5-2 冒険の始まり

どうも焔です。前回ポータルを設置し、ゆっくり雑談をしています。




「んじゃ、雑談も程々に目的地に向けて準備しますか。」




俺は、残っていたお茶を飲み干し席を立つ。


準備といっても殆どアイテムボックスに入れてある為、手ぶらで出発しても問題は無い。




「「了解」」




各自、残ってた茶を飲み各自服を整えたり、アイテムボックス内の在庫確認などをしている。




「では、準備を終わり次第、エントランス集合、全員集まり次第出発をする。」




要点だけ伝え部屋を出る。


日影は俺の横に並び一緒に部屋を出る。




「日影は準備とか大丈夫?」




「えっ?焔、休憩の時にポータルを作って、この家に毎回、帰ってくる予定じゃないの?」




問いに?を浮かべる日影




「やっぱり、俺の相棒だな。俺がポータルを作った理由が良く分かっていらっしゃる。」




日影が言ったように、休憩毎に隠蔽の魔法を付与したポータルを作成し、この家で休憩し、また冒険する気で居たのだ。


作ったポータルはどうするかって…毎回設定リセットして消せば良いし、消すのがめんどくさくなったらポータル自体をアイテムボッスクに突っ込んどけば良いし。




「えへへ 焔とずっと居れば、考えぐらいわかるよ。」




日影は、口元を緩ませ体をくねらせる。


この笑顔を見ていると昔の事を忘れて今を永遠にしたいと思ってしまう。


可愛すぎてつい頭を撫でてしまったが日影は、猫のように目を細め、されるがままになっている。






「お待たせしました。」


「主お待たせ~」


「準備できたよー」


「準備できました。」




日影といちゃついてると2階から香蓮・アス・ヘングレが降りてくる。




「ではでは、出発しますか。」




玄関のドアを開ける。


時間が昼位ゆえか何物にも遮られず直接俺の目に太陽光が刺さる。




「目がーーーー」




長時間、室内に居た為か目が太陽光に対し過剰に反応する。




「そりゃー長時間、室内に居たからねぇ」




後ろを振り返ると、日影たちは全員少し後ろに下がり直接光に当たらない場所にいる。




「忘れてたんだよ。もう慣れたからいいけど。」




俺は、少し不貞腐れながら、中心の道を歩き、メリソスを出る。


メリソスに来た時のような不気味なオーラは無く普通な町に感じる。




「これで、この町の問題も解決かな?」




「そうだね、あの雰囲気も消えてるし、自然消滅的な感じで纏まるでしょ。」




日影は、今後の顛末を考えながら言う。


あの依頼書からすると攻略できると思ってない節もあったみたいだし、いつの間にか消えてるぐらいが妥当だろう。




「ま、そんな過ぎたことは置いておいてさっさと行きましょう。」




俺らは、メリソスに背を見せ道を進んでいく。


魔族領には、ベルスターからメリソスに行くための道に出ないと行けない為、其処を目標に進んでいく。




~焔たち移動中~


辺りは草原で背の小さい草が生えており、天気も良いため日向ぼっこして寝ていたいぐらい平和だ。


モンスターに襲われることもなく盗賊などのトラブルにも合わない正真正銘の平和だ。




「なんで、敵やトラブルに合わないんだーここ本当に異世界か?」




俺の叫びに白い眼を向けるパーティーメンバー達。


向けられてる視線から俺が原因なんだろうが俺自身には分からない。




「焔、その発言本当に言ってる?」




俺の頭がおかしくなったのかと心配しながら聞いてくる香蓮。




「主、威圧と言うか存在感というか魔力というかそういうのが色々と出てるよ。」




アスは、俺が気付いて居ないであろう事を理解して控えめに教えてくれる。




「マジで…本当だ。」




自然体の状態でありながらも魔力など色々なものが漏れてるなんて思いもしなかった。


周囲が分かってても自分は気付かないことは良くある事だ。というか最近、急成長したせいだろう。




「よーしこれで、モンスターとかが出てきてくれると嬉しいな。」




そんな事を言っていると程なくしてモンスターに会うとはこの時の焔には、まだ知らない話だ。




