{第二十九話} 一度は言ってみたいセリフってあるよね

「そういえば、なにやら忙しそうですね」


「ああ、明日は姫様の誕生日のパーティーがありまして」

「そのパーティーの警護などを王より仰せつかっている」

「今日は前日の準備と最終確認を...」


「なるほど...」


「今回のパーティーは貴族ならび王国関係者も多数出席しているため」

「護衛の数が少したりないのだ」

「それで...ショウ殿も今回の護衛の手伝いをしてほしいのだが...」


「そんな重要な仕事をどこの馬の骨かもわからない僕なんかに頼んでも?」


「どこの馬の骨なんて、私達はもう知り合いですし実力なら私が認めている」


「そんな...」

「わかりました、その大役受けましょう」

「それで、僕はどこを護衛するんですか?」


「姫様ならびに王、王妃の護衛を頼みたい」


「え?」

「姫様?王?王妃?」

「そんな、アルギさんが護衛をすれば」


「私はバルシュ議員より貴族達の護衛を頼まれていまして」


「ほかに僕以上の人はいないんですか?」


「ほかの部下もぞれぞれ仕事がありまして」

「それに実力なら私と同じいやそれ以上はあると核心している」

「どうか、たのむ」

頭を下げる


「そんな、頭を上げてください!わかりました、その大役を承りました」

(きっとその「バルシュ」は反ハネット派の議員の一人だろし、そいつがわざわざ騎士団長を王様達の護衛からはずしたという事は何かあるな...)


「申し訳ない」


「いえいえ、道案内していただいたお礼ですよw」

そんな話をしていると本部に一人の男が尋ねてきた。


「ここかね、騎士団本部というのは」

いかにも感じの悪い中年の男だった


「彼は?」


「さっき話したバルシュ議員だ」


「騎士団長はいないのか?わざわざ準備の進に具合を見にきてやったというのに」


「もうしわけない、バルシュ殿」

「客人を案内していので」


「何!?...いやなんでもない」

「よく戻ったぞ、しっかり調べて来たか?」


「はい」


「そうか、この者は誰だ?」


「ティアドで情報収集する際に手伝ってくれただけではなく」

「ここまで、つれてきてくれた方です」


「初にお目にかかります、バルシュ議員」

「僕はティアドから来た者で名をショウを申します」


「ほう」

「しかし、ここからあの町まで行って帰ってくるのに2日はかかるだろうに」

「なぜ、こんなに早く」


「それは、あちらにある「クルマ」という乗り物にショウ殿が乗せてくれたからです」


「クルマ?聞いた事の無い乗り物だな」

「確かに車輪がついいているようだが...」


「クルマについては僕が説明します」

「魔力を動力にして動く一種の魔道具で、馬よりも早く走る事ができます」


「何?!馬よりだと」

「そうか、それでこんなに早く...」


「どうかされましたか、バルシュ殿?」


「いやなんでもない...」

「そういえば、姫様達の護衛は決めたか?」


「ええ、ショウ殿に頼みました」


「そうか」

「頼んだぞ」


「はい」


バルシュ議員は去ってい行った。


「僕ももう暗いですし、宿を探しに行かないと」


「おお、そうですな」

「ではまた、明日の朝7時にここで」


「はい」


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


本部から出たあと暗い路地に入っていき黒いフードと仮面で顔を隠した男に話しかける。

「行ってきたぞ」


「どうだ、騎士達の様子は」


「それが、この前情報収集に行かせたはずのアルギがもう帰って来ている」


「そうか、予想外だが姫達の護衛の件があるだろう?」


「一緒にいたショウとか言う小僧が勤めるようだが」


「強そうか?」


「いや、体格も細身で強そうには見えなかった」


「なら問題なかろう」

「それに、姫をその男が守れなかったら」

「姫の護衛を任せた騎士団長の責任のできるのではないか?」


「おお、そうだな」

「そのときは、私が一番に叩いてやりますわ」


「たのんだぞ」


「わかった」

「あの件は忘れて無いだろうな?」


「ああ、準備はできている」

「あとは、お前しだいだ」


「そうか」


男とバルシュ議員はそれぞれ路地の奥に消えていった。


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 


「だとよネメシス取れたか?」


「はい、しっかりと」


「スマホに送っておいてくれ」


「わかりました」


「やっぱりな~なんかあると思ったんだよ、後を着けて正解だったな」

「姫様の誕生パーティーの前に護衛をつとめるそれも騎士団長を遠くまでしかも歩きで行かせるか?」

「それに、護衛も姫様達ではなく貴族に...」

「ありえるか?」


「そうですね」

ネラがフードの中から大きくなって出てきた。


「聞いてたか?ネラ?」


「はい」


「なら話が早い」

「今回の護衛は確実の何か起きるぞ」


「そうですね」


「今回はネラは隠しておくつもりだったけど」

「何かあったら頼むぞ」


「わかりました」


「ミイは?」


「いますよ!」

目の前にあらわれる。


「今回はミイは待機で」


「わかりました」


「さて、宿を探さねばな~」

「ミイ、ここらへんに宿は無いか調べてくれるか?」


「はい!」

「えーっと」

「この路地をまっすぐ抜けた先に1軒あります」


「いくらだ?」


「1泊、5000ギルです」


「そうか、ありがとう」


「はい!私はこれで、何かあったら呼んででくださいね!」


「おう」


そういうとミイは姿を消した。


「じゃあ、ネラもまた小さくなってフードの中の隠れていて」


「わかりました」

小さくなり、フードの中に隠れる。


「そこ、いやじゃない?」


「大丈夫です」


「そうか、よかった」

「いやなら言ってくれ」


「わかりました」


「さて、宿にいきますか」


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 


「ガチャ」

宿の入り口の扉を開ける。

一階はバーになってるらしく客が酒を飲んでいた。


「1泊止まりたいんだけどいくら?」

カウンターでグラスを磨いている男に聞く。


「1万ギルだ」


「疲れてるんだよ~本当はいくらかさっさと教えてくれないかな~」

「嘘をつくならもっと視線と声のトーンに気をつけた方がいいよ」


「チッ」

男は舌打ちをした。

「7500だ」


「ほら、また嘘つく~」

「嘘つく相手は選んだ方がいいぞ」

下からにらみつける。


「5000だ」


「どうも、ごっそさん」

男からガキを受け取る


「部屋は2階の1番奥だ」


「親切にどうも」


階段を上がり、カギを開け1番奥の部屋に入る


「ふぅ...」

「一度やってみたかったんだよね~!」

「いや~、言ってみたいセリフが言えた~」


「ほかにもあるんですか?」


「ネラ、聞いてたのか?」


「はい」


「あるぞ、「お、おい!あんまりくっつくなよ!」とか」

ネラがくっついてきた。


「お、おい!あんまりくっつくなよ!」


「言えましたね」


「違うな~なんか違うな~」


「違うんですか?」


「うん」


「そうですか...」


「さて、今日はもう寝ますか」

「ネラはどうするの?」

「ベットひとつしかないよ」


「では、私は床で寝ます」


「いやいや」

「じゃあ、俺が床で寝るから」


「そんな、マスターを床で寝させて、自分はベットなんて...」


「そうか...」


5分後...


「結局こうなるよな...」


「そうですね...」


1人用のベットに2人で寝ていた。


「ネラはいいのか?これで?」


「かまいません」


「そうか...」


2人は静かに目を瞑って眠りについた。

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