第102話 妄想のススメ

 ”孤独のススメ”と言う言葉は、ここ最近では珍しくもなく、核家族化が進む中での高齢化社会を考えれば、”老後の孤独は怖くない”というテーマの書籍が話題になるのも想像に足りる話です


 もちろん、僕はその意見には大いに賛成ですし、もともと一人遊びが得意というか、好きと言うか、人とずっと関わっているよりかはオフラインの時間を大切にしたいという欲求をもって育ちました


 妄想にふけるためには、そういう時間と環境を作る必要があります


 妄想も孤独と同じように、”妄想癖”や”現実逃避”や”夢見がち”といったどちらかというと負のイメージがついているように思える


 果たしてそうだろうか?


 妄想することによって”もしもこんなことが起きたら”という脳に対するストレステストや欲動に対する非破壊試験のようなものだと考えてみると”こんなことは想定外だ!”と慌てふためくこともないだろうし、悪戯な春風が目の前を歩く女性のスカートをめくり上げたとしても、冷静に対処できるのではないだろうか


 自らの欲求に従って妄想するもよし、こんな目には会いたくないという怖いことを想像するもよし、はたまたワールドカップの舞台でベルギー相手になんと日本代表が後半2対0でリードしているという世界のサッカーの非常識をシミュレーションしてみるのもいい


 僕はサッカーが好きなので、優勝候補に挙げられるドイツ、スペイン、ブラジル、アルゼンチンがどういう敵に苦戦をするかなんて妄想を良くします

 それはとても素敵な女性を目の前にして、さて、彼女と仲良くなるためには、どんな軌跡が起きれば叶うのかしらと妄想するのと似たようなものです


 ”およそ人が考え付く妄想は何年か、何十年か、或いは100年かかろうとも実現するだろう”などという話もあります


 いつか鳥のように空を飛びたいとか、魚のように海の中を自由に泳ぎたいとか、天にも届くような高い建物を建設したいとか、そういうことは、すでに実現しています


 ”風で消えることのない炎”なんていうと、そんな魔法のような火はないと昔の常識人は考えたでしょう

 しかし、炎を灯りと熱と”ありようを分析”することによって電気や電球による風でも消えない松明のような灯りを作ることはできるし、電子レンジのような直接熱を使わない加熱方法も作り出すことができたわけです


 月に行くことや、星のかなたに旅立つことも、まぁ、やってのけた人類ですから、そのうち時間旅行もできるようになるかもしれませんね


 ただ、どんなに妄想しようとも、実現できないものがあります


 僕はそれこそが”理想”ではないかと、考えているのですが……


 では、また次回

 虚実交えて問わず語り

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