~焔たち再度移動中~


もう間もなくで分岐点に着ける所で問題が起きた。


それは、目の前でモンスターがポップ(出現)したのだ。




「やせいの、スライムがあらわれた。」




「香蓮、そういう問題になりそうな物はダメだぞ。」




「私は、事実を言ったまでだ。」




どっかの冒険のような棒読みをしながらよく言うぜ。


まぁ俺らもよく色んなネタを使ってたから人のこと言えんがな。




「とりあえず、自分の力とか知りたいし、あいつは俺がもらう。」




俺は、現れたスライムの方へ歩いていく。


スライムの説明をするなら、みんな知ってる青くてプルプルしたやつではなく、エメラルドグリーンのドロドロした液体に紅い核のようなものが浮いている。


スライム=かわいいと考えてる人がいたら発狂しそうな容姿だ。


目や口といった物が無いから多分察知型だろう。




「SAN値(正気度)が減りそうな容姿だな。まぁスライムは最弱って古事記に書いてあったから行けると信じる」




スライムの方も俺のことを感知できたのだろう紅い玉がこちらに向いたような気がする。


体色が深い緑になったからあながち間違いでは無いのだろう。




「よーし初めに現状の俺の状態確認」




日影やアスたちと戦ってはいるが一般的な敵から見て俺の現状はうまく分かっていないから色々実験させていただきちゃいたい。


俺は何も考えずにスライムに近づく、するとスライムは、俺の体に纏わり付いてくる。




「おぉ~すげーめっちゃ蠢いてる。」




スライムが下半身を覆いながらも何も驚きもしない自分に少し悲しくなるがもう諦めることにした。




「焔、大丈夫‼」




香蓮が助けようと俺の方に行こうとするが何かに阻まれる。


その何かとは、俺が作った障壁だけどな。




「こんなので死ぬわけねえだろう。」




香蓮というかパーティーメンバー全員に向けて大丈夫であることを伝えるが、正直心配してるのは香蓮とアスだけでヘングレや日影は俺の情報に興味を持っていた。


こんな考えをしている間にも下半身はスライムに溶かされ始めている。




「ほぉ消化液か、飲み込まれたときにそうかなーとは思っていたが何から何までグロいな」




創造で鉄のナイフを作りゆっくりとスライムを切るが触れただけで溶かされる。


攻撃されたからかスライムの体色が核と同じような紅い色に変わっていく。




「待ってこのスライム強くない?誰だよ、スライムが最弱とか言った奴とりあえずこいつと戦ってみろ。」




香蓮達からお前だよという視線が刺さるが何も気にしない。




「普通の冒険者ってこんな強い奴と毎回戦ってるのかよやべーな」




こいつティーシ宮に居たやつらの10倍は強いぞ。


そうすると、ほかのクラスメイト生きてるか?あの時点でへばってるとかこいつに簡単に殺されるぞ。


※正確には、このスライムは、レアなボスキャラで普通でも10年に一度ぐらいしか出てこないぐらいのレアリティです。


強さもアスとタメ張れるぐらいの強さです。




「よーし普通も知れたし殺すか。」




その声は、香蓮たちの横から聞こえた。…その声って俺の声だから純粋に俺が香蓮たちの横にワープしただけだけどな。




「うわー」




香蓮たちは、驚き反射的に体が動く。




「ごふぅ」




両サイドからの拳が俺の腹に刺さる。


やばい、スライムの攻撃よりこっちの方が圧倒的に痛い。




「もうヤダあいつに八つ当たりしてやる。」




イラつきスライムにパンチをすると体液が爆発し核だけになる。




「核は何かに使えそうだし貰っておくか。」




核をアイテムボックスに収納して香蓮たちの方へ行く。




「さっきのパンチとても痛かったぞ。」




「焔が悪い」


「主が悪い」




殴った二人は悪びれもなく言い返してくる。




「まぁいいや、もう少しで分岐点だからさっさと行くぞ。」




程なくして分岐点に到着しました〇

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