第26話
「わたしと賢一くんが陰でそういうことをし合う関係だったら、雄二はどんな反応をするのかなって、なんかあの場面で急に思いついちゃったんだよね~♪」
テレビ番組でよく見る『ちょっとしたドッキリ』という体で、なつは今日のネタバラシまで僕の反応を観察していたらしい。小さくため息を吐く。
「まったく……。性質が悪いよ。見ていたことを知っていたなら、言ってくれれば良かったのに!」
「それだと、ドッキリの意味がないじゃん。やるなら最後までやり切らなきゃ!」
なるほど確かに、人を騙すなら徹底的にやらないと成立しないのかもしれない。それでも咄嗟の思い付きだけでここまでやり尽くすとは。恐ろしい演技力だ。
向日葵みたいに眩しい笑顔を見せて、なつは笑う。その微笑みの裏に黒いものを隠していたとは思えない。なんだか人間不信になりそう。
「じゃあ、ふたりは付き合っていないのね? あくまで弐宮くんの前でそういう振りをしていただけなのね?」
「だからそうだってば。ゆき、なんか姑みたいだよぅ」
「失礼しちゃうわね、それは。というか、あたしだけじゃなくてたぶん、大半の女子が他人の恋愛事情を気にするわよ。だって、性欲がありあまるんだもの」
「そだねー。男の子よりも女の子のほうが、そういうものって敏感だもんね」
踏み込めない領域まで話が広がり、僕と賢一は肩身が狭かった。ふたりとも、率先して会話を進めるほうではないから余計に、首を突っ込めなかった。
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