピラさんだ。

「これで邪魔者はいなくなった。勝負してもらおうか!私達はこの前と私達とは違う!」

近くの空き地に移動すると、戦闘態勢に入った。

「お前達に聞きたいことがある!」

「聞きたい事?なんだ?」

「お前達はおじさんの居場所に関する情報を知っているんじゃないか?」

真剣な表情な昌を見て三人組は笑いを我慢しきれず噴き出してしまった。

「真剣に聞いてくるから、何かと思ったら偉そうに」「わかってないんじゃないか自分の立場を」「誰に対する物言いなんスかね~」

「生意気なクソガキだな。私達に勝ったら教えてあげないこともないけどね」

「いいだろう!」

「ただし、3対1でね!」

その言葉に一緒に居たネラとネイは反発した。

「なによそれ!」

「マスター、今のこの状況では相手の戦力の正確な数字がわかりません。保険を掛けつつもここまで強気に出てくるという事は何かある可能性が高いです。そんな状況で3人相手にするのはリスクが高いですよ」

ネラの忠告は昌も重々承知だが、今の昌には選択肢はあるようでなかった。

「安心しろ、こんな奴らに負ける俺ではない。さっさと終わらせておじさんの居場所を聞くだけだ」

心配そうに昌を見つめるネラとネイに対して自分の気持ちを押し殺して去勢を張り、笑顔で三人組に立ち向かった。


三人組の装備は昌の部屋で暴れた時の物とは変わっていた。

武器は銃を模倣した物を持っており、アーマーも強化されているように見える。

「フォーメーショントライアングル!」

三人組は昌を中心に三角形の頂点に立ち昌を3方向から銃による攻撃を加える作戦だ。

そんな攻撃を昌は一枚の布が風によって揺れるのと同じように3方向から飛んでくる弾をすべてかわした。

中にはマトリクスの様に、体を大きくのけぞって交わす場面もあった。

絶対に昌は上に飛んで攻撃をかわす事はしなかった。

理由としては、とある漫画の一コマで眼帯を付けた胸の大きな女性が主人公の少年とのゴム製のナイフを使った朝の体操の中で「ジャンプしてはおいまい。「もうどうにでもして」という合図ですね!」というセリフが頭に残ていたからだ。

三人組が持っているのはドラムマガジンの付いたライフルでみな同じ武器を同じタイミングで打ち始めているところから昌が狙うポイントは一つしかなかった。

「マスターの動きはここに来た頃に比べる必要もないほどよくなっているわね」

「そうですね。マスターは私達や京一様との戦闘の中で沢山の技術を習得し、体も並行して鍛えられていいますからね」

「そのフォーメーションの名前は何だったけ?」

軽く煽りを入れるネイに対して三人組はいら立ちを見せていた。

そんな様子を見ていた三人組はボスとの会話を思い出していた。


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 


地下にあるBC会場の飲み物が帰るカウンターに三人組とボスが集まっており、エイムの姿もあった。

一般の人間は一人もいない静かな空間に彼らの話声だけが響いていた。

「戦う日がくる。ルキャメラとのな」

「ルキャメラ、なんて恐ろしい組織なんだ」「どうして今まで話てくれなかったんだよ」

ボスの話に対して部下である三人組は口を開いた。

「俺が口止めしていたんだ」

そう地上から会場へ向かう階段を下りてきた男が一人。

「心配するな。紹介しよう、俺の相棒だ」

「ソアリン・タバレだ、よろしく。部外者に知られるわけにはいかなかったんだ。君達のボスは悪くない」

「つまり、今私達は部外者じゃないって事よね」

「ああ、そういうことだ。君達も手伝ってくれるな」

「俺はずいぶん前からリツカの指示で奴らと戦う準備をしていたんだ。GOSを奪ってくるようにおめぇらに命令したのもそのためだ」

「私もやる」「俺も」「俺は初めからやるって決めてたぜ」

三人組の返事にうなずいてソアリンもさらに固い覚悟を決めた。

「これは長く苦しい闘いになるぞ」


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「あいつ勝てるのか?」

「ボスにも勝ったんだ、アイツなら」

「アイツの苦労には俺も同情するぜ」

壁から顔を出して三人組は昌達の戦闘を見守っていた。


「そろそろだろう」

昌は只々三人組の攻撃を交わしていたわけではない。

銃は恐ろしい文明の利器ではあるが、弱点はある。

先ほどまで昌を目掛けて放たれた弾幕が途絶えた。

そう「弾切れ」になったのだ。弾切れになった次の流れはリロードでそれは無防備になる瞬間で、昌はそれを狙っていた。

「クッソ、弾切れか!」

銃を使う事に慣れていない三人組はリロードに手間取っていた。

「今だ!」

昌はGOSで出した剣に魔力を集中させ自分を中心に横振りを一回転させ、リング状に放たれた斬撃で三人組の銃を破壊し、それを確認してつつけてもう一度斬撃を放って三人組のアーマーも破壊した。

「オレの勝ちだ!おじさんの居場所を押しえてもらおうか!」

「いやだね」「知りたければ自分でどうにかしたまえ」「撤収ッス!」

昌の話に答えを詰まらせて三人組はその場しのぎの言い訳をしてその場から逃げるように去っていった。

「あの様子だと最初から京一様の居場所に関する情報は何一つ知らなかったようですね」

「だろうな」

逃げていった三人組の背中を追うが、逃げ足が速く一つ目の角を曲がったころには姿がなくなっていた。

昌はこの三人組を相手にした戦闘で自分の実力を実感していた。

「おーい」

昌達は後ろから呼ぶ声が聞こえ振り返ると、別の三人組がゆっくりとこちらに歩いてきた。

「お前らよく平気だな」

「慣れちゃったんだよね。この日常に」

そんな会話をしながら三人組の後ろをついていった。

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