派閥(明治偏) 32 それでは私達は先に休みますというので熊吉が部屋へ案内したのです、真一は西郷に大久保から預かった拳銃と玉を護身用ですと渡したのです、これはすみもうはんと西


派閥(明治偏) 32


それでは私達は先に休みますというので熊吉が部屋へ案内したのです、真一は西郷に大久保から預かった拳銃と玉を護身用ですと渡したのです、これはすみもうはんと西郷が受け取ったのです、

廃藩置県で久光公はさぞかしお怒りににったでしょうと聞くと、怒りのあまり錦港湾で沢山の花火を打ち上げたそうです、おいは出入り差し止めごわす、これでいいのでごわす、気の毒なのは、

大久保さんごわす、


怒りは大久保さんに向けられておりもんす、大山さあがあっせんしとりますが、怒りは解けんでしてよう、それが暴発につながなければいいのですがと言ったのです、しかし今日は真一さあの、

お陰で楽しごわんした、篤姫様にも会う事が出来もんした心のこりはありもうさんと酒を飲み干したのです、夜更けに戸を叩くので熊吉がどちらさんごわすかと聞くと、西村松兵衛に中田伸介、

ですと言うので、


戸を空け中に通したのです、座敷に上がり西郷さん久方ぶりですと二人が挨拶するとよく戻りやんしたこつちが村上真一どんごわすと紹介したのです、西郷さん腹がへったなにか無いじゃろ、

かいと西村が言うと、熊吉にしし肉をいれたたもんせと言ので、熊吉がしし肉を入れると、西村がこれは美味そうだと喜んだのです、煮えて来たので西郷がたべやんせといい、熊吉が山盛り、

にもった飯をだすと、


二人ともガツ、ガツと食べて暫くすると、ああ、美味かったと箸を下ろしたのです、西郷がアメリカに行って何年なりもすかと聞くと9年ぶりに日本に帰ってきました、東京、横浜は大層賑わ、

つていましたと言い、西郷さんが参議をやめて鹿児島に帰ったというので会いにきたのですといったのです、まあ温泉にでも入ってきやさんせと熊吉が温泉に案内したのです、真一がどういう、

知り合いですかと聞くと、


西村どんと中田どんは、坂本龍馬どんと中岡慎太郎どんでごわすよと言うので、大政奉還後暗殺されたのではと聞くと、あれは別の土佐人でごわす、後藤象二郎が脳天を割られた土佐藩士を、

坂本どんと間違ったのでごわす、そんときは二人は神戸にいたのです、坂本どんには大政奉還後の政府に入るように言っていたのだが、政治は好かんと断るので、維新の功労者が参加しな、

ければ、


不平分子に担がれるので何とか入るように説得していたのです、そんなおりあの事件が起きたのでごわんす、坂本どんが都合がよかで死んだ事にしてくれと、グラバーに頼みさっさと神戸から、

アメリカに行ったとごわんす、中岡どんも殺された事になっていたので、坂本どんが無理矢理アメリカへ連れていったという訳です、それで二人と名前を変えたのでございもす、手紙を受け、

取り知ったのですよと話したのです、


なんと言う事だ坂本龍馬と中岡慎太郎はこれからどう歴史にかかわるのだろう、確かに生きている事はほんの数人しか知らないし、後世でもそういうふうに思われるだろうが、西村松兵衛と、

中田伸介が歴史にかかわった事実は無いし、坂本の妻のおりょうは再婚して北海道に行き、死に別れて一人横須賀で余命を過ごす事になっているはずだ、そうか再婚の相手が西村松兵衛こと、

坂本龍馬なんだと思ったのです、


西郷がこの事は誰にもいわんで欲しい、わかれば坂本どんが不平武士に担がれることになりもうすかもしれませんと言うので、わかりました、しかし坂本さんを知っている人は沢山おりいずれ、

はわかるのではと言うと、そうでごわすなあと西郷が言ったのです、二人が温泉から上がって来ていい温泉でしたと席に座るので熊吉が酌をして盃を重ねたのです、ところで村上さんは何を、

しているのですかと聞くので、


内務省の顧問をやつていますと答えると、西郷がアメリカ留学の経験もあり英語も達者で御座いもすと言うと、それはこれからの日本には必要なお人ですなあと言ったのです、西郷がこれから、

どうするんでごわんそかいと聞くと、西郷さんは薩摩を最後の内乱にして日本国を一枚岩にするつもりでしょう、それの手伝いをして北海道に渡りロシアと貿易しょうと思っています、


中田君はアメリカの教育制度を取り入れる為に文部省に出仕する事を大久保さんに頼んできましたといったのです、そうごわすかそれはよか、中田どん頼みもうすと言うと、何というても、

人を育てなければこの国の未来はありませんと言ったのです、翌日は西郷達に別れを告げ篤姫と久光に会いに鹿児島城下に行き、まず大山県令にあうと、ビックリして篤姫様よく起こし、

くださりもうした、


久光の御座所に案内しますと磯の庭園に向かったのです、座敷に通されると久光が下座に座っているので、篤姫が上座にすわりなさい、もう将軍家はないのですと言うので、久光が上座に、

すわると、一別以来でした元気そうですねと声をかけると、一蔵に騙され申したすでに薩摩藩は存在しませんと言うので、これも時の流れです日本国が外国と渡り合うにはこれしかないの、

ですと言うと、


わかっちょり申すが島津家の歴史を私が閉じる事になり先祖に申し訳なかこつですと言うので、慶喜公も同じ思いですよ、島津家がなくなったわけではないのですから、元気を出してください、

と慰めたのです、天子様から公爵の爵位も授かり名誉な事です、明治維新の功労者ですよ、これで久光公の姫を皇太子様に嫁がせれば天子様の舅となるではありませんか、また我が今泉島津家、


をご子息の忠欽殿が婿養子となり相続なされています、会うのが楽しみですよと笑うと、そうですな喜ばなければなりませんなといい、酒肴のしたくをと言うと膳が運ばれて来たので盃を重ね、

たのです、久光の御座所を後にして篤姫は迎えの籠に乗り込み、真一に東京での再会を約して今泉島津家に向かったのです、


真一は私学校を訪れて新八に会うとその節ははお世話になり申したといい、小兵衛をよび私達を呼び戻しに来られたでごわんそ、しかし、このまま西郷さあを一人にしておく訳には行きもう、

はん、大久保さあには宜しくいうといてくだされと二人が頭を下げたのです、分かっています、しかしムダ死にはいけませんよと言うと、わかっちょり申す、終焉の場は城山にしもんそと、

言ったのです、


その頃西本は西郷にまず熊本を暴発させます、その次は長州です大した勢力ではないので政府はすぐ鎮圧するでしょう、西郷さんは動かないでください、薩摩の暴発は来年当たりがいいでし、

ようと言うと、分かり申した、決してそれまでは暴発はさせませんといい、別れの盃を交わしたのです、西郷に別れをいい中田は東京へ西村は熊本へ向かったのです、西村が熊本に着くと、

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