{第六十五話} 流行?流行?

ピョンピョン跳ねて3人組を煽っていると、オレが出したGOSの階段を駆け上がってきた。


「作戦通りだ!」

階段を駆け上がって来る3人組の先頭のヤツが最後の一段に足を乗せた瞬間、オレは階段を消した。

足場が消え、3人は5m程落下し、地面に激突した。


「Yes!」

オレはうまく行き過ぎた嬉しさで思わずガッツポーズ。

一方、3人組は仲良く床ペロしている。

完全に気絶していますわ、これは間違えない。


「さて、取り合えず降りるか」

GOSでさっきの位置にもう一度階段を出し、助けた女性と一緒に降りて気絶して居る3人組の横を静かに通り過ぎ、大通りに出た。


「あ、ありがとうございました」

彼女はお礼を言い、深々と頭を下げた。


「いい!、いい!オレが勝ってにやった事だから」

マズイ、オレが彼女に頭を下げさせている様だし、しかもここは大通りで行きかう人々がオレを白い目で見て通り過ぎていく。

穴があったら入りたい...


「では、私は急いでいるのでコレで...」

急いで立ち去ろうとした彼女の腕を掴んだ。


「待って「姫様」?」

腕を掴んでそう彼女に言い放つと突風は吹き、彼女が深く被っていたフードが取れ、オレの予想通り姫様が現れた。


「何故...?!」

何故って、異世界じゃあお決まりみたいなものだしな。

あとは、オレの直感!


「コレで姫様だって気付かなかったら、護衛なんて務まんねぇよw」

護衛が無能なんて話しにならないぜw

いや、まてよ...姫様がここに居るって事は...

宮殿の兵士って、無能?

きっとあれだ、目の前を敵が通っても「なんだ!」からの「気のせいか...」って流れだろ?難易度は「Very easy」だろ?オレ、松明もって儀式始めるぞ?


「そうですね...では、私は宮殿に戻ることにします」


「え?何故?」

宮殿に戻っちゃうの?何しに宮殿を抜け出してきたの?


「どうしてって、貴方は宮殿を抜け出した私を連れ戻しに来たんでしょ?」

え?そうなの?知らなかった...


「いや、違うけど?」

そんな事、今初めて知ったわw


「じゃあ、何しにここへ?」


「ちょっと散歩をね...そしたら、裏路地に入っていく姫様と3人組が見えたから」

「逆に姫様は何んで宮殿を抜け出したんです?」

超気になる。

姫様と言う肩書きが嫌になったとか?


「貴方と同じく、散歩です」

「理由は暇だったんです」

えー...オレと一緒かよw

類は友を呼ぶって事かな?


「なんだ、オレと一緒か...」

「じゃあ、一緒に散歩します?」

「この町に来て日が浅いから案内してくれる?」

肩に乗っているミイが頬を膨らませて起こっている。

パタパタさせていた足がバタバタに変わって、踵が強めに肩に当たるがやはり痛くない。

「ミイは、かわいいな~」と思いながらノホホ~ンとした顔なオレを見て姫様は不思議そうにオレを見つめている。


「アレ?姫様には見えてないの?」

完全に「え?何の事ですか?」と言った感じの顔をしている。

「オレの左肩のあたりを見ても?」


「いいえ、何も見えないです」

アレ?おかしいな、オレにはミイの姿がはっきり見えているのに...


「ミイ、何かしてるの?」


「答えたくないです!」

ミイは腕を組んで「プイッ」とそっぽを向いていしまった。


「ごめん、今度埋め合わせするから」

「ゆるしてくれよ」

これは完全に「激おこスティックファイナルリアリティーぷんぷんドリーム」だ、間違いない。

手のひらの上にミイを乗せて、アメを渡した。

もちろん、ミイサイズの小さいアメだ。

少し大きい気もするが...気のせいだろう。

アメを見たミイの目が輝いている。

「これで機嫌を直してくれないかな?」

ミイは渡されたアメをすぐに口に入れた。


「しはああいまへん、ゆうしてあえます」

訳:「仕方ありません、許してあげます」

やはり、アメのサイズが少し大きかったらしく、何言ってるかわからない。

しかも、アメを口の中でほっぺの方に転がすとリスみたいな顔になるが、それはそれでかわいい...あれ?オレ、さっきから「かわいい」しか言ってないような気がするな。

事実、かわいいから仕方ない!異論は認めん!


