3-2 フラグは現実に

どうも焔です。現在王都の門の前にいます。


「冒険者の場合は冒険者カードを商人なら商業ギルドのカードの提示をしてくれ」


門のところには門番がおり王都に入ろうとしている人たち一人一人検問している


「すまん俺たちは提示できるもの何も持ってない」


俺は背中で寝ている日影を起こさないようにポケットを裏返し何も持ってないことをモーションで伝える


「なら銀貨1枚だ」


「すまん俺たち金もないんだがダンジョンで取ったモンスターの素材があるからそれを換金したい。」


召喚され毎日王城で訓練して初めて外に出たのがダンジョンでの実践練習の時だ

だから俺たちと言うか俺はお金を稼ぐ暇もなかった


「分かったなら少し待ってろ今冒険者ギルドの方に連絡をし査定できる奴を呼んでくる」


門番の指示に従い端の方によって査定してくれる人を待つ


「主これからどうします??」


アスが今後の予定を聞いてくる


「まず第一に宿屋を見つけ、2~3日分確保する。ついでに日影を寝かせておく

次にギルドに行って登録&地図とか役に立ちそうな物を買ってくるって予定だな。狂わなければ」


俺は今考えてる今後のプランを教える


「了解」


「あなた方が素材の査定を望んでいる人ですか??」


タイミングを計ったかの用に眼鏡をかけた20代前半の男が話しかけてくる


「はい、多分俺たちで合ってます。」


初対面+一応自分より年上だから敬語で接する


「では早速、素材を出してくれ」


「分かりました」


俺はアイテムボックスを開きティーシ宮で狩ったモンスター達の素材を出す


「結構いっぱい有るな、見た感じ鼠系の素材が多いな」


ギルドの査定係だけは有り見ただけで何の素材か当てる


「はい、俺たちが潜ったダンジョンが鼠系のモンスターしか出なくて」


俺は重要なところだけ隠し情報を与える


「...ってことはこの近くだとティーシ宮か??」


「正解です。」


俺は正直分からないだろうと思ったが意外にも当ててきた


「ってことはお前もしかして召喚されたの中の囮になったって奴??」


「ぶっソンナワケナイヨー」


俺はそんな話が王都で広がってるとは思わず吹いてしまった


「そんなわけないよな。だってあの騎士長ですら声を聴いただけで勝てないと悟ったほどの敵らしいからな」


査定係は口が軽いのかすらすらと情報を教えてくれる


「へぇでその召喚された奴らとか騎士長はどうなったんだ」


俺は自分の知りたい情報を聞き出す


「ん??ダンジョン探索してたら急に正体不明のモンスターの咆哮が聞こえたから撤退しようとしたが時間が足りなかったため一人だけ囮となり他の全員は生き残って帰ってきたみたいだぜ。その後は囮となった奴を救出するために近くの森などで実践を積んでたらしいが先日そのティーシ宮が崩壊して作戦は中止らしいぜ。ギルドに来た確か名前を…凛音だかって奴が愚痴ってたぜ」


俺は査定係の話をかみ砕き理解していく

まずシヴァにあった後彼奴らは無事脱出でき、俺の救出作戦を組み立てるが俺がダンジョン攻略したせいでダンジョン崩壊が起き白紙化したって訳か


「でなんで凛音はギルドに居るんだ??」


話の中で一番重要なのはなぜ凛音がギルドに居りまた、そんな重要な話を愚痴ったかだ

俺が居た時はまだ俺たちが召喚された事を公にした感じはなかった

ということは俺が居なくなった後公にしたのか、公にしないまま冒険者として旅立ったのかの二択だ


「ん?あぁなんか強くなったからここからは個人でどうするかみたいな話になったらしいぜ。で凛音は他の奴らとパーティーを組んで冒険者になったらしい。そんなことを言ってた気がする。そんなことより査定終わったぜ合計金額大金貨3枚、金貨5枚、銀貨2枚、銅貨5枚でどうだ」


相場が分からないが普通で考えたら大金だこの世界の通貨の計算は日本でいう1円が銅貨で100円が銀貨で1000円が金貨、1万が大金貨、その後10万が白金貨、百万が大白金貨のように上がっていく

