{第六十九話} はいよ~
飯とは言ったものの、何処で食べよう?
「ご飯はどうする?」
取り合えずおじさんにオススメのレストラン的な場所を聞こうかな。
「ご飯なら、ここの食堂で食べれば?安いし旨い!」
郵便局に食堂何てあったのか、それならそこで決まりだな。
「姫様もここの食堂でいい?」
「はい」
「案内しよう」
おじさんの後をまるでRPGの様に一列に並んで食堂へ。
ザッザッザッ
3階に上がり、食堂に入ると昼時という事もあってか、賑わっていた。
そこに居るここの社員はおじさんを見ると皆挨拶をしている。
おじさんへの挨拶への仕方等を見るにやはり、おじさんは部下に慕われているようだ。
そこへ、ネイがやってきた。
「京一、調べ終わったわよ?」
「分かった、飯にしよう」
「はいはい」
おじさんが向かった先には料理を受け取る場所とは違う方向に歩いていったので付いて行くと、どうやらここの食堂は食券式らしく、食券機が置かれ社員は当たり前の様に列を作り買って行く。
「オレ達も食券買うか」
オレ達も食券を買う列に並んだが、前に並んだ社員がおじさんを見るや否や前に譲ってくれるがおじさんは断た。
「飯を食う時くらいは上下関係はいらないだろ?別に急いでるわけじゃ無いからなw」
だってよ、おじさんらしいな。
しばらく並んでいるとオレ達の番が回って来た。
さっきまで後ろに並んでいたせいでよく見えていなかったが食券機に書かれているメニューは「カレー」や「ラーメン」「牛丼」と言った現世で良く見る普通のメニューばかりだ。
周りを見渡すと社員達もカレーやラーメンを食べていた。
「どうしようかな~...ロースカツ定食に決めた!」
食券機に10000ギル硬貨を入れ、お釣りと食券を取った。
異世界の硬貨が普通に入り、お釣りも「ギル」が普通に落ちてくる。
「俺は「いつもの」って決まってるんだよな~」
おじさんは1000ギルを入れ、何も書かれていないボタンを押すと食券が出てきた。
お釣りが出てこないところを見ると。どうやら1000ギルピッタリらしい。
ネラとネイは蕎麦を買っていた。
ネラは冷たい蕎麦でネイは暖かい蕎麦で少し違うが。
さてさて、姫様は何を選ぶのかな?
「???」
あれ?頭の上で「?」が飛び交ってるぞ?まさか、文字が読めないなんて事は無いよな、日本語ならまだしも、異世界の言語で書かれているぞ?
「姫様?どうした?」
「書かれている物が良く分からなくて、例えばこの「ラーメン」って何ですか?」
あーそーゆーことね完全に理解したわ。
現世の食べ物が異世界に無いのか、それか存在はしても名称が違うのかも知れない。
なら一つ一つ料理の特徴を説明していくしかないな。
「それはだな、中華麺と呼ばれる麺とスープを主にし、様々な具例えば「チャーシュー」や「メンマ」「味付け玉子」等を組み合わせた麺料理だ」
スマホを取り出し、Wikiで調べて読んだだけなんて言えない。
後ろでおじさんがニヤニヤしているが、そんな事はしらん!
「じゃあ、それにします!」
「了解、オレがお金を入れるから「ラーメン」って書かれたボタンを押してくれ」
オレ達は食券を受付のおばちゃんに渡すと、番号が書かれた料理が出来たときにブザーが鳴って教えてくれるヤツを貰った。
しかた無いだろ、名称を知らないんだから。
「出来たらコレで呼ぶからね~」
「わかりました」
端の方に皆ですわり、雑談をして料理を待っているとブザーが鳴った。
「オレが取りに行ってくるわ」
「わるいな」
「ありがとうございます」
「良いってことよ!」
おばちゃんのもとへ行くと蕎麦を二つ渡された。
もちろん、ネラとネイの物だ。
「まずは先に出来た蕎麦からね~残りも出来次第呼ぶからソレはもってってよ」
「はい」
オレは両手に蕎麦の乗ったお盆を持ち、皆のもとへ。
「持ってきたぞ~」
「ありがとうございます」「ありがと~」
「来た順に食べていいよ」
「分かりました、先にいただきます」「いだきま~す!」
蕎麦を運び終わり、席に着こうとした瞬間にまたブザーが鳴った。
「また行ってきま~す」
おばちゃんの所に行くと今度はラーメンが置いてあった。
「おばちゃん、ラーメンもってくよ~」
「はいよ~また呼ぶからね~、蓮華と箸はそこのを持ってって~」
「はいよ~」
ヤバイおばちゃんの「はいよ~」にはまってしまったw
「はいよ~」
姫様の前にラーメンを置いた。
「これが、ラーメン...」
「そう!これが、ラーメン!ちなみにですけど、箸の使い方分かります?」
蓮華と一緒にお盆の置かれた割り箸を指差した。
異世界に箸が存在するのか?ここの食堂って時点で、おじさんの手が回ってるからな。
この食堂に箸が置いてあってもなんら不思議じゃない。
よって、ここの社員が箸の使い方に慣れてるのは当然で、周りの社員は何食わぬ顔で箸を使っている。
姫様はそうは行かないだろう、使い方を知っているのか?
「はい、お父様から教わりました」
「あの国王ならありうるな...」
完全に盲点だったわ...
王に教わったと言うだけあって、持ち方や使い方はまるでお手本の様でオレの方がヘタクソな気がする位だ。
姫様の箸の使い方に関心していると、ブザーが鳴り出した。
「行って来ま~す!」
おばちゃんのもとへ料理を取りに行くと、そこには海鮮丼が置いてあった。
どうやらおじさんが頼んだのはコレらしい。
「醤油も持ってって~」
「はいよ~」
お盆の上に醤油刺しを乗せ、おじさんのもとへ持っていく。
「はいよ~」
「お~これこれ!やっぱ朝上げたばかりの魚は新鮮さが違いますわ~」
「帝国って海に面してたっけ?」
「お隣のノタセアから毎朝取れたてを使って十食限定で仕入れてるんだ。ノタセアは海に面してるし島もいくつもあるからな」
「だからとはいえ、お隣の国からどうやって朝一でここまで?」
「おいおいwここは郵便局だぜ?wしかも、俺が管理しているからには一日で目的地に届ける事など造作でもない」
「お、おう」
これで、オレ以外全員の料理は持って来たって事はオレのロースカツ定食は最後って事?
いつもそうなんだよな~現世でもレストランとかでオレが頼んだ料理が一番届くのが遅い。
まぁロースカツだし、一々揚げていると思えば遅いのも仕方が無いか。
ため息と付くと、ブザーが鳴った。
いっぺんに呼んでくれ!w
「これで最後だね、何度も悪いね」
「いえいえ」
番号札を引き換えにロースカツ定食を受け取り皆のもとへ向かうと、一番最初に出来上がったネラとネイはもう食べ終わり、食器を返しに行く所だった。
そんな2人とすれ違い席に座った。
ちなみに姫様は、ずっとラーメンに息を吹きかけ冷ましているせいで時間が掛かっている。
どうやら、姫様は猫舌らしい。
「いただきま~す!」
さて、オレも食べるか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます