お節介なAI

白浜 台与

第1話とある町の図書館で

ある地方都市の私立校の図書館が老朽化。伝統ある図書館を遺すか否かの会議。


前校長

「つまりこれは、レガシィなんですよ!大正時代からあるトラディショナルな建物をリセットするなんて非常に遺憾な話だっ!」


ひとまろ

「ツマリ図書館は金銭的価値のある遺産ということで、伝統的な建物を全部潰して更地にするのはチョームカつく話デス」


女性現校長、眼鏡をずらしながら鼻で笑う。

「だからといってリノベーションにどれだけのコストがかかるとお思いで?」


ひとまろ

「建物をよりよく使用するための補修工事にいくら金つぎ込んでるんだヨ」


前校長

「町の図書館はなあ、アカデミックのシンボルなんだよ!」


ひとまろ

「図書館は学究的、悪い意味で新しさを感じられない象徴であり心の拠り所デス」


現校長

「ふっ、消防法に引っ掛かっているからスクラップ&ビルドするしかないでしょーが」


ひとまろ

「ぶっ壊して新築しちまえヨ」


前校長

「そ、それは役所に建物の移築を陳情しているが、レスポンスがまだでね」


ひとまろ

「役所は解答が遅いものです」


現校長

「ちょっと、わたくし移築の話にノータッチですわよ。何処へ移すと?」


ひとまろ

「あたし部外者ジャン」


前校長

「バスターミナル近くの公園に移築可能な案があるんだ」


現校長

「ああ…貴方は観光目的で移築させるつもりね、やっぱりスノッブな男」


ひとまろ

「俗物メ」


前校長

「観光とヒストリーのコラボレーション。これが、メリットだよ」


ひとまろ

「歴史的遺物を味噌もくそもいっしょくたにして、しっかり金を集めようぜ」


現校長

「あんた、お役人にいくらワイロ渡したのよ!?」


前校長

「うるせえ、理事会長のラ・マンやってて今の地位手に入れたんだろーがこのビ◯チ」


ひとまろ

「ラマンはフランス語で愛人デスネ。校長先生は牝犬と」


前職と現職の校長の取っ組み合いの喧嘩により、会議は中止された。


翻訳AIひとまろによってコミュニケーション、もとい交流の円滑化を期待していたが、

まだまだ改良の必要があるようだ。


開発者、芹澤博士の報告。








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