神話決戦10

 先手を打ったのは、異星生命体の方だった。

 漂う六角形の板状の、異星生命体の『身体だったモノ』。火球の周りを周回しているそれらは、その周回速度を徐々に速めていく。

 火球自体が直径百メートルを超えているため、浮遊する『板』の周回距離は中心付近でも約四百メートル、外周部分となれば一・二キロを超える。この長大な道のりを『板』は一秒で一周するまでに加速していた。計算上、外側を漂う『板』の速度は今や秒速千二百メートル以上という音速の数倍ものスピードに達する。全体のスケールからすればあまりに小さな『板』が高速で動き回る様は、さながら高速で流動するノコギリのようだ。

 即ちそのような状態で突撃してくるという事は、明確な殺意の表れである! 異星生命体の進路上に存在するのは、無論アナシス!

「ふん! 肉弾戦の攻撃力を増したつもりでしょうが……小さくなってくれるなら我々にとって好都合です!」

 されど真っ先に対応したのはアナシスではなく、フィアだった。フィアは能力を用い、海水を用いて全長五百メートル以上の刃を形成。その刃を異星生命体目掛け、音速以上の速さで射出する!

 異星生命体の身体は頑強だった。しかしそれはあくまで集合体……一個の『存在』だった時の話である。今や異星生命体は小さな『板』。無論材質に変化はないのだから相応の強度はあるだろうが、湾曲したりして衝撃を逃すための余地は遥かに小さくなっている筈だ。つまり、分化した事で防御力が著しく低下したと思われる。

 フィア的には「小さくなったのだからその分弱くなったに違いない」という単純な発想だったが、結論として間違いではない。最大級のパワーを持って放たれた刃を異星生命体は回避せず、直撃。

 爆音を轟かせながら壊れたのは、フィアが操る刃の方だった。異星生命体の進行は止まらず、『板』にも損傷はない。散々たる結果であるが、期待こそあれども予測は出来ていた事態。フィアは忌々しげに舌打ち一つするだけ。

 それに、気になる事がある。

 水で作った刃が崩壊した際のだ。あれではまるで――――

 違和感を覚えるフィアだったが、その情報を理解して周りに伝えるよりも、異星生命体とアナシスが激突する方が早かった。

 ギャリギャリと、金属同士がぶつかり合うような異音が響き渡る。

 その音により異星生命体の回転には、外観通り攻撃的意図を含んでいたと分かる。生半可な生物なら、今頃胴体が真っ二つに違いない。

 されど、アナシスは健在。肉が削れるどころか鱗で弾き返し、傷一つ負っていない。直立不動を貫きながら尾を大きくしならせ、超音速で異星生命体に叩き付ける! 轟く爆音と共に発生した衝撃波により、周囲の海水がクレーターのように抉れた!

「うひぃあ!?」

「っ!」

 この衝撃の余波を受け、フィア達全員が数キロも彼方に吹き飛ばされる。いや、吹き飛ばされただけで済んだ、と言うべきだろう。

 何しろ先の一撃により、四千メートル下の海底までもが剥き出しとなったのだから。海水を加熱して強引に浮いていたアナシスも、その海水がなくなっては浮遊出来ぬらしい。地球の重力に引かれ、秒速九・八メートルの加速度でゆっくりと降下。対する異星生命体は重力操作をしているのか、叩かれた余韻で僅かに身体を傾けるだけで落ちてくる気配はない。悠々と漂っている。

 尤も、それを許すほどアナシスは甘くない。

 落ちきる前に、アナシスは自らの長大な身体を異星生命体に巻き付ける! 『板』の集合体となっている異星生命体だが、何故かアナシスの身体は食い込んだり空振りになったりはせず、丁度輪郭の辺りで止まってしまう。なんとも不可思議な事象だが、これで巻き付くのに支障はない。島での姿ほどではないが長い身体で締め付け、アナシスは異星生命体を束縛する。

 突如として重量が激増し対応出来なかったのか、異星生命体の巨体が明らかによろめく。それでもなんとか振り払おうとしてか、異星生命体は『板』の周回速度を速めた。激しい摩擦音が轟くも、アナシスは怯まない。むしろ一層キツく締め上げ、そのまま潰そうとする。

 ついに異星生命体は力尽きるように『板』の周回を止め、地面へと落ちた。

 ただし秒速三十キロという隕石並の速度まで加速して。

【■■■!?】

 危機を察したアナシスは身を強張らせるも為す術なく、露出した海底にその身を打ち付けられて呻きを上げる。数十万トン級物体二体の衝突……その破壊力は、巨大隕石の衝突に等しい。もしこれが本当に隕石の衝突であったなら、今頃数百メートル級の大津波が発生し、世界中の沿岸都市を飲み込んだだろう。地上であれば、衝突によって舞い上がった土石が成層圏に到達し、地球を覆い尽くして大量絶滅の引き金となったに違いない。

