第31話 2節 オリンポス惑星の住人(12)
「アルテミスが君たちの仲間をハグしたのは、歓迎の気持ちを表す挨拶だよ」
公邸内のモニターを見て、デウスがさりげなく説明すると、ミウとマリが同時に質問した。
「なぜ、アルテミスはロンを軽く、ヒロをしっかりハグしたんですか?」
「それは・・・アルテミスに聞いてみないと・・・」
デウスはあいまいな返事をしたが、アルテミスがヒロに興味を持っていると気づいていた。
「お父様、みなさんを連れて来ました。こちらがヒロ、そしてロンよ」
アルテミスが、透き通った声で二人をデウスに紹介した。
「アルテミス、ありがとう。ヒロ、ロン、そしてペットたち、ようこそオリンポス国へ。君たちのことは、シュウジから聞いていたよ。」
デウスは、公邸の中に入って来た一人一人に笑顔を向け、最後にヒロを見た。
「シュウジって、ヒロの父さんがここに来たんですか?」
ケンが驚いてたずねると、デウスは笑って答える。
「いや、厳密に言えば、ここに来たのはシュウジのクローンだ。地球の科学水準は、我々と同じレベルに達しているようだな」
「地球では、動物のクローンは作れますが、倫理上の制約があって人間のクローンは作られていません。でも、ヤミやアンコクの
サーヤがそう言うと、デウスはうなづいたが、ヒロは夢見心地でアルテミスを見ている。
「ヒロ、サーヤ、あなたたちのお父様はすごい科学者なのね」
アルテミスが、やさしくヒロに話しかける。
「そうなのかな。オリンポス国の文明は地球よりずっと進んでいて、ぼくたちの父さんよりすごい科学者がいるんじゃないの?」
ヒロが遠慮がちに言うと、アルテミスがほほ笑んで答えた。
「じゃあ、これからあなたを最先端の研究所に案内するから、私についてきてね」
ヒロが、アルテミスに続いて部屋を出ると、二人乗りのカプセル型自動車が待っていた。
「この自動車も自動運転なの?」
ヒロがたずねると、アルテミスは驚いた表情で聞き返す。
「地球では自動運転じゃないの?自動運転じゃないと、ぶつかったり道路の外に飛び出したりするでしょう?」
ヒロがうなづくと、アルテミスはヒロの手を握って自動車の中に入った。
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