君が鬼だから




君が鬼だから

ぼくは未来の話をしていた


君が鬼だから

ぼくは君のための歌を作って


君が鬼だから

ぼくはその歌を荒れ地に届けた


もう聞いていただけましたか

あの歌を埋めたささやかな

土饅頭から漏れる笛の音

葦の茎から絶え絶えに

君を想い続ける喘鳴


君が鬼だから

ぼくは藪に隠れていたくはなかった


君が鬼だから

ぼくは君に手を振り返したかった


君が鬼だから

ぼくは喰われてしまいたかった


君が鬼だから

ひとつ目の君を赦したかった


君が鬼だから

ぼくらは未来の話をしていた

明日より遠く

いつかぼくらはまた遭おうって

そうして君は

びっくりするほど笑うだろうって



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