トウ




際限なしに積み重なっていく螺旋階段を

上がるたび、地獄みたいな遠近法の果て

に己の卑小を知るだろう。

 「その事が怖くてスカイツリーに

  行かないようにしている。  」

ヒトがゴミみたいに見えるなんて知ってる

よ。僕もそうだと確かめることを先延ば

しにして生きていたいけど、それを世間

では生きているとは言わないらしい。

 「冬の海岸がなによりあたたかで

  安らかなものに見えていたよ。」

行き場と命を失ったように見える塵たち

に、本当は行き着く浜辺があるというこ

と。僕もそうだと考えることは怖かった

からもう死にたいということにしていた

かった。

それを世間では生きたがりと呼んでいる

らしい。



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