だから今回は35,205円だ。


「買取お願いします」


「おうでは大金貨3枚、金貨5枚、銀貨2枚、銅貨5枚だ。今後ともギルドの利用よろしくお願いします」


俺にお金を渡し買い取った素材をアイテムボックスに入れると査定係は帰っていった


「おう査定終わったみたいだなでは、寝てる姉ちゃん合わせて銀貨3枚だ。」


門番が通行料金を伝えに来る


「そんじゃ金貨でおつりくれ」


俺はさっき手に入ったお金の中から金貨を取り出し門番に渡す


「んじゃおつり銀貨7枚な」


門番は自分のポケットをあさり銀貨7枚渡してくる


「おうありがとよ」


「ではようこそベルスターへ」


「そうだついでだこの町で安心できる宿屋って何処だ??」


俺は担当してくれた門番に問う


「あぁそれならこの大通りを通って噴水のある広場を左に曲がるとあるイザナミ亭がいいぞあそこは珍しい極東の飯が食えるからな」


「ありがとよ」


俺はお礼を言いながら門番の方へ銀貨を投げる


「情報料だ頑張ってくれ」


俺はアスに指示を出し言われた宿屋に向かう

門をくぐると一気に人口密度が高くなりそこかしこから客引きの声が聞こえる


「ほぉ活気づいてて良きかな」


ザ・異世界感が有って俺の心が躍る


「そうだね主こういうの憧れてたみたいだしね」


アスが相槌を打つ


「おうだって異世界ならではだろ。日本じゃもうこんなの祭りのときか、アメ横ぐらいだぜ」


俺が興奮気味に答えるとアスが若干引いたような笑みを浮かべる


「あはは、そうなんだそれよりさっき門番さんに教わった宿屋に行こ」


アスは俺を先導するように服の裾を引っ張り歩く


「分かったから引っ張るな」


俺はアスの横に並びイザナミ亭へ向かう


「ここがイザナミ亭か」

「すごく周りから浮いてるね」



俺たちの前には周りから見ると浮いている瓦屋根の家が建っており暖簾にはイザナミ亭と書いてある


「とりあえず入ってみるか」

「そうだね」


俺は異世界では珍しい引き戸を開け暖簾を退かしながら宿屋に入る


「いらっしゃいませ」


中に入るとまず目に入るのは日本庭園だった

外から見ると普通のゲームとかにある宿屋程度の大きさだったのだが中に入るとその倍以上スペースがあった

また内装も木造をメインとした安らぎのある雰囲気だった


「3人の相部屋って空いてる??」


俺たちが入ってきたときに挨拶してくれた女将さんに聞く


「はい空いてますが何日間のご利用ですか」

「とりあえず3日間で」

「ご飯のほうはどうなさいますか??」

「3食朝・昼・晩お願いします」

「わかりました。では3名様、相部屋で3食付で金貨1枚と銀貨8枚になります」

「わかりました、後お風呂は…」


俺は金貨2枚渡しながら質問をする


「お風呂は公衆浴場をお使いください…一つ質問してもよろしいでしょうか??」


銀貨2枚のお釣りを渡し、質問に答えてくれた女将さんが控えめながら質問をしてくる


「いいですよなんですか??」

「お客さんってもしかして日本という国の方ですか??」

「!??」


俺は息を詰まらせる、この世界に日本という地名が無いのは王城の図書館で読んだ本で知って居たためだ。

なぜこの世界からしたら異世界である日本を知って居るのか


「そうですがなぜ貴女が日本を知ってるのですか??」

「それは私の御爺様が元召喚者でこのイザナミ亭を作ったのも御爺様なんです」


いろいろと疑問に思っていたことが理解できた

まずなぜイザナミ亭という名前なのかという疑問があった、何故ならイザナミとは日本神話に出てくる国産みをし日本を作りその後色々な神を産んだ神の名でこの世界では知られていない名前だからだ

