岡本三郎君の質疑-九
(岡本委員)
分かりました。再稼働方針には変更はないということですね。総理は錦の御旗のように除染復興を唱えられておりますけれども、世の中にはやって良いことと悪いことがある。そういった考えは私一人が抱いているだけでなく、国民の多くが共有しているはずです。
それでは質問を変えます。
東日本大震災及びそれに伴う福島第一原発事故発生の際に、避難区域から多くの児童生徒が、保護者に伴われて避難致しました。その際、非常に多くの児童生徒が、転校先の学校におきましていじめの被害に遭うという痛ましい事件が多発したと記憶しております。
今後、同様の事案が発生すると考えられます。政府として再発防止策をどのようにお考えか、質問致します。笠原文部科学大臣、お願い致します。
(笠原崇文部科学大臣)
お答えします。
福島第一原発事故の際に、避難者である児童生徒に対し、心ない罵声や場合によっては有形力の行使を伴ういじめ事案が多発し、多くの児童生徒の健全な心身の発育を妨げたことを受けまして、いじめ防止対策推進法を適切に運用してその防止に力を注いできた次第でありますけれども、今後も本件摩耗核惨事の発生によりまして、同様の事案が全国的に多発することが予想されます。
本件摩耗核惨事を原因とするいじめ事案につきましても、学校、或いは行政、場合によっては警察による積極的な介入と支援を行い、重大事案の発生を未然に防いで参りたいと考えております。
(岡本委員)
ありがとうございます。それでは伺います。
福島第一原発事故の避難児童に対し、いじめが多発した根本的な原因について、政府として公式な見解というものはございますか。
(笠原文部科学大臣)
そういったものはございません。個々の事案につき関係機関におきまして、適切に調査されたものと理解しております。
(岡本委員)
では大臣は、そういったいじめ事案の根本的原因についていかがお考えでしょうか。
(笠原文部科学大臣)
一義的には、放射性物質に関する教育の不徹底、無理解というものが根底にあったのではないかと考えております。
政府と致しましては、こういった避難児童に対するいじめにつながるおそれもあることから、放射線につきましては、徒に怖がるだけではなく、正しく怖がり、他官庁と連携して、殊更に福島県産の農産物その他を忌避する風評被害の払拭に努めてきた次第であります。
(岡本委員)
本件核惨事におきましては、風評被害どころか、未だに全体像を把握しきれないほどの実害が発生しました。
先ほどの大臣のお考えですと、教育を徹底して、放射性物質の怖さを正しく教えれば教えるほど、いじめの素地が形成されていくということになりかねません。今、答弁を賜って非常に危惧しております。
そもそも福島第一原発事故の避難児童に対するいじめ事案ですが、これにつきましては当時、保護者の教育がなってなかったからだとか、学校側がいじめを黙認したことが原因であるということが盛んに議論されていましたですけれども、私は、いじめた側の児童生徒或いはその保護者に、いじめの被害者である被災者が何故避難を強いられたか、ということについて、根本的な理解、想像力が欠如していたのではないかと考えております。
本件核惨事の顛末を見るまでもなく、我が国は非常に狭い国土の中の、更に限定された平野部に最盛期五十四基もの原子炉を建造して動かしておりました。我が国のような地震国家におきまして、米国に次いでこれだけ多数の原子力発電所を建造し稼働させていたわけであります。今考えれば狂気の沙汰としかいいようがありません。どこで過酷事故が起こってもおかしくなかったんです。それがたまたま福島だった。
いつ自分が、そのような避難民に身をやつすことになるのか、国民の全てがそうなっても不思議ではなかった。そのことに対する想像力が、国民全体に欠如していた。これこそが、避難児童に対するいじめの根本的原因であったと私は考えています。
本件核惨事におきましては相当の実害が発生いたしました。これだけの被害が発生した以上、正しく怖がる、などというレトリックでいじめを防ぐことが出来ないことは、これはもう明らかであります。ではどうすれば良いのか。避難者に対するいじめの発生を不可避のものとして受け容れ、対症療法に徹するより他に方法はないのでしょうか。私はそうは思いません。
我が国で原子力発電所が稼働している以上、生活の根源を奪う過酷事故が発生する可能性は国民全体に常に付きまとうわけであります。本件核惨事で被災した者と、幸いにして被災を免れた者との差は偶然でしかなく、再び同様の事態が我が国を襲った場合、被災するのは今度は自分かもしれない、という危機意識を、国民の間に広く共有することです。そういった意識を共有していく中で、被災者、避難者に対する相互扶助の精神も生まれると私は思うのです。
いかがでしょう大臣。教育現場において、原発の怖さ恐ろしさ、内包する矛盾、一旦過酷事故が発生すれば、自分達の生活の根拠が根こそぎ奪われてしまう不条理を、それこそ正しく教育していってはいかがでしょう。
(笠原文部科学大臣)
教育は不偏不党、公正中立であるべきでありまして、安全基準に則り適切に判断されるべき原発再稼働方針の可否を云々する極めて政治的な教育方針は厳に慎むべきであると考えております。
(岡本委員)
もう時間もございませんのでこれで質問を終えますけれども、非常に重要な案件でありますので、避難児童に対するいじめ問題につきましては今後も継続して対策を検討願います。
以上です。
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