 しかし異星生命体は、その巨大なエネルギーをアナシスだけに注いだ。打撃の威力は垂直に放たれ、地殻目掛けて直進。僅かな余波がクレーターに流れ込もうとしていた海水を押し退けたが、それだけだ。全エネルギーの大半を、アナシスはその身で受け止める。

 開放すれば地球生命の大半を死に追いやるインパクト。神の鉄槌といっても過言ではない打撃にアナシスは

【■■■■■■■■■■■■!!!】

 怯むどころか怒りを露わにしながら身体をしならせ、異星生命体を持ち上げるや猛然と海底に叩き付けた! それも一度や二度ではなく、何度も、何度も、何度も……自分がお見舞いされた攻撃と同等以上の力を以てして、執拗に! 打撃の衝撃は地殻にまで到達したのか、砕けた海底より溶岩が溢れ出す!

 神の鉄槌といえど、同じく神の領域に立つ者にとっては重めの一撃でしかないのだ。例え星を揺さぶり、周辺から溶岩が噴出するほどの威力だとしても。

【********!】

 されど異星生命体もやられっぱなしではいない。唐突に中央の火球が閃光を放つや、ドクンッ! と鼓動のような音と共に衝撃波を生み出す! それは三百六十度、全方位にドームのように広がり、何もかもを破壊していく。

 正体不明の反撃を受けてもアナシスは異星生命体を放さなかった、が、それは一回目の話でしかない。異星生命体は謎の衝撃波を連続して放出。度重なる攻撃に耐えきれず、アナシスはついに吹き飛ばされる。

 そしてあろう事か、アナシスは数千メートルもの高さまで上昇した。

 恐らくは重力操作による現象。空高く舞い上げられたアナシスに、地上へと落ちる気配は一切なかった。このままでは何処まで飛ばされるか分からない――――されどアナシスはこの状況でも冷静さを失わず、空中で体勢を立て直すや巨大な顎を開き、奥底で燃え盛る紅蓮の光を見せる。

 ハッとしたように異星生命体は形態を変異。銀河のような形が、一瞬にして円錐状に変わる。その円錐の先端には、純白の発光現象が起きていた。

 そして二体は、同時に光を放つ。

 異星生命体が放ったのは大出力のガンマ線……ガンマ線バーストだ。直径百数十メートルを超える力はアナシスの巨体をも浮かし、そのまま大気圏外へ追放しようとする。否、それどころかマグマの熱にも平然と耐える彼女の鱗を、少しずつだが溶解させていた。このままでは、結果はどうあれアナシスは二度目の敗北を向かえるだろう。

 だが既にアナシスは口内より、自身が生成した熱を凝縮した火焔を射出していた。水爆の中心温度さえも嘲笑う高温を内包した火球は外気に触れても冷めず、それどころか触れた大気をプラズマ化させて連鎖反応を起こし、爆発的勢いでエネルギーを拡散させる……ただしこれは火球を包む電離層が激しく揺らいだ時、即ち着弾時に発生する事象だ。

 火球は真っ直ぐに進み、異星生命体を直撃。大気の連鎖反応により、真っ赤なキノコ雲が噴き上がった。放出された膨大な熱により大気はプラズマ化し、高温化による上昇推力によって亜光速で空目掛け駆ける。その反作用により下方向にも強力な衝撃波が飛び、異星生命体を襲った! さしもの異星生命体もこの破滅的一撃を受けて無事ではいられず、大地に叩き付けられる!

 彼女等の攻撃はこれだけに留まらない。アナシスの火球から生じたプラズマは大気圏を飛び出し、宇宙空間に放出される。数万分の一に希薄されながらも未だ高いエネルギーを内包したそれらは、付近を通りかかった衛星の装甲を溶かし、中の精密機械を尽く破壊した。異星生命体が放出していたガンマ線バーストは体勢を崩した拍子に地面に照射され、海水のみならず大地をも溶解・気化させて切断。直線にして四千キロ彼方まで地球を切り裂き、周辺の生態系を粉砕する。

 かくして双方相手を怯ませ、周囲への甚大な被害と引き換えに手にした隙で体勢を立て直す。アナシスは再び海底に降り立ち、異星生命体は円錐形から銀河型へと姿を戻す。

 二体が再度激突するのに、それから一秒も必要としなかった。

 太平洋に創り出されたクレーターは、絶え間ない衝撃により未だ消えていない。代わりに生命はその鼓動を跡形もなく消し去り、文明の力も息の根を止められる。神々の本気の争いは、何人であれ見る事さえも許されないのだ。

