第4話
「いやああああああああああああああああああああ!!」
読者のみなさんもうご察しできているところと存じます。そう、吉野はやと、今、落ちています!
まあ主人公なのでここで死ぬってことはありえな あっ もしかして俺又あの部屋戻るの?
それだけは絶対にやだ!
さっき「じゃあ、行ってくるか」とか言ってあんなにカッコよく旅立ったのに、一分もたたずに帰ってくるなんて恥ずかしすぎるだろ!
あれ、てかさっきあの女神、絶対落とさないって誓ったよな?おい、そこんところ説明しろ!
「あの駄女神が~~!」
五分後
さっきからあの女神の愚痴しか言ってなかったけど、いまだに底が見えねえ。どんだけ高いところから俺は落とされたんだ?しょうがない、今のうちに上手く着地する方法を考えよう。
そういえばさっきもらった魔道書は何が書いてあるんだろう。
左手にしっかり持っていた魔道書を見ると表紙にには何か文字が書いてある。
こんな字見たことないけど、なぜか読める。
気付けばさっきから自分が話している言語も日本語ではなかった。
ところどころ文字か消えていて読めないが、--・------・ファスト と書いてある。
「ファストって書いてあるってのははこれって人の魔道書なのか?」
「違いますよ。貴方の名前です。つまり、この本は
貴方のものであり、よて私もあなたのものなのです」
どこからか聞こえてくる女の声が聞こえてきた。あたりを見ましても誰もいない(地味に落ちてる途中だし)。その声の主は話を続ける。
「こんなに近くにいるのに分からないんですか?もしかしてこの人頭逝っちゃったのかなぁ」
イラッ
めちゃくちゃムカつく 声の主を見つけ次第冷たい目線を送るor殴り たいが、どこにいるのかさっぱり見当がつかない。
「ここですよー。こっこここ!」
ん?さっき『この本は貴女のものであり、寄って私も貴方のものなのです。』っていってたよな。それってつまり…
左手に持っていた神道書が動いている。
「え!?お前今しゃべったか?」
「ええしゃべりましたとも。私くらいのものにならばしゃべるのは当然です。てか、さっきから私のことを魔道書って言ってるけど、それは魔術について書かれている本であって、私は神術について書かれた本、つまり私は神道書です!てか、私にもちゃんと、バイブルという名前があります!」
「へ~。じゃあさ神道書、今俺たちは絶賛落ちてるわけだけど、上手く着地する方法はあるか?」
さっきことで少しムカついているので、あえて神道書と呼ぶ。絶対にバイブルとはよばねぇ。意地だ
「もちろんありますよ、あなたに飛行術を教えるので、まず私を開いてください。」
「おお、空飛べるようになるのか?」
「ええ、この時空では全員が空を飛べますよ。」
まじか!
子供のころからの夢を叶えられると知り無邪気に喜んでしまうファストをみてクスッと笑う神道書。
二人は一時的に忘れてしまっているが、二人は現在ものすごいスピードで落ちている途中である。
「で、何ページをひらけばいいんだ?」
「ファストさん、実はこの世界の本は、今自分が見たいページがどこを開いても出てくるようになっているので、ページを探す必要はございませんよ」
つまり、しおりを挟む必要がないし、どこまで読んだかを記憶しておく必要もないということか。便利だな~。
俺は本を真ん中らへんで開けてみた。するとそこには「波動式(はどうしき)飛行術(ひこうじゅつ)」とかかれており、その文字の隣にはかわいい女の子がカラーで書いてある。ファストが予想していたのとは違い、前面カラーで分かりやすい本だ。
「こんにちはファストさん。あらためまして、バイブルです」
なんとあの可愛い女の子が喋った。
「お前が神道書か。へ~、かわいいな。」
今まで生きてきたうえで女の子にこんな言葉恥ずかしくて一度も言ったことがなかったが、つい言ってしまった。本当に可愛いのだ。
「も~ファストさんったら。もう、とっとと説明行きますよ!」
顔全体を赤くして必死に照れているのを隠すその様子はさらに可愛い。
ってなんだこれ
「まず、貴方の体ににこの波動式飛行術の術式をインプットします。ちなみにこの技の属性は波動で、名前が長いので神語(かみご)『スぺトール』と呼ばれることが多いです」
「術式ってな何だ?」
「支神支の構造です。例えばこのずつ式の場合の支神支は波動支神支だけで、それを体から放出するだけで空を飛ぶことができます」
「おおお~~。」
「空を飛べる」という言葉に感動した。それはファストの子供のころからの夢であったからだ。
「ではまず私の上に片手を置いてください」
言われたとうりにファストがすると、手を置いたページが金色に光った。
何か来てるのを感じる!よっしゃ!これで空を飛べるぞ!
でも、神道書の様子がおかしい。何か手間取ってるみたい。ここでハプニングとかやめてよ神様仏様。
「あの~、つかぬことをお聞きしますが、ファストさん神力はいくつですか?」
「0です」
「はえ?」
神道書がそんな声出すと思ってなかったのでかなり驚いた。
「あの~さん。残念ながら神力が0ですと神術は~
「使えない」
「はい」
二人の間に起こる微妙な雰囲気。何を口にしていいのか、どうすればいいのかが全く分からない。ショックを受けた後、たいてい人はこうなってしまう。
しかし嬉しいことに神道書からことばを出してくれた。正直俺から言葉を発するのは難しかったので助かった。
「まあ神力に関しては私が後でどうにかしますから、今は私が魔法を使いますね」
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