作業をしてみる

 さて、照明が点く様になって、作業台で楽な姿勢でエンジン弄りが出来るようになったところで気になっていたエンジンの手直しをします。作業台が有るので床に座ってでなくて立っての作業です。最初に残ったオイルを抜き出す為に井桁にエンジンを置いてドレンプラグを外します。やはり金属粉混じりで嫌な感じのオイルが垂れて来ました。


「あ~あ、ヘッドガスケットが無駄になってしもた」


 ヤフオクの出品物でジャンク部品に外したヘッドガスケットが含まれているのを見ますが、あれはゴミです。1回使ったガスケットは再使用不可部品です。あんなものを再使用したらオイル漏れや圧縮漏れを起こしてしまうんじゃないかな? 分解するからには必ずヘッドガスケットは交換と思っているのですが正しいのでしょうか? 今はどうなんですかね? 京丁椎は専門学校時代に『ガスケットは分解のたびに交換』と習いました。だから交換です。あ、今回ガスケットは新品に交換ですが、Oリングとかゴム部品は再使用しています。これは弾力勝負だと思っていますんで、破損していなければ再使用です。


「ゴム部品は大丈夫やな、紙ガスケットは念の為に交換やな」


 クラッチ周りを外し、ヘッドを降ろし、シリンダーを抜いてどんどんばらして行きます。プライマリーギヤを外せば穴を開ける場所は見えますし、実際穴を開けることは可能でしょうが分解してから開けます。切り子が何処へ行くか分からないからです。面倒ですが分解して右クランクケース単体にすれば穴開け・洗浄がしっかりできます。


「作業台を作って良かったなぁ、楽やわぁ~」


 腰痛持ちの京丁椎は立って作業する方が楽です。台の上では力が入らずボルト・ナットを緩めるのが難しいのではないかと心配しましたが大丈夫でした。そもそも必死になって緩めるようなところは無いのです。馬鹿力で締めつけてあるのはドラムストッパーとシフトアームの六角の奴とスプリング止め位なものです。


「もしかするとドリルも使えるんかな?」


 京丁椎が買ったポータブル電源の出力は150ワットまでです。LED電球が約11ワットです。少し余裕があります。


「ドリルは70ワットか、起動時にどうなるかが問題やな」


 電動工具は高負荷時に電流を多く消費します。ドリルで言えば回し始めた時や大きな穴を開けようとする時です。


「小さな穴から徐々に広げて行けば大丈夫やろう」


 ドリルをセットして3mmから徐々に穴を広げていきます。使い方が良かったのか京丁椎の持っている小さなドリル位では何ともないみたいです。ドリルに取り付けできる最大径の9mmのドリル刃まで使いましたが過負荷を示すランプは転倒しませんでした。


 穴を開けた後はパーツクリーナーを噴射してひたすら洗浄です。ベアリングは精密なのでゴミが噛んだら回らなくなります。回して少しでも引っ掛かったら洗浄します。5~6回繰り返した頃に元通りスムースに回るようになったので再度組み立てです。組んだ後でオイル漏れをしたら嫌なのでクランクケースの紙ガスケットは新品に交換して組んでいきます。


「さってと、ニューアイテムを組んでみようかな?」


 ただ分解して手直しするだけでは面白くないのでチューニングします。今回組み込むのは『軽量プライマリドリブンギヤ』です。『軽量』なんて言っていますが、ホンダ純正部品です。スーパーカブ50カスタムだけに他のカブ系エンジンと違う薄くて軽いギヤが使われています。エンジンの吹き上がりが良くなるとか、燃費が良くなると聞きましたが京丁椎の様な鈍感な男には分からないでしょう。こんな物は気分です。『軽くてフリクションが少なくエンジンが回っている』と思う事が大事なのです。自己満足の世界です。


「新品オイルで洗い流されたんかなぁ」


 オイルの色が思ったより汚かったのは落とし切れていないスラッジが溶けたからでしょう。エンジン内はキレイになっていました。今回は部品の細かな清掃やチェックは特にしないのでひたすら組んでいきます。ヘッドガスケットやベースガスケットはもちろん、細かなクリップやナットの回り止めワッシャは勿体ないですが新品に交換です。


「プライマリードリブンギヤのクリップは交換、クラッチのクローワッシャも交換。もう当分分解はせ~へんでしないよ


 こんな小さな100円程度の部品でエンジンを再度分解しなければならなくなったらアホみたいなので交換します。最期にクラッチカバーを閉めてオイルを入れれば出来上がりです。ボルトポジションツールのおかげでボルト位置に迷うことなくスムーズに組めました。


今回は新しく作った作業台で初めて作業しました。今までより遥か作業は楽になりましたが、完璧に使いやすいとは言えません。次回は少し気になった所を改善していきたいと思います。


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