第10話【閑話】神と白い世界

「…………」


 真っ白い空間に、真っ白いローブを纏い杖をついた男が佇んでいる。

 彼はその鋭い眼で虚空を睨めつけるように、一人の青年を見ていた。

 世界の始まりから全てを見ていた男が、今はその一人の青年を見ている。

 彼の表情は変わらない。

 怒っているのか、悲しんでいるのか、喜んでいるのか。その表情からは読み取る事が出来ない。


 彼は何かを考えるようにゆっくりと瞼を閉じる。

 そして数瞬後、開かれた彼の瞳には何も映ってはいなかった。


「それもまた、一興か」


 その言葉を残し、彼の姿は白い空間から消え失せた。

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