「なんで、姫様にミイの姿は見えていないんだ?」


「あほうへ、はふはーはひにひはみへないほうにひへいまふ」

訳:「魔法で、マスター達にしか見えないようにしています」

こめん、マジで何て言ってるかわかんない...が、勘でなんとなく分かる気がする。


「達?」

「オレと、おじさんと、ネラと、ネイと、王の5人だけ?」

これ位かな?


「はひ」

訳:「はい」

ん~姫様にも見えるようにするべきか...しないべきか...どうする?

そんな事を考えているとスマホが鳴った。

通知の内容はおじさんからで「姫様ならいいよ!(´・ω・`)b」とメッセージが送られてきた。

何故に顔文字ショボーンなんだよw

するとまたメッセージが来た。

「ちがうそうじゃない」

すいません...なんでオレ謝ってるんだ?

さて、改めて...おじさんは何処から見てんだよ!?

メールだぁ...

「(´・ω・`)b」

やかましいわ!w


「姫様には見えるようにしてくれ」


「分かりました」

どうやらアメのサイズが小さくなって、普通にしゃべれるようになったらしい。


「かわいい!」

どうやら見えるようになったらしく、オレの手のひらの上を見つめている。

かわいい?そうでしょう、そうでしょう!自慢のミニメイドですから!


「さて、散歩しますか?」

この裏路地の前で20分位だべってるから、この場移動したい。

少し目立ちすぎてるし、このままだと姫様だとバレるのも時間の問題だしな。

まずは服から変えないとな、あのローブ姿は完全に浮いているし、目立つ。

とは言ったはものの、女性の服は良く分からん...こう言う時にネラが居れば任せられたんだがな。

ミイはどうなんだろうか...ミイの方を見ると「なんですか?」と言った感じで首をかしげている。

完全にダメだ...

どうしよう...オレは自分の服にすら興味ないからな...新しく服を買う理由は小さくなってきられなくなったか、穴が開いたりして着れなくなった時くらいだ。

それに、服を買うときも服店に行ったらマネキンに着せてあるヤツを数セットまとめて買ってそれを着まわすからな...マジで、洋服は良く分からん。

流行(はやり)?流行(りゅうこう)?知らんな!

さて、マズは服やに行こう!


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 


話をしよう、あれは今から36万・・・いや、1万4000年前だったか、 まぁいい、私にとっては先週の出来事だが、君たちにとっては1ヶ月前の出来事だ。


謎の場所 時間不明


黒や紫と言った暗い色ばかりの広く天井が高く、装飾の一つ一つがとても豪華だ。

そんな部屋の中央、奥に置かれた玉座と呼べるであろう、豪華な部屋の中でも一際目立ち大きなイスに黒いオーラに覆われシルエットは分かるものの、姿が見えない者が座っていた。


「ただいま戻りました、アルキメデス様」

そんな者の前に膝を付き頭を下げる男は宮殿のパーティーに乱入して来た2人のうちの1人であるモアブルだ。


「同じく、ヘロン只今戻りました~!」

頭を深々と頭を下げるモアブルに比べ、ヘロンはとても軽々しく取り合えず形だけ頭を下げているだけと言った感じだ。


「何処へ出ていた?」

その声はとても低く重々しい男性の声で、少なからずおじさん以上は歳を重ねているだろう。


「今回の計画に必要な魔力をすべてまかなえ、それでもありあまる魔力量を持つ少年を見つけました」

この少年とはもちろん、昌の事であのパーティーの時におじさんは自分の魔力量と言った物を相手に見えないようにしていたのだが、この世界に着たばかりの昌はそういった事はしていなかった。

結果、昌の魔力量「無限」がモアブルに見られたわけだ。

まぁ、おじさんの魔力量が見えていたとしても、モアブルは昌を選んだだろう。

さすがのおじさんも、魔力量は無限なんて事は無いからだ。


「ほう?」


「そして、計画に必要不可欠とも言える「コアストーン」も見つけました」

「この2つを手に入れる事ができれば、計画は最終段階に進められるでしょう」


「そうか、その2つを急いで手に入れこの場に持ってくるんだ」


「はい!」

「はい!」

2人が部屋から出ると廊下で壁に寄りかかっている男が1人。


「なんだ?どうした、エルミート?」


「俺は別にいいが、お前らの活躍をよく思わないヤツも居るからな」

「特に、オイラー辺りはな」


「おっと、すまないが私はこれからラオンハルトに会いに行く用事があるんだ」

エルミートは何処かへ行ってしまった。


「ヘロン、私も野暮用があってね...」


「どうせまた、ガウスの所に行くんでしょ~?」

「私は暇だし、この前のおじさんの所に行こうかな~」

「強そうだったし、戦いたいな~」

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