 唯一の例外は、その『神々』と同質の力を宿した非常識達だけである。

「……完全に蚊帳の外ねぇ、私達」

 その非常識達にとっても接近は危険なため、ミリオン達は遥か百数十キロ彼方で、彼女達の死闘を観察していた。

 ミリオン、フィア、ミィの三体が居るのは高度三千五百メートルもの上空。ミリオンは加熱による飛行で浮遊し、フィアは水を操って高さ三千五百メートルの『柱』を作ると金髪少女の姿でその先端に座り、ミィはそのフィアが作った『柱』にしがみつく形でこの高度に留まっている。

 視点を上げれば地平線は遠くなる。三キロ以上の高さまで上がったフィア達は、ここまで離れてもアナシス達の戦いを眺める事が可能だった。異星生命体がさながら星の如く猛然と輝き、煌々と辺りを照らしているお陰もあってとても良く見える。

 尤も、彼女達の強大さを思えばこの距離でも安心など出来ないが。

 何よりも問題なのは……

「さぁてどうやって手助けすれば良いんですかねぇ」

 フィアが独りごちたように、アナシスの援護の仕方が分からない事だ。

 この『やや安全圏』から助けよう、なんて虫の良い考えはフィアだって持っていない。必要であれば接近し、何かしらの行動を起こすつもりだ。では何故そうしないのかと言えば、単純に有効な手助けが思い付かないからである。何しろ三体全員が協力して編み出した『合体技』すら、何十発も喰らわせないと効果がない体たらく。加えてあの技は、ああも激しく動き回られるとまず当たらない。行ったところで犬死にが精々では意味がないのである。

「つーか、なんでアイツあんな硬いの? 分散してるんだから、ちょっとは脆くなりそうなんだけど」

「むしろ強くなったアナシスの攻撃に耐えてる辺り、一層硬くなってるかも。どんな方法で衝撃に耐えているかは分からないけど、分散した方が頑丈ってのは、感覚的に奇妙な話ね」

「ふむ。そういえば先程攻撃した時に違和感がありました」

「違和感?」

 ふと、自分が一発だけ繰り出した攻撃――――水で作り出した巨大な刃をぶつけた際の手応えを思い出し、フィアはミリオン達にそれを伝える。

 曰く、手応えがしていない、と。

「……は?」

「だからぶつぶつしていなかったのです。滑らかというのでしょうかなーんか思ってたのと違うんですよね」

「いや、そんないい加減な感覚の話をされてもさぁ」

 あまりにも抽象的で雑な感想に、話を聞かされたミィは困ったように顔を顰める。しかしながらフィアとてヒントになればと思いなんとなく話しただけで、詳細を求められても困る。

 そうして二匹が共に困り果てる中、無生物であるミリオンだけが自身の顎に指を当てながら考え込んだ。しばらくぶつぶつと呟いていたが、やがて小さく「ふむ」と漏らすと納得したように頷く。

「成程、理屈は分かったわ。『アイツ』と同じ原理かは分からないけど、そういう手も使える訳ね」

 それからこぼした独り言には理解者特有の自信こそあるものの、残念ながらフィア達にも分かるようにとの配慮は全く含まれていなかった。

「どういう事です? 私にも分かるように話しなさい」

「あたしにもあたしにもー」

「……簡単に言えばバリアね。磁場による反発か、重力を操って何かしてるのか、それとも人間や私達では計り知れない未知の法則か。なんにせよ、そういったモノで身を守ってるのよ。まぁ、体内で核融合なんてしてるんだから、元々頑丈ではあるんでしょうけど」

「うへぇ。そりゃ破るのもしんどそうだ」

「付け加えると、バリアに関しては分裂した方が頑丈になる筈よ。バリアは表面に展開するものだから、表面積を増やせばその分バリアの総量も増える事になるもの」

 つまりあの銀河のような形態は攻撃モードではなく、むしろ防御を重視した形態ではないか。

 ミリオンが語った『推測』に、ミィは顔を顰める。これが事実なら、ますます打つ手がないように思えてならないのだ。何しろ自分達の力では、姿にすらまともなダメージを与えられなかった。仮に攻撃力と引き換えに防御力が下がっていれば何か出来たかも知れないが、逆となると一層手立てが減ってしまう。いや、だからこその『戦闘形態』かも知れないが。

「弱点がないとは思わないけどね。間違いなく、エネルギー消費は激増しているわ。だからスタミナ面は弱体化している筈なんだけど……」

「核融合って、凄い量のエネルギーを作れるんでしょ? 結構賄えるんじゃない?」

「多分、賄えるんでしょうね。宇宙空間ならまだしも、水素原子だらけの地球上で疲れ果てる可能性は皆無よ」

 小さく、ミリオンはため息を漏らす。唯一付け込めそうな部分も、超常のエネルギー生成機能によって補完されている。何処を取っても完璧。宇宙を旅する生命とはこれほどまでに超越的存在なのかと、二匹揃って途方に暮れる。

