メノクニ

作者 ウミサソリ

5

2人が評価しました

★で称える

レビューを書く

★★ Very Good!!

 地球を離れて、新天地を求めて旅する方舟の乗員たち。方舟の中は揺りかごのように優しく、だが規格外には容赦のない管理社会。そんなぬるま湯のようでいながらもどこか息苦しい日々の中で、ふたりの男女が衝撃的な事件をきっかけに出会うところから、物語は始まります。

 独自の設定のオンパレード、行間が詰まって読みにくかったり、そもそもジャンルがいまやマイナーなSFだったりと、読まれづらい要素も多いですが、そのどれもが本作の魅力です。硬派な文体で展開される世界観は、読み進めるほどに独特の魅力を味わわせてくれます。

 登場人物もまた、主人公たちを含めて人間臭い人たちばかり。誰も彼もが拗らせたりぐじぐじたり独りよがりで、でも根っからの悪人でもありません。皆、それぞれが良かれと思って、でも噛み合わなくて、様々なトラブルが生じてしまう。

 これは遠い未来、ここから遠く離れた世界で、より良い明日を求めてもがき続ける人たちを描いた群像劇です。サスペンスな味つけも加わった、骨太な物語を、是非色んな方に目を通してほしい。

 そして願わくば、この物語の登場人物たち全てに、救いがあらんことを。