黴の季




何処かの誰かに貰ったパンを冬の備えにはでき

なかった。名前も知らなくて。かびてはいなか

ったけど。飾り棚に置いておくだけならそんな

のでもぜんぜん、よかったんだけど。

ワインより、水がいいんです。からだの血より

たましいの血を飲んで生きていたい。明日の朝

に凍りついていても、それでいいと思っていた

いんです。ぼくはどうしようもない恩知らず。

カナリアが何処かで鳴いていてヘリコプターの

音が止まないけど理由は知らない。

続けることが生きる意味なら、死ぬことは誰と

も矛盾しない。

だからといって死にたいわけじゃ、ないよ。



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