 次いで彼女達の脳裏に過ぎるのは、アナシスの戦局。

 如何にアナシスの力が絶大でも、無尽蔵のスタミナの相手を出来るのか? 星の力を前にして何時まで戦えるのか? 不利だと本能的に感じたからこそ援護に回ったが、考えるほどに敗色濃厚である事を悟る。

 そしてどれだけ不利でも、自分達の力では手助けにもならない事への不甲斐なさも。

「正直よく分からないのですがつまりアイツは見えない壁に包まれているという事ですかね?」

 そんな中、フィアが能天気に尋ねる。

 まるで危機感がないのに加え、例え方もいまいち分かってないのがありありと伝わってくるもの。ミリオンとミィは同時に肩を落とし、ミリオンが小さく頷いた。

「……大まかに言えばそういう話ね」

「なんだ。なら最初からそう言えば良いのですよ回りくどい。あとそういう事であれば一つ作戦があるのですが」

「「作戦?」」

「要するにアイツはバラバラに見えて一塊という事なのでしょう? だったら……」

 首を傾げながら訊き返してくるミリオン達に、フィアは閃いた『秘策』を打ち明ける。伝えられたミリオン達は渋い顔をしながらも、しかし関心自体は持った。

 フィアが話を終えると、ミリオンはゆっくりと手を上げる。そして指を二本立てると、重たくその口を開いた。

「確かにそれなら『手助け』にはなりそうね。でも問題が二つ。一つはアイツのあまりにも大きい力をどう処理するか。尤も、これはやり方次第でどうとでもなりそうだけど」

「ふふんお任せください。その辺りは勘で分かりますから」

「……まぁ、さかなちゃんの勘なら信じても良いけど。だけど問題はもう一つあるわ。こっちは致命的。その作戦に使えるような『素材』が何処にもないって事。さかなちゃんが能力で作った物でも、アイツ相手じゃ簡単に壊されちゃうでしょ」

「む? それ心配する必要あります? 別段拘束する訳ではないのですし」

「最低限の強度は必要でしょ。蹴飛ばされた瞬間吹っ飛ぶようじゃ話にならないわ」

「むむむ……」

 作戦の穴を指摘され、フィアは黙りこくってしまう。当人からすれば名案でも、第三者からすれば問題点だらけというのはよくある話だ。

「……ねぇ、それなんだけど……」

 そして、第三者から解決案が出てくるのもよくある話で。

 ミィからの提案に、フィアはぽんっと手を叩いて納得する。ミリオンも少し考えてから、こくりと頷いた。

「……OK、良いわ。それで上手くいく保証はないけど、やるだけやってみましょ。加工に関しては私がやるわ。さかなちゃんは『素材』集め。猫ちゃんは実戦で活躍してね」

「あいあいさー」

「むぅ。私一人でやって花中さんに自慢したかったのに……」

「別に手柄を横取りしようなんて考えちゃいないわよ。あと、その心配は作戦が上手くいってからにしなさい……っと、ちょっとのんびりし過ぎたかしら?」

 若干不満げなフィアを嗜めたミリオンは、ふと正面を見据えながらぽつりと漏らす。フィアとミィもミリオンと同じ方角に視線を向け、能力を用いて百キロ彼方を凝視。すぐにミリオンの言いたい事を理解する。

 アナシス達の戦いに『変化』が起きていたのだ。無論、自分達にとって都合の悪い方向に。

 彼女なら持ち堪えてくれる――――等と、期待を抱く事をフィア達はしない。危機に陥ったのなら、それは何時負けてもおかしくない事を意味する。

 このままアナシスが負ければ、最早打つ手はない。

「さぁていっちょやりますか!」

「もたもたしてらんないもんね!」

「んじゃ、一仕事するとしましょ」

 フィアは水柱を崩して落ちるように、ミィは自ら飛び降り、ミリオンは霧散して姿を消す。

 現状一つしか思い付かなかった策で、この星最後の希望を助け出すために。

 ……………

 ………

 …

 強い、理不尽なまでに。

 激戦の中で、アナシスは異星生命体への評価をそう出していた。

 単純なパワーとスピードでは負けていない。自分の一撃が相手を怯ませるだけでなく、相手がうっすらと纏っている『壁』をぶち抜いて打倒しうるという手応えもある。決め技である『火球』が異星生命体の生命を脅かすだけの威力があるのも間違いない。『勝ち目』自体は確かにある。

 しかし、それは「肉食獣と草食獣が争った時、稀に草食獣が肉食獣を殺める事もある」という程度のもの。

 確かに肉弾戦、射撃戦では互角だ。だが自身には大きく育てたこの肉体しか武器がないのに対し、異星生命体には不思議な力……重力を操る能力がある。力が互角なら、技に優れている方が有利なのは考えるまでもない。

