第一話 刃と琴弾き ⑤
(私がなんとかしなければならない。この国を、陛下をお守りするために……)
王室を後にし、大宰相は政務室で今後の対応を必死で考えていた。どうすればこの危機を乗り越えることが出来ようか。ただ勝つだけではない。我が国は完全でなければいけない。
月の国が治める地、
(そして、たとえ計画が
提出された報告書を広げ、情報を照らし合わせて自軍の現況を確認する。戦術以下は将軍に任せることになっているが、その大本となる戦略の決定権は大宰相が君主から直々に
実際の所、
「なーに難しい顔してんのっ!」
「ひゃっ!」
大宰相の鉄の表情が驚き一色になる。後ろから肩を叩いて来たのは、同じく宮中に住まう占術師の女だった。
「悪い癖よ、全部自分が背負い込もうとするのは」
「けれど、私は強くなくては。なめられたらお仕舞いなのですから」
固いねえ、と言わんばかりにかぶりを振って、占い師は札を一つ取り出して見せた。
「朗報が一つございます」
「ちょっと、それ私の真似のつもりじゃないでしょうね?」
大宰相は呆れ顔で友人を見た。占術師は微笑むと、香の匂いがむせるほど鉄の女に顔を寄せ、小さな声でこう告げた。
「
「……あなた、ほとんど占い当たったこと無いじゃない……」
大宰相はそう言いながらも、この女に内心感謝していた。凝り固まった思考を解すのに、必要なのは適度な脱力である。(占いのことは全くあてにしていないが、)彼女は紛れもなく、今のこの国に必要な人間だ。
(なんだか希望が出て来ちゃった。もう少し頑張ってみようかな)
月がほんの僅か、
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