{第八十一話} 異世界仕様
「お前のM1911はサプレッサーがつけられる位で、ほぼ純正だ。見た目はな?性能はこの世界用に俺が色々といじってあるから、そこらへんの違いを教えないとな。まぁ取り合えず撃ってみる?基本的なことはあまり変わらないから、多分大丈夫だろう」
おじさんが指を鳴らすと、人型の的が出現した。
「ここからあの的までは5mある。これ位なら当てられるだろう」
銃を構え、的の方に標準を定めトリガーを引くと的をめがけて弾が飛んでいった。
銃を撃った割には、反動も小さく音も静かでマズルフラッシュもしない。
まるでガスガンを撃った感じだ。
「以外を反動が無いんだな」
「空気圧で弾を撃ち出してるから、反動も小さいし大きな音もしない。もちろんマズルフラッシュも無い」
オレが思った事をそのまま説明されたが、まあいいか。
「仕組みは簡単、銃の内部にクリエイトを使って弾を作り出す事を覚えさせた石によって魔力を消費して弾を生成、そして別の石で高密度のガスを生成してそのガスの力で弾を撃ち出す。基本的には実銃と同じ殺傷能力を持っている。弾の生成に掛かる時間はほぼゼロに等しいから連射しても支障は無い」
「魔力はどこから?」
「魔力は銃のグリップ内部にあるバッテリーに充填されていて、そこから消費していく。バッテリーはグリップを握った使用者の手を伝って常に充填するから魔力切れの心配はほぼ無い。コレは基本性能だ、誰が使っても普通に使える。例え現世の人間だろうと、異世界の人間だろうと関係ない。もっと言えばサルでも撃てる。それ以上の機能、例えば魔法で火炎弾や炸裂弾にする事はユーザー登録した人間しか出来ない」
「さすがにマズイだろ」
「で、今回はこの銃をアップデートして修正しました。ユーザー登録していない人間が持った瞬間トリガーがロックされるようにしました。アップデートをよろしくです」
「アップデートってどうやるん?」
「マガジンリリースボタンを押せ。ユーザー認証するモードが切り替わるから。ちなみにアップデートしたら、モードを切り替える機能はなくなるから。常に認証モードになるからな」
言われた通りにマガジンリリースボタンを押すと銃がしゃべり出した。
「モードがユーザー認証モードに切り替わりました」
「おお?!」
急に銃がしゃべり出して、驚いたオレはつい声を上げてしまった。
声は耳につけたインカムから聞こえており、オレ以外には聞こえていないようだ。
銃の声は女性で、おじさんの事だから人気声優さんを起用しているんだろうな。
「エラー、ユーザーが認証出来ません。ノーマルモードに切り替わります」
「あ、昌の認証してないわ」
銃をおじさんに渡した。
「ユーザー認証成功。菊田京一様、使用を許可します。現在のバッテリー充填率は100%です」
「ユーザーの追加登録」
オレらからすると、おじさんが急に銃に話しかけているようにしか見えない。
「ユーザーの追加登録を受け付けました。登録するユーザーはグリップを握って構えてください」
おじさんに銃を渡されたので、グリップを握って銃を構えた。
「ユーザーの指紋を登録しました。つづいて、声帯認証を行います。登録するユーザーは自分の本名を言ってください」
「菊田昌」
「ユーザー名と声帯を登録しました。以上で、ユーザー登録を終了します」
コレで、オレもこの銃の性能をフルに使えるな。
「昌、俺にも聞こえるように銃の音声をスピーカーに切り替えてくれ。「音声をスピーカーに切り替える」って言うだけで切り替えられるから」
「おじさんが言うのはダメなのか?」
「今はお前が認証しているから、お前以外は例え登録しているユーザーでも反応しない」
なるほどな、完全に理解したわ。
「音声をスピーカーに切り替える」
「スピーカーに切り替えました」
銃から声が聞こえるようになった。
声は結構クリアで、音質がいい。
「次はアップデートだ」
「アップデート」
「アップデートを確認しています、しばらくお待ちください。一件のアップデートファイルを確認しました。アップデートしますか?アップデート内容の確認は専用のスマートフォンアプリ内で連携して確認してください」
「アプリ?聞いてないぞ?」
そう言うとおじさんは「アレ?言ってなかったっけ?」と言った感じだ。
またかよ。
「今スマホにURLを送ったから、そこからアプリをダウンロードしてくれ」
またかよ、オレのスマホの容量がどんどん増えていく。
アプリをダウンロードし開くと、連携できる銃の一覧にM1911が表示されていた。
何故かネメシスが一覧にあるが、何故だろう?
とりあえず、M1911のアイコンをタップすると、画面に「連携中...」と表示された。
しばらく待っていると、銃に反応が。
「スマートフォンとの連携が完了しました。以降は専用アプリ内で詳細の確認や設定が出来ます」
さて、スマホとの連携も出来たし、アップデートするか。
「アップデート」
「アップデート可能なファイルが一件あります。アップデートしますか?」
「はい」
「アップデートしています。通信環境の良いところでアップデートしてください。データが破損する可能性があります。また、3G回線ではエラーしたり通常やり時間が掛かる場合があります」
スマホの画面には、アップデートの進行状況がゲージとパーセンテージで表示されている。
待つこと、数分...
「アップデートが完了しました。再起動します。」
「軍用自動拳銃、異世界仕様、M1911起動しました。ユーザー認証成功、菊田昌様。使用を許可します」
ようやく、ユーザー登録もアップデートも終わった。
おじさん達は暇すぎて、50m先に的を出してそれを撃っている。
オレもおじさんの横で銃を構え、トリガーを引いたがさっき撃った時と変わらない。
「アレ?」
首をかしげ、銃を見回すオレにおじさんは
「火炎弾って言え」
「火炎弾」
「弾薬を通常弾から火炎弾に変更しました」
変更を確認し、もう一度的を撃ってみると、着弾点を中心に火が燃え上がった。
「炸裂弾」
「弾薬を火炎弾から炸裂弾に変更しました」
今度は炸裂弾に切り替え的を撃つと、的が爆発し砕け散った。
コレはヤバイ。
「ちなみに、炸裂弾は爆発の度合いを調節できるぞ」
取り合えず、頭の片隅にでも置いておくか。
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