第4-4話 プレゼント

俺は川を隔てた村の東側の木陰に座っていた

視界には数軒の家と、その間に畑が見える

村人が丁度畑を耕している


あの後、俺はニコニコしている村長とニヤニヤするピウリに見送られ

何をプレゼントすれば良いか考えながら村を歩いていた


「村長へのプレゼントね……」


俺が遠くを眺めながら考えていると


「どうしたんじゃ?」

と声を掛けられた


声の方向を見ると、そこには羽の生えた赤い猫がいた


「ロバートじいさんか、いやあ、ちょっとね…」


羽の生えた赤い猫

名前はロバート

数百年生きているらしい

見た目は可愛らしい猫だが、その言動は完全におじいちゃんだ


「そうだ、ロバートじいさんは村長って何が好きか分かる?」


村長とも古い友人だろう、何も知らないということはない筈だ


「ほっほ、

お主、村長を口説くのか?」


猫なので表情は分からないが、明らかに笑っている


「いやいや、そうじゃなくて……」


先ほどの村長とのやりとりをかいつまんで説明する


それを聞いてロバートじいさんはふーむと唸って

「なるほどの、お主も律儀じゃな」

と言ってきた


「ワシが知ってるのは村長は裁縫が趣味、後は綺麗好きで花を育ててる事くらいか

参考になるかの」


村長は裁縫が趣味、綺麗好き、花を育ててる

なるほど……



「それじゃ、ワシもピウリの店見てから魚獲りに行ってくるかのう、

贈り物で大事なのは気持ちじゃぞ」

と言ってロバートじいさんはのろのろとピウリの居る村の入り口に飛んでいった


たまに川でロバートじいさんが遊んでるのを見た事あったけど、

アレ魚を獲ってたのか


それから俺は村長へのプレゼントは何が良いか考えながら

村の中を歩いていた


ゆっくり村の中を回り、村の入り口付近に差し掛かり、

再びピウリの店を見に行った


「いらっしゃいーさっきぶりだねー」

とピウリに迎えられた


村長やロバートじいさんは既に戻っていたらしく、

今ここに居る村人は俺だけの状態になっていた


「メラニーさんへのプレゼントを探す?」

ピウリはニヤニヤしている様なニコニコしている様な表情をしている


「う~ん」

村長もこの店の商品を見てるからなあ…


村長は裁縫が趣味で花を育ててるか…


裁縫に役立つものとか渡せないだろうか


商品を眺めてみる

裁縫に関する物は…

裁縫道具と布生地や綿はある


裁縫と言えば昔学校の家庭科の授業で縫った時、

針を刺していた針山(ピンクッション)があったな

この世界に針山があるかどうか分からないが

もしも無ければ、便利ではないだろうか


ピウリの店にある裁縫道具には針山は入っていない


そんなもので良いか分からないが、買ってそれで終わりは味気なさ過ぎる

自己満足だが、感謝の気持ちを伝えるなら作ったほうが良さそうだ


後は、裁縫で作ったものが入れられる木箱があれば喜ぶかも知れない


「ピウリ、この裁縫用具と布生地と綿を買いたい」


「はいはい、全部で10ラントでいいよー」


ピウリが答え、腰に下げた袋を開けごそごそと中を漁り

「はいこれサービスね」

とおまけを渡してくれた

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