数え年

作者 油布 浩明

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★★★ Excellent!!!

郷愁を感じさせる前半と種明かしがされる後半のギャップがよく生かされた、優れたショートショートです。
 
前半の、大晦日の家族団欒の風景には、誰もが感じたことがあるだろう懐かしさが込められていて、読んでいてほっこりとしてきます。
日本中のみんなが一緒に歳をとる、という「数え年」の話から、年がかわるその瞬間へのワクワク感が高まっていくのがよく伝わってきました。
この部分で、人肌の体温がしっかりと感じられるからこそ、その後の展開への驚きとアイロニーが強く感じられると思います。
特に、存在意義を確認するため、滑稽な芝居を続けるため、という言葉に込められたロボットの哀愁が、温かな家庭の雰囲気との対比で際立つところは見事だと思いました。
 
展開の妙は然ることながら、お話の雰囲気のギャップからもショートショートらしい面白さが感じられる作品でした。