 かくしてこのまま考えなしの戦いをしても勝ち目が薄いと判断したアナシスは異星生命体と一旦距離を取り、異星生命体の方もアナシスの様子を窺うように距離を開け、二体は睨み合いを始めた。一時の休戦により争いの余波は消え、太平洋にぽっかりと空き続けたこのクレーターに、海水が流れ込む轟音だけが満ちる。

 アナシスが相手との実力差を察したように、異星生命体もアナシスとの力の差を感じている筈。しかしその力量差は、油断や幸運によりひっくり返る恐れがある程度でしかない。向こうとしても返り討ちの可能性を考え、慎重になっているのだろう。されど優勢なのは間違いない。むしろ実力が近しいからこそ、時間を掛けて策を巡らされてはこの優勢をひっくり返されかねない……少なくともアナシスが異星生命体の立場ならばそう考える。

 恐らく異星生命体はすぐにでも動き出す。何かしらの反撃に備え、小手先の策ぐらいは手元に用意しながら。

 故に異星生命体が突如としてフル回転しているエンジンのような怪音を鳴らし始めた時、アナシスが予測した異星生命体の行動は再突撃であったが――――異星生命体は、それを凌駕する。

 消えたのだ。

 比喩ではなく、文字通り。なんの残像すらも残さずに。

【■■■!?】

 直後、困惑に浸る間もなくアナシスの背中に鋭い打撃が入る!

 身を捩り背後を振り返れば、そこには異星生命体の姿が。

 何時の間に背後に? 理性が疑問への答えを模索する中、本能は反撃を決断。長大な身体をしならせて異星生命体を叩き倒そうとするも、既に異星生命体は後退。間合いを取られ、寸でのところで回避されてしまう。

 されどこのまま逃がすつもりもない。アナシスは全身で生産した熱エネルギーを口内で凝縮。ガンマ線バーストとの撃ち合いをした時よりは低出力の、されど小型であるが故瞬時に射出可能な火球を生み出す。

 異星生命体は再び異音を鳴らし、アナシスと向き合う。先程は何をされたのかよく分からないが、仮に高速で動いているのなら、目では捉える事が出来ずとも余波や震動などの予兆はある筈。その予兆を捉えるべく全身の感覚を研ぎ澄ましながら、アナシスは火球を撃ち放った!

 ほんの十数秒で地球を一周する速度で放った火球は、異星生命体を正確に捉えていた。撃たれた事は認識しているだろうが、身体の動きが追い付くまい。致命的ではないが、手痛い一撃を与える

 筈だった。

 異星生命体は、アナシスの

【ッ!? ■■!?】

 突然の出来事にアナシスは唖然となり、その隙を突いて異星生命体は体当たりをお見舞いする! 意識を異星生命体の『挙動』に集中させていた上に不意を突かれたアナシスに、防御の準備などする暇もない。苛烈な一撃に呻きを上げ、彼女は数キロほど吹き飛ばされてしまう。

 ダメージ自体はそれなりで済んだため、アナシスは悠然と起き上がる。が、その心中は動揺が支配的となっていた。無論、いきなり異星生命体が目の前に現れて驚いた、というのもある。

 だが何よりもアナシスを動揺させたのは、なんの予兆も、痕跡もない事。

 『成長』により、アナシスの動体視力は生半可な生物など足下にも及ばないぐらいには優れている。具体的には、音速の百数十倍にも達する自分の尾ぐらいならちゃんと見えるほどには。そのアナシスにも見えない速さとなれば、周囲の粉塵が舞い上がったり、駆け出す寸前の踏み込みで地震などが起きねばならない。

 なのに、起きていない。

 つまり異星生命体の動きは、ただの高速移動ではないのだ。例えば瞬間移動のような……

 暫定的に原理を定めたのも束の間、異星生命体は再び異音を鳴らし始める。唯一予兆といえるのが、この異音。恐らく先の『行動』には多大なエネルギーを必要とし、その生産を行っているのだろう。

 何時、何処から来るか分からない攻撃。理性のみならず本能さえも困惑する中、アナシスは突如として消える異星生命体の猛攻を予感し歯ぎしりをした。

 ――――さて、異星生命体は『何』をしているのか。

 これもまた異星生命体の能力である、重力操作の応用であった。重力の作用は、何も物体を引き寄せる事だけではない。例えば空間を歪める事も可能だ。これは巨大な恒星の付近では空間が歪み、恒星の『裏側』の景色が観測出来るという現実の結果からも証明されている。

 そして空間を歪める事が出来れば、時間の流れをも操作出来る。

 アインシュタインの一般相対性理論により提唱され、既に証明された『事実』。高重力圏、空間が凝縮された世界では、時間の流れは ― その重力圏の外から見て、という前提は付くが ― 遅くなるのだ。これはGPS衛星の内蔵時計などで活用されている理論であり、仮に否定されれば現在の物理学が根底からひっくり返る大前提である。

 では逆に、重力操作により空間をなら?

