第48話 3節 重力波の衝撃(9)

「では、宇宙人の皆さん、こちらの宇宙船の中に入って来てください」

ヌトがピラミッド型宇宙船の扉の前で手招きをする。

「入っても大丈夫かな、ヒロ?」

ミウとマリは不安な表情で、ヒロの顔を見る。


「僕とサーヤが先に入って、ケンが無事かどうか確かめるよ」

ヒロとサーヤがタリュウの口から飛び出して、ピラミッド型宇宙船の中に入った。

すると、二人の目の前に、椅子に座っているケンが現れた。

「おー、ヒロ、サーヤ、何が起きたかわからないけど、俺はどこもケガしていないよ」


サーヤがケンの頭と肩に手を触れて、どこもケガしていないことを確かめる。

「よかった、ホントにケンは無事だったんだ」

ケンは砲撃されたショックで気を失ったから、まだ事態を理解できていないが、とにかく嬉しくてサーヤをハグしたくなった。


「助けに来てくれてありがとう、サーヤ」

ケンが立ち上がってサーヤをハグしようとしたが、サーヤの横にいたヒロに抱きついてしまった。

「ケン、ケガはしてないけど、まだ足元がふらついてるよ」

ヒロが笑ってケンの体を受け止めた。


「安心したようだね。他の皆さんもこちらに来るように言ってください」

ヌトがヒロとサーヤに話しかけると、ヒロがミウ達に合図を送った。

「よかった、ケンは無事なんだね」

マリ、ミウ、ロンが笑顔で宇宙船の中に入って来た。


「ところで、宇宙人の皆さんは宇宙空間から突然現れたけど、別の宇宙から来たのかな?」

ホルスが冗談めかして、ヒロやケンの顔を見る。

「うーん、説明するのは難しいけど、そう考えてもらってもいいです」

ヒロは、相手が信じないかもしれないと思って、曖昧に答えた。


すると、ホルス、アモン、ヌト、アテンの四人は顔を見合わせてうなづいた。

「我々の科学者達は別の宇宙があるという理論を信じているが、実際に別の宇宙を見たものはいない。宇宙人の皆さんは別の宇宙に住んでいるのか?」

不思議なものを見るような目をして、アモンがサーヤとミウに質問する。


サーヤが落ち着いた態度で、影宇宙を通ってここまで来たことを話すと、アテンが自分たちの宇宙論について話し始めた。

「我々の宇宙にある千億個以上の銀河は、その中心に巨大ブラックホールを持っている。そこに光子やエネルギーが吸い込まれている。」

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