滅亡しない地球儀

たとえば向こうの海原を

 虹に染め上げてみせようか

たとえば遥かな山脈を

 霧に融かしてみせようか

たとえば僕らのあしもとを

 底なしの沼にしてみせようか


  沼に沈んだ僕らのあとに

  僕らによく似たいきものたちが

  何億何万這いずり出して

  きっと世界を埋め尽くす

「それってなんて甘美な夢だ!」

  きっとなんにも知らないままの

  七十四兆のいきものたちが

  地球を覆って腐らせる

「どんなにか待ち望んだ世界の終わり!」


たとえば僕らのあしもとはもう

 底なしの沼になっているのかもしれない

あの山脈はもう

 半分くらいは存在しないかもしれない

ふと眺めた海原が

 見たこともない色に輝いてるかもしれない


(それってけっこう素敵じゃなあい?)


昔、僕と君が手を繋いでいた

滅亡しない地球のはなし。

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