 ごく単純な話だ。重力圏内の外から観測すれば、物体の時間は加速しているように見える。逆に、重力圏内の内から観測すれば、自分の外側の時間が遅くなったように感じるだろう。そして空間の引き延ばしを極限まで、限りなく薄くしたなら……自分を囲う世界の時間はまるで止まったように遅くなる。

 即ちこれは、時を止める事に等しい。

 異星生命体は、時を止めて攻撃していたのだ。それも蓄積したエネルギー量次第ではあるが、五秒や十秒といった制限もない。静止した世界の中で悠々と歩き、じっくりと観察し、最も適切な死角を窺える。あらゆる攻撃を回避し、あらゆる防御の隙間を付く。

 時間という世界のルールさえも捻じ曲げるその力は、最早神以外に相応しい言葉などあるまい。

【■■■■■■! ■■■! ■■■■■■■■■!】

 そうとは知らないアナシス。接近戦を仕掛けて『瞬間移動』をさせまいとするも、異星生命体は再び時を止めてこれを回避。観測上光をも凌駕する超スピードで側面に回り込み、時の流れを元に戻す。

 アナシスの時間が流れ始めた時、異星生命体は既に彼女の前から消えている。本能的に気配を察知して振り向くも、攻撃態勢にある異星生命体と比べれば数手遅れている状態。身体能力が互角である以上、到底巻き返せない遅れだ。

 高速回転を加え、さながら殴り付けるかのような体当たりを喰らわせる異星生命体。この苛烈な攻撃を、アナシスは十分な構えすら取れずに受ける羽目となった。数十万トンはある巨体が衝撃で浮かび、口から零した何百キロもの涎に血が混じる。殴られた箇所の鱗が欠け、僅かながら肉片が剥き出しの海底に落ちた。

 アナシスとてただでは転ばない。素早く身をのたうち、渾身の頭突きをお見舞いする! 大地に打ち付ければ気候変動をも起こしかねない一撃に、異星生命体の身を覆うバリアが歪む。核攻撃でも揺るがせられなかった無敵のフィールドが衝撃を緩和出来ず、バリア内の身体……無数に分裂した『板』の幾つかが破損し、周囲に飛び散った。

 それは確かに、ダメージである。されど浅い。アナシスと比べれば、ずっと。

【■■■■■■■■■!】

 ならばともう一発頭突きをお見舞いしようとするが、三度時が静止する。連続した時間停止はエネルギーの消耗が大きく、あまり長時間の時間停止は使えない。しかし一秒も敵を止める事が出来るのなら、接近戦で優位に立つ事は容易い。

 寸でのところで頭突きを躱され、アナシスの体勢が大きく崩れた――――その瞬間、頭上に移動していた異星生命体は回転しながら体当たり! 叩き付けるような一撃によってアナシスの身体は大地に叩き付けられ、小惑星が衝突したかのような地震と衝撃波が周囲を駆け巡った。

 それでもアナシスはすぐに起き上がり異星生命体を睨み付けようとするが、もうそこに異星生命体の姿はない。背後に回っていた異星生命体は重力操作によりアナシスの身体を上空へと浮かばせ、その後猛スピードで地面に叩き付ける! 三度も叩き付けるとアナシスを放り投げて距離を確保。改めて異音を鳴らし、エネルギーの生産を始めた。長時間の時間停止が行えるよう、念入りに。

 最初は互角の戦いだった。

 だが、今ではもう一方的に嬲られるだけ。繰り出した攻撃は簡単に回避され、固めた防御は容易く隙間を抜かれる。瞬間移動ではない、と今更ながら察するアナシスだったが、しかし仮に正確な能力を見抜いたところで意味などない。静止した時間への反撃手段など、持ち合わせていないのだから。

 度重なる猛攻に、アナシスの鱗が宙に舞い、皮膚片が飛び散る。一欠片でも数十キロはあるそれは、柔らかな海底の砂地に次々と埋まる。最早浅いとは言えない傷からは滲むような出血を起こし、美しい翡翠色の身体が少しずつ黒ずんでいった。

 やがて、アナシスの抵抗が止む。攻撃する事がなくなり、その身を強張らせるだけ。目は異星生命体を追おうとするが、時間停止を駆使して忽然と姿を消すモノを捉えるのは不可能だ。身を強張らせて防御を固めるのも、何処から攻撃されるか分からない以上全身くまなくするしかなく、疲労の蓄積が著しい。体力を消耗すれば、ますます勝機はなくなる。

