第13話

二度目の種付けが終わってからしばらくして、エミちゃんも種付けに行った。

帰ってきたエミちゃんに声をかけると、「大したことなかったわ」と、柵をかじりながら返事をしてくれた。

でも、それは強がりだってすぐに気がついた。

エミちゃん、いつもより声が大人しかったから。


何日か経って、またお医者さんが来た。

お兄さんは出かけてて、お兄さんが「かーちゃん」って呼んでるお姉さまが一緒にいる。

お姉さまはわたしの部屋をきれいにしてくれるし、時々こっそりおやつもくれるから大好き。

これから始まる検査も緊張しないでやれる気がした。


検査していたお医者さんがうなずいた。

お姉さまが「おめでたですよ」って言ってくれた。

何のことかわからずにいると、壁さんが「赤ちゃんが出来たんやで」と教えてくれた。

わたし、お母さんになれるんだ。

そう思ったら、なんだかうれしくなった。


庭の青草もだいぶ伸びて来た。

群れのみんなも思い思いに食べてる。

わたしたちの群れのみんながお母さんになったら、きっとここもにぎやかになるんだろうなあ。

そんなことを考えてた。


わたし、サラブレッド。

名前はシュシュブリーズ。

お母さんになれる喜びにあふれてた。

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