第八話 やっぱり?

 地獄のような道のりが終わりついに城下町へとついた。門をくぐると待ち構えていた住民がたくさん出迎えてくれた。アンダンテの街を出た時のように手を振る…

という元気はなくなっておりただ眺めることしかできなかった。

 歓声が響き渡る中、城下町を通り過ぎ城の中へと入って行った。馬車が止まると衛兵らしき人がドアを開けてくれた。外に出るとレッドカーペットが引かれておりファンファーレが響き渡った。

「俺たち、そんなにすごいことやってないんだけどね」

「いいじゃないですか! 褒められることに悪いことはないんですよ。佐藤先輩!」

「まあ、そうだよね。堅苦しいことがまた続きそうだけど楽しむしかないね」

 僕はそうにっこりとした笑顔で返した。しかし山田は楽しみではないようだった。

「さとー。何言っちゃってんの? 俺は堅苦しい行事が嫌いなんだよー。なんかいいもんだけもらって日本にかえしてくんないかな~」

「まあまあ。きっとすぐ終わるだろうし、知らないところで無礼な態度は日本人の恥だぞ」

「それもそうだな! きっと終わったら飯があるはずだしな! 飯のために頑張るわ」

 あなたは褒められることよりご飯なんだ。やっぱり変な人だわ。

 些細な会話を続けながら衛兵の人について行った。とても広くて長い廊下を延々と歩き続けていたら急に衛兵は止まった。

「こちらが王の間になります。無礼な態度だけはなさらないようにしてください」

 衛兵はそう説明して大きくて重そうなドアを開けた。

 またもファンファーレで出迎えてもらった。真正面には国王と思われる人とその王妃と思われる人が座っていた。僕たちは衛兵に連れられるままその二人の前まで進んだ。少しの沈黙があった後、国王と思われる人が口を開いた。

「この度は我らの娘を見つけていただき本当にありがとう。くわしい話はこの後の会食ですることにして君たちが何者なのか。それとなぜ我らの娘に出会ったのかだけを教えてくれぬか? 助けてもらった人たちのことを知っておきたいからな」

 僕たちは誰が説明するかと戸惑い一番偉いのはお前だろと山田の押し付けにより僕が話すことになった。

「僕らは日本という国で鉄道というものを動かしている会社で働いているものです。右から山田、今野、そして今話してる私が佐藤と申します。彼女に出会ったのはこちらの世界に飛ばされてきて、最初に出会ったのが彼女でした。」

 とそのまま彼女との行動について国王に話した。話が終わると会場がざわついていた。それはそうだ。この世界には鉄道などないのだから。ざわつきが続く中、国王は口を開いた。

「鉄道とはどのようなのだ?」

 やっぱりそう来ますよねー!

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る