 このままではジリ貧なのは確実。打開策もない。

 敗色濃厚のアナシスに対し、異星生命体は攻勢を弛めない。むしろいよいよ大詰めに入ろうとしているのか。距離を開けるや時間を止め、助走を付けた状態で駆ける。そして接触寸前に時間の流れを戻して体当たり……大振りで、威力の高い攻撃を繰り出すようになった。本来ならば回避や反撃の恐れのある戦い方だが、アナシスの防御姿勢に加え、最強の命中率と究極の回避力を誇る時間停止の前ではそんなリスクなど掠れて消えてしまう。

 最早戦いですらない。何時終わるのか、それだけが議論の内容となる『暴虐』。

 やがて、アナシスは崩れ落ちるように横たわってしまう。

 何度か起き上がろうとするもすぐに倒れ、息も絶え絶えとなっているアナシス。敵対者の弱々しい姿を前にした異星生命体は、一際大きく距離を離すと円盤状の身体を前のめりに傾けた体勢で時を止める。そして止めとばかりに、最高速度の回転と機動力を以て動けないアナシスに突進し、

 ぐらりと、道中で異星生命体の身体が一層前のめりになった。

 なんだ? と思ったかは定かではないが、異星生命体は焦りの挙動を見せた。明らかにわたわたしながら、崩れそうになる体勢を立て直そうとしている。しかし勢い付いた身体は止まらず、どんどんどんどん前のめりになってしまう。

 ついには今まで『ケツ』だった部分が頂上に達し、ひっくり返る。

 異星生命体は気付いただろうか。自身の身体を襲った事態の原因が、一本の『糸』であった事に。

 仮に気付いたところで最早手遅れ。重力操作で体勢を直そうにも、そのためのエネルギーの大半は時間を止めるために使ってしまった。神の力である核融合といえども、時に干渉するには多大な消耗を伴う。重力操作に割けるエネルギーなどない。

 故に異星生命体は何も出来ず、時間停止が切れるのと共に大回転しながらすっ飛び、大地に墜落する! そのまま不様に、時をも止める力を持っているとは思えないほど哀れに、異星生命体は海底の砂浜を転がっていった。

「いよっしゃあっ! やりましたよ!」

 その姿を見て、『糸』を張っていた張本人――――金髪碧眼少女の姿を取るフィアが、海洋に開いたクレーターの縁でガッツポーズを取った。

「いやはや、まさか本当に上手くいくとは。なんでもやってみるものね」

「いきなり瞬間移動を始めた時にはどうすりゃ良いかと思ったけど、よかったー……つか、なんで瞬間移動なのにすっころんでんの?」

 フィアの傍にはミリオンとミィも居て、目の前で起きた『事象』への喜びを次々と口にする。ハイタッチしたりぴょんぴょん跳ねたりもした。

 彼女達がした事は至極単純。フィアが作り出した水の『糸』を異星生命体が通りそうな場所に仕掛け、運良く引っ掛けただけである。

 子供のイタズラ程度の行いだが、しかし命を賭けた激戦の中では大きな罠となる。全速力で駆け、相手しか見えていないのだ。上手く転べば、自重と速度により致命的な一撃ともなり得る。何よりこの罠、例え幼児が仕掛けても大人にだって通用する……相手の力を利用するがために、実力差を大きく無視出来るのだ。まともな方法ではダメージを与えられないフィア達でも、一矢報いる事が出来るかも知れない策だったのである。

 とはいえ異星生命体をひっくり返すのは、流石に容易くはない。如何に相手との力関係を殆ど無視出来るにしても、あまりにも大き過ぎる差となれば別。大人を相手に罠を仕掛けるとして、麻縄なら大丈夫だろうが、ティッシュでは恐らく破られるだろう。つまり罠の要である『糸』には相応の強度が求められるのだ。無論『留め具』の方 ― 今回のフィア達の場合、ミィの怪力とフィアの能力が担当した ― も多少は強度が必要だろうが、こちらは引っ掛け方次第でなんとでもなる。『糸』の方には純粋な頑丈さが必要だった。

 そこでフィアは『糸』に混ぜ物を加えた。

 アナシスの肉片や異星生命体の欠片だ。ちょっとやそっとの肉弾戦では砕けぬその肉体を編み込んで作った『糸』ならば、異星生命体のパワーにも対抗出来ると考えたのである。素材をフィアが集め、ミリオンが糸のように加工し、ミィがそれを握り締める……三匹は互いの長所を活かし、見事異星生命体に攻撃を通したのである。チームワークではなく、自分に出来る事をするという形で。

 尤も、普通の状態だったらこの『糸』であっても簡単に切られていただろう。それほどまでに異星生命体の、神々の力は大きい。

 しかしフィア達の罠に掛かった時、異星生命体は自分以外の時を止めてしまっていた。時間が止まった物質にいくら攻撃しても、時間経過がないためエネルギーは流れていかない。対して自分の時間は流れているため、エネルギーの流れが自分にだけ生じる。

