第28話 8月5日(木)異世界の扉の向こう側⑤
操作方法そのものはそんなに難しくない。他のオンラインゲームを僕はいくつかやった事があるし、ドラゴンファイナルクエストのシリーズは4DSでもやった事がある。
ただ、美紀のキャラを見た僕は唖然とした。
可愛らしい女の子キャラだが、見た目に反してそのパラメーターは凄まじいの一言だ。
レベルは100を超えているし、しかも、このパラメーターの割り振りは呪文特化型で攻撃、回復、補助の全ての呪文を扱える、まさにスペシャリストだ。しかもHPやMPの数値は僕の想像を遥かに超えている!
「美紀、どこまでが君が育てあげたレベルなんだ?」
「あー、あたしがここにいた時にはレベル81だったから、その後にお母さんが拡張パックを入れた事で100以上になったんだ」
「へえ」
「まあ、お母さんのキャラ『まどか』は回復呪文も攻撃呪文も使えるけど、剣士タイプだからMPの絶対値が少ないし、だいたいパラメーターをそちらに振ってないから基本的に前衛型と言っても構わない。でも、あたしのキャラ『リリカ』は典型的な後衛の呪文特化型で『まどか』とは真逆だから、結構面白がってお母さんが育ててくれたから恐らくゲーム内最強の魔術師だと思うぞ」
「神がキャラメイクした物を全世界の創造主がパワーアップさせたという事ですかねえ」
「その言い方で合ってると思うぞ。どうやったらここまでのキャラになれるのか、あたしも知りたいくらいだ」
「ふーん」
「今のこのゲームの上限レベルが120だけど、まどかは115だ。ここまで育てるだけで結構な時間が必要なんだぜ。それに加えてリリカも110だ。どれだけやり込んでいるか分かるだろ?」
「たしかに。それに、他のゲームもやってるんだろ?」
「まあな。ゲーム艦隊娘では世界最強の提督って言われてるくらいだからな」
「それが本当なら伯母さんは神をも上回る世界創造主だね」
「だろ?猛は勝手に遊んでていいぞ。どうせこのゲーム自体は初めてに等しいんだろ?」
「まあ、それは事実だけど、基本操作は4DSと同じだし他のオンラインゲームはやった事あるから本当の初心者ではないよ。でも折角なのでソロプレイしてみます」
僕は美紀の隣に椅子を用意してソロプレイを始めたけど、レベルが高すぎて圧倒している!しかも装備も信じられない物がある。モンスタードロップのレアアイテムか、マスタークラスの職人が作り上げた究極武具としてか思えないぞ。それに戦歴と称号をみた途端、僕は『見なければ良かった』と後悔したくらいだ。
美紀はというと・・・時間まであと5分くらいだけど既に約束場所で待機している状態だ。このゲームでパーティを組めるのは4人だから、既に一人は来ている。キャラネームは「ショータ」という男の子キャラで、チャットの内容をチラチラ見ていた限りでは前衛型、それも壁役タイプのようだ。だとすれば、残る二人は攻撃型呪文の使い手と回復呪文の使い手か?これならパーティとしてバランスが取れてる筈だ。
やがてもう一人の女の子キャラがやってきた。キャラネームは「ミキティ」で、こちらは僕の予想に反して前衛タイプのモンスター使いだ。
僕の方は一人で他のダンジョンに入り始めたが、このダンジョンはリリカのレベルでは簡単すぎるくらいだ。ほとんど苦労する事なく進んでる。
さすがに飽きて来たな。もうちょっと難しいダンジョンに挑むかクエストをやってみようかなあ。
その時、
「はあ?マジかよ!?」
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