ノミオとジュリへ

まっきー劇場

第1話 プロローグ

 青森県弘前市。山頂にはまだ白い雪が残る岩木山の裾野に広がるりんごの白い花々が雪のように輝く。広大なりんご農園を散歩する親子三人。

 春の心地よい風が頬に優しく触れる。


「樹里は大きくなったら何さなりたいんだ?」

「ジュリはお姫さま!」

「んだんずな? お姫様さなれるといいなぁ」

「あんね、ジュリのえ(家)に白馬さ乗った王子さまが迎えにくんの」

「樹里ちゃん〝白馬〟なんて言葉知っているの?」

「白いまっこ(馬)だよぉ」

「さがしいな、樹里は!」

「ディズニーのビデオか何かで覚えたんでしょうね」

「んでね、お城さ連れで行ってくれんの」

「え? お城さ嫁こに行ぐんか?」

「んだ」

「え(家)でりんご園ば王子様とやればいい」

「やだよ」

「じゃあ樹里ちゃん、王子様のお城はどこにあるの?」

「う~ん・・・わがね。たぶんアメリカ」

「ずんぶ遠いな。父っちゃと母っちゃは行げんのか?」

「行げるよ。東北新幹線で」

「んだんずかっ、そん頃には開通してんかも知れんからか!」

「んだ」

「すごいわねぇ樹里ちゃん」


 賢い我が子を誇らしげに見つめる父と母だった。

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