 つまり動かないモノを殴ると、自分だけがダメージを受けてしまう……これが時間停止の唯一とも言える弱点だった。故に異星生命体は、時間停止の最中に攻撃をしていない。空気などであれば自身の表面に触れた分子の時間が動くため妨げにはならないが、アナシスほどの巨体は厚過ぎるのだ。

 そして今回フィアが繰り出した『糸』も不純物を山ほど含んでいる都合、通常の何十倍もの太さになっていた。異星生命体はその能力故に、自身から見れば脆弱である筈の『糸』を超えられなかったのである。

 そうとは知らないフィア達は、自分達の策が通じたのだと勘違いして大喜び。されどその目は笑っておらず、緊張感も消えていない。

 当然だ。異星生命体はただ転んだだけで、死んだ訳ではないのだから。しかし今までと何も変わらないかというとそうでもなく……異星生命体は明確に、フィア達をいたが。

「おおー。怒ってますねぇ」

「今更でしょ。無視されるような事してもしょうがないんだから」

「あーあー、こりゃ逃げる事も無理そうだねー」

 諦めるように、達観するように、嘆くように。フィア達は淡々と己が心境を言葉にする。

 もう、あなたにとって私達など羽虫同然だ、との『言い訳』は通じないだろう。

 少なくとも異星生命体にとって、時間停止を妨げる『糸』はこの場において排除すべき対象だった。フィア達に異星生命体の心境を察する事は出来ないが、相当苛立っている事は伝わっている。

 具体的にはその姿を円盤状から円錐型へと変え、光り輝く先端をフィア達の方へと向けてくるほどの苛立ちだ。意外とこの宇宙人、短気らしい。

「うーん避けるのは難しいでしょうね」

「無理っしょ。あたしでも多分余波でやられる」

「私も同じね。ま、予備をはなちゃんのところに残してるから、全滅はしないけど」

「あー、ずるーい」

「これだからインチキ物体は……」

 ガンマ線の輝きを前にしながら、尚もフィア達は落ち着いたまま。その一撃を防ぐ手立てなどないのに、淡々と向き合う。どう足掻いたところで勝ち目はおろか、逃げる事すら儘ならないのだ。無駄な事をして疲れるよりも、大人しくして楽な方がマシである。

 それに、勝機は未だ潰えていない。

「さて、怒りで我を忘れているのか、それとももう立ち直れないと思ってるのかは分からないけど……油断、しちゃったわね」

 ミリオンのこの呟きを聞き取った訳ではないだろう。

 されど異星生命体はハッとしたように身を強張らせる。今にも発射しそうなまで輝きを増した先端の光は、その煌めきを保ったまま困り果てたように動かない。

 異星生命体に目があれば、今頃自らの背後を見ようとしていただろう。

 何故なら背後には――――倒れていたアナシスが、起き上がった体勢で自身を見ていたのだから。

 アナシスの息は荒い。身体はゆらゆらと揺れ、今にも倒れそうになっている。全身を覆っていた鱗は至る所が剥げ落ち、あちこちから血が溢れていた。肉の一部が抉れ、ぐじゅぐじゅと体液が溢れ出している。並の生物ならば間違いなく重傷であり、そのまま昏睡してもおかしくない深手だ。

 しかしアナシスの闘志に揺らぎはない。一片の恐怖も抱いていない眼光で異星生命体を睨みながら、憤怒で燃え盛る息を吐いている口をゆっくりと開く。

 そしてその奥底で輝く、特大の『紅蓮』を見せ付けた。

 アナシスは、何も黙って異星生命体の猛攻に耐えていたのではない。その身で作り出した熱を少しずつ、際限なく、自らの内側に蓄積していた。あまりの高熱に体内の一部が炭化したが、そんな事など構っていられない。自分の身すら焼けぬ炎で、自分を打ち倒そうとした怪物を討つなど叶う筈がないのだから。

 自らの身すらも顧みずに作り上げた火球は、これまでのモノとは別物だ。炎を閉じ込めるためのプラズマがスパークし、今この瞬間にも破裂しそうなほど不安定になっている。その溢れ出る輝きは炎を超え、恒星を凌駕し……ビックバンをも彷彿とさせた。

 原初の炎と、星の煌めき。どちらが格上かは、異星生命体の反応が物語る。ガンマ線の光を止め、慌てて時間停止のためのエネルギーを生産しようとする異星生命体。だが『二手』遅い。

 異星生命体が行動を起こした時、既にアナシスの口からは超高温の火球が放たれたのだから。

【**************!】

 悲鳴か、懇願か、憤怒か、狂気か。

 地球生命にはなんの感情も伝わらない叫びは、しかし火球が発する轟音に飲まれ。

 銀河を彷彿とさせるその姿も、星全体が軋むほどの大爆発に掻き消され、誰の目にも見えなくなった――――

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