人世紀の詩




僕にとっての煙草というのは紛れもなく詩作の一形態です紙とフィルターと指と心まで燃やしながら煙を呼吸することって。昔遊んだちいさい川で上着の裾を揺らして白濁を吐く、雲、月、一等星のひとつひとつがだれかを祝福する蒼煙じゃ、濡れた稲科の重たさは詩歌。壊してしまうための一息を吐ききったら存分壊れて父母に連なる血肉が見える。はずだと聞いた。

あなた様はどこの神さまで仏さま。どんな爆発も世界中のそこかしこに遍在して音をたてる、あなた様はどこの王さまで王子さま。昔話の破片を言葉だというのなら炸裂した僕の祖先を消し去って欲しかった。沈黙を、春を、待ち望む故の、


今日、見たことのない煙草を買った。

ひどい臭いをたてて

煙が海まで流れていった。



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