唄わない磯
なめらかな砂浜をはなれて
かつてうちつけた荒波の
その
黒く逆立ってわだかまる
沖の岩礁
あの岩礁に立ったなら
黒く逆立つ荒波のかたちに
わたしも変わっていくのだと、おもう
水に削られ
風に削られ
ひとの視線に削られて
黒く逆立ってうずくまる
かつてうちつけた荒波の残影
ぽつぽつと背を向けるかれらを
わたしの
もっとも旧い魂のように、おもう
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