第7-3話 アンデッドとの戦い その2

村の中から草原に出てスケルトンの集団に向かって走る

先頭がアロン、それに続いてエルカンとセド、そして俺とテオックの順になっている



夜の闇に覆われた草原だが、目が慣れてきた事と月明かりが思いの外明るく

意外に見通す事が出来る



スケルトンの集団に迫る

相手がこちらに気付き、向きを変えて移動してくる



そこからアロンが右前方に走る

一瞬錯覚したのかと思うほどその脚は速く、

後ろを走る俺達を引き離す

スケルトンの集団の向かって右側の前方を横切り……



集団の前方2箇所で小さな閃光が走り、炸裂音が鳴る

そして正面と右側のスケルトン数体がその衝撃で吹き飛ばされた



「任せたよ!」


「おうよ!」

「うむ」


アロンの声に応じてエルカンとセドが隊列が乱れている集団の右側から切り込む



エルカンは斧、セドは剣を振り回し、

体勢を立て直そうとするスケルトンをなぎ払いながら突進する



「いくぞヨウヘイ!」

「おう!」

俺とテオックのその後に続いて踏み込んだ



「(来い、棍棒!)」

踏み込むと同時に念じて長さ70cm程の棍棒を出し、そのまま横にスイングする



眼前に居る二体のスケルトンに続け様に当たる

乾いた音と共に二体ともバラバラになる



「スケルトンは頭を潰せ!それで大体なんとかなる!」

テオックがそう言いながらアロンに吹き飛ばされたスケルトンの頭蓋に向かってメイスを振り下ろす



「分かった!」



今倒したスケルトンの頭に向かって棍棒を振り下ろそうとすると、

背中に鈍い衝撃が走る



「っつ!?」



体勢を崩しそうになりながら振り返る


アロンに吹き飛ばされて足止めされていた正面側のスケルトン達がこちらに向かってきていて

後ろに回りこんでいた一体に殴られたようだ

スケルトンの動きは鈍く、力も強くない

それでも骨で直接殴られるのは正直かなり痛い



「くそっ!」

そのまま体を捻り、振り返りながら棍棒を振る


殴ってきたスケルトンに当たった所で棍棒を手から離す

飛んだ棍棒がその奥に居る別のスケルトンにも当たり、この二体も倒れる



また新しく棍棒を出し、倒れたスケルトンに向かって棍棒を振り下ろす

……硬い!


今持っている棍棒を手放し、より先端に重心を寄せた棍棒を呼び出す

新しい棍棒で再度叩きつけてようやく頭部を砕く事が出来た


魔族の骨なので良く知っている骸骨の形とは結構異なっている

そのせいなのか、生理的嫌悪感みたいなものを感じない


これは骨としてじゃなくて怪物として認識しているからかも知れない



スケルトンは素早く頭蓋を砕かないと、すぐに動き出してしまう

テオックは獣型のスケルトンの対応に苦慮しているようだ


出来れば加勢したいが、その余裕がない

自分の事で手一杯だ



……3体ほど行動不能にした所で、

目の前に3メートルはあろうかという巨大な人型のスケルトンが立ちはだかる



頭が牛の頭骨に見える、ミノタウルスのスケルトン

これがアロンの言っていた大型か


そう考えながらも棍棒を横にスイングして大型のスケルトンを殴りつける

先ほどまでのスケルトンならこれであっけなくバラバラになるんだが……


腹の部分に棍棒が振れ、鈍い音が鳴る


「ぐっ、硬い!」

まるで石を殴っているかのような手ごたえの無さだ



「骨密度っ!」

思わず口から出る



大型のスケルトンはそのまま動じることなく、腕を振りかぶってくる


「まずい!」


動きが鈍くてもこのサイズのスケルトンに殴られたら死ぬかもしれない


そしてスケルトンが巨大な腕を振り下ろしてきた

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