終わりのない本

へき

第1話

「この世界は、約20年後に滅亡することが分かりました。」



ニュースのアナウンサーが無機質な声で、この世界の終わりの始まりを告げた。














およそ100年間に及ぶ大規模な核戦争の結果、地球は荒廃し、大半の動植物は絶滅、空には厚い雲がかかり、地表は生物が住める環境ではなくなった。

人類はその時初めて争いをやめ、その科学技術を使って、後に“楽園”と呼ばれるようになる、地球上最後の安全地帯を造り上げた。


しかし、そこでまた争いが起こることになる。楽園は、地球上に生き残った人類全員が入るには狭すぎた。さらに、彼らが生きるための食料として、家畜や穀物なども育てる必要があったため、楽園に入ることが出来たのは、世界総人口のたった200分の1だった。


生き残った人類は大きく2つの生き方に分かれた。ひとつは、楽園の中で子孫を残し、平和の中で寿命を全うする保守派。そしてもうひとつは、危険を冒してでも楽園の外へ出て、地球復興の糸口を探す革新派。



これは、ある革新派の一人の物語。

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