そして二つ目はなぜ洋風の世界で和風の建物が一つだけあるのかだ

これは旧勇者が作ったと思っていたのだがまさか旧勇者の時も巻き込まれた人が居たとは思わなかった。


「すごい今日だけで召喚者に2度も会えました」

「えっ2度も??」

「はい、お客様以外にも今日、宿泊予約を入れてくださった女性も召喚者で勇者様って言ってました」


女将の爆弾発言に今すぐこの場から逃げたいと思った。


「やっぱお風呂は気持ちいなぁ~」


後ろから今一番聞きたくない声が聞こえた


「あっ女将さん、この宿屋いいですね故郷を思い出します」


声の主が女将さんの方へ小走りする音が聞こえる

女将の方ということは俺の方に来ていると同じことだ


「あっ誰かと話…」


声の主は何か言いかけて止まる

俺は今すぐ逃げ出したいだってこの後絶対修羅場が始まるからだ


「ねぇもしかして焔??」

「やぁ香蓮久しぶり」


俺は香蓮の方へ振り返り笑みを浮かべる


「久しぶり、でっ背負ってる女性と横にいる中性は誰??」


久しぶりの声は安堵の入った声だったがその後に続いた声は周りの時が止まったかと錯覚するほど冷たかった


「教えてやるからまずは部屋に着いてこい」


俺は頑張って平常心を保っているかのように装いながら女将の方へ向きなおす


「女将さん部屋の場所と鍵をください」

「申し訳ありません忘れてました。ではこの廊下を進んだ突き当りです。後こちらがカギになります」


木の板で出来た板を受け取り指示を受けた部屋に向かう

部屋の中は和室のように畳が敷いており端の方にたたまれた布団が置いてあった

防音性に難が有りそうだったため保険で防御魔法と空間魔法を用いた防音・耐衝撃・耐魔法の結界を張る


「ふぅ~すまんアス、布団を敷いてくれ日影を寝かす」


俺が指示を出すとほぼ同時ぐらいにアスが動き出す

俺が指示を出さなくても多分アスは動いていたのだろう


「これで良し」


アスの敷いた布団の上に日影を寝かし一息をつく


「良くないよ、でっ結局その二人は何者なの??」


さっきと変わらず冷たい声で聴いてくる香蓮


「はぁ女って怖いなぁ~まぁいいまず日影だが俺のスキルだった神の声の声の正体で昔から俺のことを見ていた変態女だ」


布団で寝て二ヤついてる日影を指で指しながら紹介する


「んでこっちのメスガキはアステリオス」

「ボクは男だからね」


俺の紹介が気に食わなかったのか怒っている…なんで怒ってるんだ??


「アステリオスってあのアステリオスですか」


香蓮が首を傾げながら聞いてくる


「どのアステリオスだ??」

「アステリオスってボク以外にも居たんだ」


多分居ないから安心しろアス


「雷光の名を意味するミノスの王子ですよね」

「正解そのアステリオスで合ってる」

「ボクって意外に有名人??」


アスは一人にこにこしているが香蓮は少し驚愕した顔をしている


「アステリオスって牛頭の怪物じゃなかったんですか??」

「やっぱりボクって怪物の時の方が有名なんだ…」

「そりゃ~俺みたいなイカレ野郎ぐらいだぜアステリオスの本当の姿や物語を知ってるのなんて」


アスが少し涙目になっており香蓮は自分の言った言葉で傷つけたのかと思いおろおろしている


「まぁアスのことや日影のことなんでどうでもいい簡単に言うと二人とも俺の所有物ペットだから」

「なんか違う意味に聞こえたきがすぅ」

「えっ??二人とも焔のペットなんですか??」

「うっわーボクが聞こえない振りをした言葉をド直球に言ったよこの女」


アスが項垂れる


「アス、お前この女とかいうが香蓮は勇者だし、召喚時は俺より強かったぞ」

「えぇぇぇ主より強いとかゴリ…イデデデデデ」

「アスさんなんて言おうとしたんですかニコニコ」

「すげー今までで一番いい笑顔してる」

「ちょ主助けてよ~」


アスの絶叫と香蓮の笑い声が部屋に木霊する…防音用の結界張っといてよかった

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