第26話 2節 オリンポス惑星の住人(7)

強い光の衝撃波しょうげきはは、宇宙の中の遠い恒星こうせい超新星爆発ちょうしんせいばくはつを起こしたことによって発生した。


「さっきからジリュウの姿が見えないけど、どこにいるんだろう?」

サブリュウの中から外を見ていたヒロが、心配し始めた。


すぐにサスケの口から、父親のシュウジの声がする。

「ジリュウは影宇宙の中を上昇しているうちに眠くなって、みんなより遅れてしまったようだ」


「じゃあ、さっき遠くに見えた超新星爆発の衝撃波におそわれたかもしれない。僕たちが通り過ぎた後で、あの衝撃波がこっちに到達したはずだから」

ヒロは千里眼せんりがんの力でジリュウと、その中にいるミウとカゲマルをさがした。


「ああ、大変だ、ジリュウの中でミウが気を失っている。あれ、左腕がねじれている。骨折しているかもしれない。おーい、ミウ、しっかりしろー」

ヒロが呼びかけるが、ミウの意識は戻らない。


「サーヤ、ミウがジリュウの中でケガをしている。意識を失っているよ。どうすればいい?」

ヒロは、サーヤの治癒ちゆの力が遠く離れたミウに届くよう願った。


「タリュウの中の私からジリュウの中のミウに、私の治癒の力が届くかわからないけど、やってみるよ」

サーヤはミウに語りかけることで、治癒の力をミウに届けようとしたが、ミウの反応がない。


「ミウの意識が戻らないから、治癒の力が届かない。そうだ、カゲマルに手伝ってもらおう」

サーヤは、カゲマルに話しかける。


「カゲマル、治癒の力を届けるから、ミウの肩を前足でしっかり押して」

カゲマルが、ミウの左肩に前足を乗せて体重をかけた。


「うーん・・・、痛い」

ミウが、顔をしかめながらゆっくりと目を開けた。


すぐにサーヤがミウに話しかける。

「ミウ、左手をゆっくり動かしてみて。私の治癒の力で、痛みは消えているはずよ」


「あれ、思うように動かない。右手と両足は動くけど、ちょっと痛い」

ミウは起き上がって座ることはできる。


「あー、やっぱり左腕のどこかを痛めている。今は直接触って治すことができないから、オリンポス惑星に着くまで、じっと動かないで我慢していてね」


サーヤが話しかけると、ミウは元気なくつぶやいた。

「ああ、サーヤ、ありがとう。でも、オリンポス惑星に着くまで、何日かかるの?」

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