第9-2話 竜族の少女と魔族の村 その2

俺とテオックに挨拶した後、ルシュはパタパタと服をはたき、藁を落としていた

そしてルシュは共同倉庫から外に出てきて村を一望する


「もうみんな起きてるんだね」


俺とテオックの顔を交互に見ながらルシュが話し掛けてくる


不安と少しの興味が入り交ざったように感じられる


「あーそれは、みんな早起きだからなあ」


咄嗟に嘘を吐く、テオックは意外にこういう場面では頭が回るので

即座に気の効いた返事が出来たかもしれない


テオックは直接はルシュの言葉が分からないので黙って俺とルシュの会話を聞いている



そんなこんなで三人で話をしていると、

遠巻きに見ていた村人達が集まってくる



若干まだ様子を伺っている素振りはあるものの

俺達の様子を見て、ルシュが危険な存在ではないと分かってもらえたようだ



「お前らすげーな、どうやってその竜族と打ち解けたんだ?」

ラピドが話し掛けてくる

さっきは居なかったからルシュと会話している間に起きてきた様だ


ラピドを始め、驚いた様子の村人の面々を眺めながらテオックは自慢気に

「実はな……」

と昨夜の出来事を話し始めた


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村人達には俺がルシュと会話が可能である事、

俺が通訳が行なえることも含めて説明した


『私はルシュ、昨日は驚かせてごめんなさい。

後もらったご飯はとても美味しかった、ありがとう』

とルシュの言葉を通訳して伝える



その言葉を聞いて村人達の表情が和らぐのが分かった



……そして


「怖がってごめん、よろしくね」

「怖そうだと思ってたけどこんな小さな子だったなんてなあ」

「竜族ってもっと恐ろしいもんだと思ってたよ」

「あのスープ俺が作ったんだよ、美味かった?」


怒涛の会話と質問攻めである



俺が初めてアステノに来たときと同じだ


困惑するルシュを傍目に見ていたが……



これ訳すのは俺なんだから

いつまでも見てられないじゃないか!




「みんな取り合えず質問は一つずつにしてくれー、訳すのは俺なんだぞー!」

そんな様子をニヤニヤしながら眺めていたテオックの姿を俺は忘れないだろう

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