{第五十九話} まぁ、食べましょ?
貴族達がいなくなった会場には、オレ達と数人の使用人しかいない。
あとは、ほとんど手がつけられていない貴族達に振舞われた食事だが、使用人が片付けようとしている。
これはもったいない!
「オレ、アレ食っていい?」
「夜ご飯食べてないんだよね」
ビュッフェ形式に並んだ料理を前にフォークを持って自分の皿に盛ろうとしている今のオレを止められる者はいない。
「そうだな、このまま捨てるくらいならみんなで食べてしまおう」
「私もちょうどお腹がすいていたんだ!」
王のその一言で、みなフォークと皿を持った。
そこへ団長が戻ってきた。
「これは、どう言う...?!」
皿とフォークを持ったオレ達を見て驚いている。
「この料理を捨てるのはもったいないから、みんなで食べようって話ですw」
「まぁ、食べましょ?」
オレは団長に皿とフォークを渡した。
「...では、私もいただこう!」
団長は受け取った皿をしばらく無言で見つめていたが、しばらくするとフォークを片手にすごい勢いで食べ始めた。
食べ始めた団長を見てオレ達も食べ始めた。
「やっぱり、箸がいいな...」
だって、オレは日本人ですから!
とりまのクリエイトで箸を生成。
壁際に並んで立っているメイド達の一人から視線を感じたのでそっちを見ると...
なんと わかいしようにんが かべぎわで
りょうりを たべたそうに こちらをみている!
さらとフォークを わたしますか?
→はい
いいえ
こんなメッセージウィンドウが見えたような気がしたので、彼女のもとに駆け寄り皿をフォークを渡した。
「君達も一緒に食べないか?オレ達だけじゃあこの量はとてもじゃないけど食べきれないしw」
「し、しかし...」
さすがにメイドが王達と一緒に食事をすることはまずいらしく、ほかのメイドたちも皿を受け取るのを渋っていた。
そこへ、メイド達の人数分の皿とフォークをもった王が登場。
「さあ、君達も食べたまえ」
王も皿をメイド達に差し出すが、受け取ろうとしないので仕方なく。
「ちなみに、これは国王命令だが?」
そう言い、王が笑うと、メイド達はうれしそうに皿を受け取った。
やはり、大人数で食べたほうがおいしいですな~と思いながら肉をもぐついているとオレに王が駆け寄ってきた。
「君はやさしいんだな...」
「まぁ、彼女達が食べてそうにしていたからなw」
「まぁ、それもあるが...」
「?」
頭の上で「?」が踊っているオレを見て笑いケーキのほうに行ってしまった。
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「は~もうお腹いっぱいだ」
盛られた料理は無くなり、みなのお腹の中に入った。
メイド達は食べ終わったばかりなのに、もう片付けはじめている。
仕事が早いな。
ちなみにネラは無言で誰よりもたくさん食べていた。
「おじさん、この後の予定は?」
「無いならオレは宿をとりにいくが?」
また、アレを宿の受付でやるか?w
「ここに泊まれば?」
「ハネット、部屋空いてるよな?」
「ああ、もちろん」
メイドの一人が王にカギを渡した。
「これが、部屋のカギだ、好きに使ってもらってかまわない」
「王都にいる間はここに泊まるといい」
カギが豪華な時点で、部屋はもっとすごいのだろう。
「宿探しの手間が省けたな」
現世でも家からあまり出ないオレが異世界で宿探しとか、どんな拷問だよwと思っていた所だ。
「昌、これをやろう」
なにやら紋章が彫られたラペルピンをおじさんに渡された
「なにこれ?」
左胸の襟にとりあえずつけたがなにこれ?
「俺の貴族の紋章だ。これを見せればお前は宮殿とかの門番は素通りできる」
「貴族になちゃったw」
異世界にきたら貴族と仲良くなって王との中を...と考えていたら、おじさんのおかげで目標達成!
スムーズに行き過ぎて怖いな...
「ちなみに、お前がこの紋章つけてなんかやらかすと、俺の評判にかかわるからな?」
「だからおじさんは襟につけてないんだなw」
おじさんの襟ラペルピンはついていなかった。
「いや、普通に付け忘れただけだ」
今更焦ってつけてる。
遅いw
「ちなみに明日の予定は?」
やることが無ければ王都を観光でもしようかな...
「特訓だ!」
「は?」
「お前にいろいろとチート能力を与えたけど、やっぱりどんなチートも使えなきゃ意味無いよな」
「お、おう。今更かよw」
前々から薄々感ずいていた。
「と、いう事で明日は特訓するぞ!」
「期間は?」
「一週間!」
「は?」
「明日は朝早いから早く寝なさい!」
「オカンかw」
「わかったよ、でもオレ部屋の場所がわからん...」
カギだけ渡されてもな...
「私がお部屋までご案内します」
あ、さっきのメッセージウィンドウの人だ。
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彼女の後に続き会場を出て部屋にオレとネラは向かう。
「先ほどはありがとうございました」
「いえいえw」
「私、そんなに食べたそうにしていましたか?」
あ、これは...考えて答えないといけないやつだ。
「いや、そんな事は無いけど」
「さすがにあの量の料理をオレ達だけて食べきるのは無理だなと思っていた時に、たまたま目に入っただけだ」
「まぁ、食べたそうにまったく見えなかったと言えば嘘になるけどなw」
「そうだったんですねw私を含めてほかの子たちも喜んでいましたよ」
「あんな豪華な食事はめったに食べられないですからね」
あれの食事はこの世界では豪華な食事になるのか。
現世では普通に少し高めなビュッフェレストランにいけば食べられる味だった。
どれだけ現世が恵まれてるかわかるな。
「それはよかった」
本当によかったよ...色々と。
「こちらがそのカギの部屋になります」
「ベッドも2つご用意しております」
「では、私はこれで」
ニコりと笑い名前も知らないメイドは去っていた。
「ここか...」
もう扉から豪華だもん!
扉を開けたその先は完全に、五つ星ホテルの高級スイートだった。
行った事無いけど。
ベッドもフカフカでこれは、人をダメにするベッドだ。
スーツを脱いで下着姿になってベッドにダイブ!
「スヤァ...」
今日一日は色々あったせいかオレはベッドにダイブするなり、すぐに寝てしまった。
ネラは脱ぎ捨てられたスーツを拾い、昌を見つめた。
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深夜...
「マスター...ぐっすり眠っていますね」
「でも、あなたは起きていますよね?」
ネラは疲れて深い眠りについている昌に話しかけるが、ぐっすり眠っているのでまったく起きる様子は無い。
「いつから気づいていた?」
目は瞑っているし、起きた様子もない。
しかし、口だけは動きしゃべった。
「最初からです」
「確信したのはあの森での一件ですが」
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